旧約聖書「サムエル記下」に関する礼拝説教 12件
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旧約聖書「サムエル記下」に関する礼拝説教 12件
サムエル記下1章1節~27節
1:1サウルが死んだ後のことである。ダビデはアマレク人を討ってツィクラグに帰り、二日過ごした。 1:2三日目に、サウルの陣営から一人の男がたどりついた。衣服は裂け、頭に土をかぶっていた。男はダビデの前に出ると、地にひれ伏して礼をした。 1:3ダビデは尋ねた。「どこから来たのだ。」「イスラエルの陣営から逃れて参りました」と彼は答えた。 1:4「状況はどうか。話してくれ」とダビデは彼に言った。彼は言った。「兵士は戦場から逃げ去り、多くの兵士が倒れて死にました。サウル王と王子のヨナタンも亡くなられました。」 1:5ダビデは知らせをもたらしたこの若者に尋ねた。「二人の死をどうして知ったのか。」 1:6この若者は答えた。「わたしはたまたまギルボア山におりました。そのとき、サウル王は槍にもたれかかっておられましたが、戦車と騎兵が王に迫っていました。 1:7王は振り返ってわたしを御覧になり、お呼びになりました。『はい』とお答えすると、 1:8『お前は何者だ』とお尋ねになり、『アマレクの者です』とお答えすると、 1:9『そばに来て、とどめを刺してくれ。痙攣が起こったが死にきれない』と言われました。 1:10そこでおそばに行って、とどめを刺しました。倒れてしまわれ、もはや生き延びることはできまいと思ったからです。頭にかぶっておられた王冠と腕につけておられた腕輪を取って、御主人様に持って参りました。これでございます。」 1:11ダビデは自分の衣をつかんで引き裂いた。共にいた者は皆それに倣った。 1:12彼らは、剣に倒れたサウルとその子ヨナタン、そして主の民とイスラエルの家を悼んで泣き、夕暮れまで断食した。 1:13ダビデは、知らせをもたらした若者に尋ねた。「お前はどこの出身か。」「わたしは寄留のアマレク人の子です」と彼は答えた。 1:14ダビデは彼に言った。「主が油を注がれた方を、恐れもせず手にかけ、殺害するとは何事か。」 1:15ダビデは従者の一人を呼び、「近寄って、この者を討て」と命じた。従者は彼を打ち殺した。 1:16ダビデは言った。「お前の流した血はお前の頭に返る。お前自身の口が、『わたしは主が油を注がれた方を殺した』と証言したのだから。」 1:17ダビデはサウルとその子ヨナタンを悼む歌を詠み、 1:18「弓」と題して、ユダの人々に教えるように命じた。この詩は『ヤシャルの書』に収められている。 1:19イスラエルよ、「麗しき者」は/お前の高い丘の上で刺し殺された。ああ、勇士らは倒れた。 1:20ガトに告げるな/アシュケロンの街々にこれを知らせるな/ペリシテの娘らが喜び祝い/割礼なき者の娘らが喜び勇むことのないように。 1:21ギルボアの山々よ、いけにえを求めた野よ/お前たちの上には露も結ぶな、雨も降るな。勇士らの盾がそこに見捨てられ/サウルの盾が油も塗られずに見捨てられている。 1:22刺し殺した者たちの血/勇士らの脂をなめずには/ヨナタンの弓は決して退かず/サウルの剣がむなしく納められることもなかった。 1:23サウルとヨナタン、愛され喜ばれた二人/鷲よりも速く、獅子よりも雄々しかった。命ある時も死に臨んでも/二人が離れることはなかった。 1:24泣け、イスラエルの娘らよ、サウルのために。紅の衣をお前たちに着せ/お前たちの衣の上に/金の飾りをおいたサウルのために。 1:25ああ、勇士らは戦いのさなかに倒れた。ヨナタンはイスラエルの高い丘で刺し殺された。 1:26あなたを思ってわたしは悲しむ/兄弟ヨナタンよ、まことの喜び/女の愛にまさる驚くべきあなたの愛を。 1:27ああ、勇士らは倒れた。戦いの器は失われた。
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- 川栄智章 牧師
サムエル記下2章1節~3章1節
2:1その後ダビデは主に託宣を求めて言った。「どこかユダの町に上るべきでしょうか。」主は言われた。「上れ。」更にダビデは尋ねた。「どこへ上ればよいのでしょうか。」「ヘブロンへ」と主はお答えになった。 2:2そこでダビデは二人の妻、イズレエルのアヒノアムとカルメルのナバルの妻であったアビガイルを連れて、ヘブロンへ上った。 2:3ダビデは彼に従っていた兵をその家族と共に連れて上った。こうして彼らはヘブロンの町々に住んだ。 2:4ユダの人々はそこに来て、ダビデに油を注ぎ、ユダの家の王とした。ギレアドのヤベシュの人々がサウルを葬ったと知らされたとき、 2:5ダビデはギレアドのヤベシュの人々に使者を送ってこう言わせた。「あなたがたが主に祝福されますように。あなたがたは主君サウルに忠実を尽くし、彼を葬りました。 2:6今、主があなたがたに慈しみとまことを尽くしてくださいますように。わたしも、そうしたあなたがたの働きに報いたいと思います。 2:7力を奮い起こし、勇敢な者となってください。あなたがたの主君サウルは亡くなられましたが、ユダの家はこのわたしに油を注いで自分たちの王としました。」 2:8サウルの軍の司令官、ネルの子アブネルは、サウルの子イシュ・ボシェトを擁立してマハナイムに移り、 2:9彼をギレアド、アシュル人、イズレエル、エフライム、ベニヤミン、すなわち全イスラエルの王とした。 2:10サウルの子イシュ・ボシェトは四十歳でイスラエルの王となり、二年間王位にあった。だが、ユダの家はダビデに従った。 2:11ダビデがユダの家の王としてヘブロンにとどまった期間は七年六か月であった。 2:12ネルの子アブネルは、サウルの子イシュ・ボシェトの家臣と共にマハナイムを出て、ギブオンに向かった。 2:13一方、ツェルヤの子ヨアブとダビデの家臣も出陣した。両軍はギブオンの池で出会い、一方は池のこちら側に、他方は向こう側にとどまった。 2:14アブネルはヨアブに申し入れた。「若者を立てて、我々の前で勝負させてはどうか。」「よかろう」とヨアブは言った。 2:15ベニヤミン族とサウルの子イシュ・ボシェトの側から十二人、ダビデの家臣からも十二人、同数の者が立って次々と出て行った。 2:16彼らはそれぞれ相手の頭をとらえ、剣を相手の脇腹に突き刺し、皆共に倒れた。その場所はヘルカト・ツリムと呼ばれ、ギブオンにある。 2:17その日、激しい戦いが続き、アブネルとイスラエルの兵がダビデの家臣に打ち負かされた。 2:18ツェルヤの三人の息子、ヨアブ、アビシャイ、アサエルも戦いに加わっていたが、アサエルは野のかもしかのように足が速く、 2:19アブネルを追跡し、右にも左にもそれることなくアブネルの後を追った。 2:20アブネルは振り向いて言った。「お前はアサエルだな。」「そうだ」と彼は答えた。 2:21「右か左にそれて若者の一人でも捕らえ、身につけているものを奪ったらどうだ」とアブネルは言ったが、アサエルはアブネルを追って離れようとしなかった。 2:22アブネルは重ねてアサエルに言った。「追うのはやめてくれ。お前を地に打ち倒すわけにはいかない。お前の兄、ヨアブに顔向けできないではないか。」 2:23だがアサエルは頑として離れなかった。アブネルは槍の石突きでアサエルの下腹を突いた。槍は背中まで突き抜け、アサエルは倒れ、その場で死んだ。アサエルが倒れて死んでいる所まで来た者は皆、立ち止まったが、 2:24ヨアブとアビシャイはアブネルを追い続けた。夕暮れ時となって、彼らはギブオンの荒れ野に続くギアの入り口にあったアンマの丘に着いた。 2:25ベニヤミン族はアブネルに合流し、一団となって一つの丘の頂にとどまった。 2:26アブネルはヨアブに呼びかけて言った。「いつまで剣の餌食とし合うのか。悲惨な結末になることを知らぬわけではあるまい。いつになったら、兄弟を追うのはやめよ、と兵士に命じるのか。」 2:27ヨアブは答えた。「神は生きておられる。もしお前がそう言い出さなかったなら、兵士は朝までその兄弟を追い続けたことだろう。」 2:28ヨアブは角笛を吹いた。兵士は皆、イスラエル軍を追うことをやめ、それ以上戦いを続けなかった。 2:29アブネルとその兵はアラバを夜通し歩いてヨルダン川を渡り、更に午前中も歩いて、マハナイムに着いた。 2:30ヨアブはアブネルの追跡から戻り、兵士を皆集合させた。ダビデの家臣のうち十九人とアサエルが欠けていた。 2:31ダビデの家臣はベニヤミン族とアブネルの兵のうち三百六十人を打ち殺した。 2:32アサエルはベツレヘムに運ばれ、父の墓に葬られた。ヨアブとその兵は夜通し歩いて、明け方ヘブロンに着いた。 3:1サウル王家とダビデ王家との戦いは長引いたが、ダビデはますます勢力を増し、サウルの家は次第に衰えていった。
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- 川栄智章 牧師
サムエル記下3章6節~39節
3:6サウル王家とダビデ王家の戦いが続くうちに、サウル王家ではアブネルが実権を握るようになっていた。 3:7アヤの娘でリツパという名の女がいた。この女はサウルの側女であった。ある日イシュ・ボシェトはアブネルに、「なぜ父の側女と通じたのか」と言った。 3:8アブネルはイシュ・ボシェトの言葉に激しく怒って言った。「わたしをユダの犬どもの頭とでも言われるのですか。今日までわたしは、あなたの父上サウルの家とその兄弟、友人たちに忠実に仕えてきました。あなたをダビデの手に渡すこともしませんでした。それを今、あの女のことでわたしを罪に問おうとなさる。 3:9主がダビデに誓われたことを、わたしがダビデのために行わないなら、神がこのアブネルを幾重にも罰してくださるように。 3:10わたしは王権をサウルの家から移し、ダビデの王座をダンからベエル・シェバに至るイスラエルとユダの上に打ち立てる。」 3:11イシュ・ボシェトはアブネルを恐れ、もはや言葉を返すこともできなかった。 3:12アブネルはダビデのもとに使者を送って言った。「この地を誰のものと思われますか。わたしと契約を結べば、あなたの味方となって全イスラエルがあなたにつくように計らいましょう。」 3:13ダビデは答えた。「よろしい、契約を結ぼう。ただし、一つのことをわたしは要求する。すなわち、会いに来るときは、サウルの娘ミカルを必ず連れて来るように。さもなければ会いに来るには及ばない。」 3:14ダビデは、サウルの子イシュ・ボシェトに使者を遣わし、ペリシテ人の陽皮百枚を納めてめとった妻ミカルをいただきたい、と申し入れた。 3:15イシュ・ボシェトは人をやって、ミカルをその夫、ライシュの子パルティエルから取り上げた。 3:16パルティエルは泣きながらミカルを追い、バフリムまで来たが、アブネルに「もう帰れ」と言われて帰って行った。 3:17アブネルの言葉がイスラエルの長老たちに届いた。「あなたがたは、これまでもダビデを王にいただきたいと願っていた。 3:18それを実現させるべき時だ。主はダビデに、『わたしは僕ダビデの手によって、わたしの民イスラエルをペリシテ人の手から、またすべての敵の手から救う』と仰せになったのだ。」 3:19またアブネルは、ベニヤミンの人々とも直接話した後、イスラエルとベニヤミンの家全体との目に良いと映ったことについて直接ダビデに話そうと、ヘブロンのダビデのもとに行った。 3:20アブネルは二十人の部下を連れてヘブロンのダビデのもとに着いた。ダビデは酒宴を催してアブネルとその部下をもてなした。 3:21アブネルはダビデに言った。「わたしは立って行き、全イスラエルを主君である王のもとに集めましょう。彼らがあなたと契約を結べば、あなたはお望みのままに治めることができます。」ダビデはアブネルを送り出し、アブネルは平和のうちに出発した。 3:22そこへダビデの家臣を率いたヨアブが多くの戦利品を携えて略奪から帰って来た。アブネルは平和のうちに送り出された後で、ヘブロンのダビデのもとにはいなかった。 3:23ヨアブと彼に同行していた全軍が到着すると、「ネルの子アブネルが王を訪ねて来ましたが、平和のうちに送り出されて去りました」とヨアブに告げる者があった。 3:24ヨアブは王のもとに行き、こう言った。「どうなさったのです。アブネルがあなたのもとにやって来たのに、なぜ送り出し、去らせてしまわれたのですか。 3:25ネルの子アブネルをよくご存じのはずではありませんか。あの男が来たのは、王を欺いて動静を探り、王のなさることをすべて調べるためなのです。」 3:26ヨアブはダビデのもとを引き下がると、アブネルを追って使いを出した。使いはボル・シラからアブネルを連れ戻した。ダビデはそのことを知らなかった。 3:27アブネルがヘブロンに戻ると、ヨアブは静かなところで話したいと言って城門の中に誘い込み、その場でアブネルの下腹を突いて殺し、弟アサエルの血に報いた。 3:28後にこれを聞いたダビデは言った。「ネルの子アブネルの血について、わたしとわたしの王国は主に対してとこしえに潔白だ。 3:29その血はヨアブの頭に、ヨアブの父の家全体にふりかかるように。ヨアブの家には漏出の者、重い皮膚病を病む者、糸紡ぎしかできない男、剣に倒れる者、パンに事欠く者が絶えることのないように。」 3:30ヨアブと弟のアビシャイがアブネルを殺したのは、ギブオンの戦いで彼らの弟アサエルをアブネルが殺したからであった。 3:31ダビデは、ヨアブとヨアブの率いる兵士全員に向かって、「衣服を裂き、粗布をまとい、悼み悲しんでアブネルの前を進め」と命じ、ダビデ王自身はアブネルのひつぎの後に従った。 3:32一同はアブネルをヘブロンに葬った。王はその墓に向かって声をあげて泣き、兵士も皆泣いた。 3:33王はアブネルを悼む歌を詠んだ。「愚か者が死ぬように/アブネルは死なねばならなかったのか。 3:34手を縛られたのでもなく/足に枷をはめられたのでもないお前が/不正を行う者の前に倒れるかのように/倒れねばならなかったのか。」兵士は皆、彼を悼んで更に泣いた。 3:35兵士は皆、まだ日のあるうちにダビデに食事をとらせようとやって来た。しかし、ダビデは誓って言った。「日の沈む前に、わたしがパンであれほかの何であれ、口にするようなことがあるなら、神が幾重にも罰してくださるように。」 3:36兵士は皆これを知って、良いことと見なした。王のすることは常に、兵士全員の目に良いと映った。 3:37すべての兵士、そして全イスラエルはこの日、ネルの子アブネルが殺されたのは王の意図によるものではなかったことを認めた。 3:38王は家臣に言った。「今日、イスラエルの偉大な将軍が倒れたということをお前たちは悟らねばならない。 3:39わたしは油を注がれた王であるとはいえ、今は無力である。あの者ども、ツェルヤの息子たちはわたしの手に余る。悪をなす者には主御自身がその悪に報いられるように。」
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- 川栄智章 牧師
サムエル記下4章1節~12節
4:1アブネルがヘブロンで殺されたと聞いて、サウルの息子イシュ・ボシェトは力を落とし、全イスラエルはおびえた。 4:2このサウルの息子のもとに二人の略奪隊の長がいた。名をバアナとレカブといい、共にベニヤミンの者で、ベエロトのリモンの息子であった。ベエロトもベニヤミン領と考えられるからである。 4:3ベエロトの人々はかつてギタイムに逃げ、今日もそこに寄留している。 4:4サウルの子ヨナタンには両足の萎えた息子がいた。サウルとヨナタンの訃報がイズレエルから届いたとき、その子は五歳であった。乳母が抱いて逃げたが、逃げようとして慌てたので彼を落とし、足が不自由になったのである。彼の名はメフィボシェトといった。 4:5ベエロト人リモンの子レカブとバアナは、日盛りのころイシュ・ボシェトの家にやって来た。イシュ・ボシェトは昼寝をしていた。 4:6レカブとその兄弟バアナは、小麦を受け取る振りをして家の中に入り、彼の下腹を突き刺して殺し、逃亡した。 4:7すなわち、彼らが家に入ると、イシュ・ボシェトが寝室の寝床に横たわっていたので、二人は彼を突き刺して殺し、首をはねた。彼らはその首を携えてアラバへの道を夜通し歩き、 4:8ヘブロンのダビデのもとに、その首を持参した。二人は王に言った。「御覧ください。お命をねらっていた、王の敵サウルの子イシュ・ボシェトの首です。主は、主君、王のために、サウルとその子孫に報復されました。」 4:9ダビデはベエロト人リモンの子レカブとその兄弟バアナに答えて言った。「あらゆる苦難からわたしの命を救われた主は生きておられる。 4:10かつてサウルの死をわたしに告げた者は、自分では良い知らせをもたらしたつもりであった。だが、わたしはその者を捕らえ、ツィクラグで処刑した。それが彼の知らせへの報いであった。 4:11まして、自分の家の寝床で休んでいた正しい人を、神に逆らう者が殺したのだ。その流血の罪をお前たちの手に問わずにいられようか。お前たちを地上から除き去らずにいられようか。」 4:12ダビデの命令によって、従者は二人を殺して両手両足を切り落とし、ヘブロンの池のほとりで木につるした。イシュ・ボシェトの首はヘブロンに運ばれ、アブネルの墓に葬られた。
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- 川栄智章 牧師
サムエル記下5章1節~25節
5:1イスラエルの全部族はヘブロンのダビデのもとに来てこう言った。「御覧ください。わたしたちはあなたの骨肉です。 5:2これまで、サウルがわたしたちの王であったときにも、イスラエルの進退の指揮をとっておられたのはあなたでした。主はあなたに仰せになりました。『わが民イスラエルを牧するのはあなただ。あなたがイスラエルの指導者となる』と。」 5:3イスラエルの長老たちは全員、ヘブロンの王のもとに来た。ダビデ王はヘブロンで主の御前に彼らと契約を結んだ。長老たちはダビデに油を注ぎ、イスラエルの王とした。 5:4ダビデは三十歳で王となり、四十年間王位にあった。 5:5七年六か月の間ヘブロンでユダを、三十三年の間エルサレムでイスラエルとユダの全土を統治した。 5:6王とその兵はエルサレムに向かい、その地の住民のエブス人を攻めようとした。エブス人はダビデが町に入ることはできないと思い、ダビデに言った。「お前はここに入れまい。目の見えない者、足の不自由な者でも、お前を追い払うことは容易だ。」 5:7しかしダビデはシオンの要害を陥れた。これがダビデの町である。 5:8そのとき、ダビデは言った。「エブス人を討とうとする者は皆、水くみのトンネルを通って町に入り、ダビデの命を憎むという足の不自由な者、目の見えない者を討て。」このために、目や足の不自由な者は神殿に入ってはならない、と言われるようになった。 5:9ダビデはこの要害に住み、それをダビデの町と呼び、ミロから内部まで、周囲に城壁を築いた。 5:10ダビデは次第に勢力を増し、万軍の神、主は彼と共におられた。 5:11ティルスの王ヒラムはダビデのもとに使節を派遣し、レバノン杉、木工、石工を送って来た。彼らはダビデの王宮を建てた。 5:12ダビデは、主が彼をイスラエルの王として揺るぎないものとされ、主の民イスラエルのために彼の王権を高めてくださったことを悟った。 5:13ダビデはヘブロンから移った後、エルサレムでも妻をめとり、側女を置いたので、息子や娘が更に生まれた。 5:14エルサレムで生まれた子供たちの名は次のとおりである。シャムア、ショバブ、ナタン、ソロモン、 5:15イブハル、エリシュア、ネフェグ、ヤフィア、 5:16エリシャマ、エルヤダ、エリフェレト。 5:17ペリシテ人は、ダビデが油を注がれてイスラエルの王になったことを聞いた。すべてのペリシテ人が、ダビデの命をねらって攻め上って来た。ダビデはこれを聞いて要害に下った。 5:18やって来たペリシテ人はレファイムの谷に陣を広げた。 5:19ダビデは主に託宣を求めた。「ペリシテ人に向かって攻め上るべきでしょうか。彼らをこの手にお渡しくださるでしょうか。」主はダビデに答えられた。「攻め上れ。必ずペリシテ人をあなたの手に渡す。」 5:20ダビデはバアル・ペラツィムに攻め入り、彼らを討ち滅ぼして、こう言った。「主は敵をわたしの前で、水が堤防を破るように打ち破ってくださった。」その場所をバアル・ペラツィム(破れ目の主)と呼ぶのは、このためである。 5:21ペリシテ人が自分たちの偶像をそこに捨てて行ったので、ダビデとその兵はそれを運び去った。 5:22ペリシテ人は再び攻め上り、レファイムの谷に陣を広げた。 5:23ダビデが主に託宣を求めると、次のように答えられた。「攻め上らず、背後に回れ。バルサムの茂みの反対側から敵に向かえ。 5:24茂み越しに行軍の音を聞いたら、攻めかかれ。主がペリシテの陣営を討つために、お前に先んじて出陣されるのだ。」 5:25ダビデは主の命じられたとおりに行動し、ゲバからゲゼルに至るまで、ペリシテ人を討ち滅ぼした。
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- 川栄智章 牧師
サムエル記下6章1節~23節
6:1ダビデは更にイスラエルの精鋭三万をことごとく集めた。 6:2ダビデは彼に従うすべての兵士と共にバアレ・ユダから出発した。それは、ケルビムの上に座す万軍の主の御名によってその名を呼ばれる神の箱をそこから運び上げるためであった。 6:3彼らは神の箱を新しい車に載せ、丘の上のアビナダブの家から運び出した。アビナダブの子ウザとアフヨがその新しい車を御していた。 6:4彼らは丘の上のアビナダブの家から神の箱を載せた車を運び出し、アフヨは箱の前を進んだ。 6:5ダビデとイスラエルの家は皆、主の御前で糸杉の楽器、竪琴、琴、太鼓、鈴、シンバルを奏でた。 6:6一行がナコンの麦打ち場にさしかかったとき、牛がよろめいたので、ウザは神の箱の方に手を伸ばし、箱を押さえた。 6:7ウザに対して主は怒りを発し、この過失のゆえに神はその場で彼を打たれた。ウザは神の箱の傍らで死んだ。 6:8ダビデも怒った。主がウザを打ち砕かれたためである。その場所をペレツ・ウザ(ウザを砕く)と呼んで今日に至っている。 6:9その日、ダビデは主を恐れ、「どうして主の箱をわたしのもとに迎えることができようか」と言って、 6:10ダビデの町、自分のもとに主の箱を移すことを望まなかった。ダビデは箱をガト人オベド・エドムの家に向かわせた。 6:11三か月の間、主の箱はガト人オベド・エドムの家にあった。主はオベド・エドムとその家の者一同を祝福された。 6:12神の箱のゆえに、オベド・エドムの一家とその財産のすべてを主は祝福しておられる、とダビデ王に告げる者があった。王は直ちに出かけ、喜び祝って神の箱をオベド・エドムの家からダビデの町に運び上げた。 6:13主の箱を担ぐ者が六歩進んだとき、ダビデは肥えた雄牛をいけにえとしてささげた。 6:14主の御前でダビデは力のかぎり踊った。彼は麻のエフォドを着けていた。 6:15ダビデとイスラエルの家はこぞって喜びの叫びをあげ、角笛を吹き鳴らして、主の箱を運び上げた。 6:16主の箱がダビデの町に着いたとき、サウルの娘ミカルは窓からこれを見下ろしていたが、主の御前で跳ね踊るダビデ王を見て、心の内にさげすんだ。 6:17人々が主の箱を運び入れ、ダビデの張った天幕の中に安置すると、ダビデは主の御前に焼き尽くす献げ物と和解の献げ物をささげた。 6:18焼き尽くす献げ物と和解の献げ物をささげ終わると、ダビデは万軍の主の御名によって民を祝福し、 6:19兵士全員、イスラエルの群衆のすべてに、男にも女にも、輪形のパン、なつめやしの菓子、干しぶどうの菓子を一つずつ分け与えた。民は皆、自分の家に帰って行った。 6:20ダビデが家の者に祝福を与えようと戻って来ると、サウルの娘ミカルがダビデを迎えて言った。「今日のイスラエル王は御立派でした。家臣のはしためたちの前で裸になられたのですから。空っぽの男が恥ずかしげもなく裸になるように。」 6:21ダビデはミカルに言った。「そうだ。お前の父やその家のだれでもなく、このわたしを選んで、主の民イスラエルの指導者として立ててくださった主の御前で、その主の御前でわたしは踊ったのだ。 6:22わたしはもっと卑しめられ、自分の目にも低い者となろう。しかし、お前の言うはしためたちからは、敬われるだろう。」 6:23サウルの娘ミカルは、子を持つことのないまま、死の日を迎えた。
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- 川栄智章 牧師
サムエル記下7章1節~29節
7:1王は王宮に住むようになり、主は周囲の敵をすべて退けて彼に安らぎをお与えになった。 7:2王は預言者ナタンに言った。「見なさい。わたしはレバノン杉の家に住んでいるが、神の箱は天幕を張った中に置いたままだ。」 7:3ナタンは王に言った。「心にあることは何でも実行なさるとよいでしょう。主はあなたと共におられます。」 7:4しかし、その夜、ナタンに臨んだ主の言葉は次のとおりであった。 7:5「わたしの僕ダビデのもとに行って告げよ。主はこう言われる。あなたがわたしのために住むべき家を建てようというのか。 7:6わたしはイスラエルの子らをエジプトから導き上った日から今日に至るまで、家に住まず、天幕、すなわち幕屋を住みかとして歩んできた。 7:7わたしはイスラエルの子らと常に共に歩んできたが、その間、わたしの民イスラエルを牧するようにと命じたイスラエルの部族の一つにでも、なぜわたしのためにレバノン杉の家を建てないのか、と言ったことがあろうか。 7:8わたしの僕ダビデに告げよ。万軍の主はこう言われる。わたしは牧場の羊の群れの後ろからあなたを取って、わたしの民イスラエルの指導者にした。 7:9あなたがどこに行こうとも、わたしは共にいて、あなたの行く手から敵をことごとく断ち、地上の大いなる者に並ぶ名声を与えよう。 7:10わたしの民イスラエルには一つの所を定め、彼らをそこに植え付ける。民はそこに住み着いて、もはや、おののくことはなく、昔のように不正を行う者に圧迫されることもない。 7:11わたしの民イスラエルの上に士師を立てたころからの敵をわたしがすべて退けて、あなたに安らぎを与える。主はあなたに告げる。主があなたのために家を興す。 7:12あなたが生涯を終え、先祖と共に眠るとき、あなたの身から出る子孫に跡を継がせ、その王国を揺るぎないものとする。 7:13この者がわたしの名のために家を建て、わたしは彼の王国の王座をとこしえに堅く据える。 7:14わたしは彼の父となり、彼はわたしの子となる。彼が過ちを犯すときは、人間の杖、人の子らの鞭をもって彼を懲らしめよう。 7:15わたしは慈しみを彼から取り去りはしない。あなたの前から退けたサウルから慈しみを取り去ったが、そのようなことはしない。 7:16あなたの家、あなたの王国は、あなたの行く手にとこしえに続き、あなたの王座はとこしえに堅く据えられる。」 7:17ナタンはこれらの言葉をすべてそのまま、この幻のとおりにダビデに告げた。 7:18ダビデ王は主の御前に出て座し、次のように言った。「主なる神よ、何故わたしを、わたしの家などを、ここまでお導きくださったのですか。 7:19主なる神よ、御目には、それもまた小さな事にすぎません。また、あなたは、この僕の家の遠い将来にかかわる御言葉まで賜りました。主なる神よ、このようなことが人間の定めとしてありえましょうか。 7:20ダビデはこの上、何を申し上げることができましょう。主なる神よ、あなたは僕を認めてくださいました。 7:21御言葉のゆえに、御心のままに、このように大きな御業をことごとく行い、僕に知らせてくださいました。 7:22主なる神よ、まことにあなたは大いなる方、あなたに比べられるものはなく、あなた以外に神があるとは耳にしたこともありません。 7:23また、この地上に一つでも、あなたの民イスラエルのような民がありましょうか。神は進んでこれを贖って御自分の民とし、名をお与えになりました。御自分のために大きな御業を成し遂げ、あなたの民のために御自分の地に恐るべき御業を果たし、御自分のために、エジプトおよび異邦の民とその神々から、この民を贖ってくださいました。 7:24主よ、更にあなたはあなたの民イスラエルをとこしえに御自分の民として堅く立て、あなた御自身がその神となられました。 7:25主なる神よ、今この僕とその家について賜った御言葉をとこしえに守り、御言葉のとおりになさってください。 7:26『万軍の主は、イスラエルの神』と唱えられる御名が、とこしえにあがめられますように。僕ダビデの家が御前に堅く据えられますように。 7:27万軍の主、イスラエルの神よ、あなたは僕の耳を開き、『あなたのために家を建てる』と言われました。それゆえ、僕はこの祈りをささげる勇気を得ました。 7:28主なる神よ、あなたは神、あなたの御言葉は真実です。あなたは僕にこのような恵みの御言葉を賜りました。 7:29どうか今、僕の家を祝福し、とこしえに御前に永らえさせてください。主なる神よ、あなたが御言葉を賜れば、その祝福によって僕の家はとこしえに祝福されます。」
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サムエル記下8章1節~18節
8:1その後、ダビデはペリシテ人を討って屈服させ、ペリシテ人の手からメテグ・アンマを奪った。 8:2また、モアブを討ち、彼らを地面に伏させて測り縄ではかり、縄二本分の者たちを殺し、一本分の者は生かしておいた。モアブ人はダビデに隷属し、貢を納めるものとなった。 8:3ダビデは次に、ツォバの王、レホブの子ハダドエゼルがユーフラテスに勢力を回復しようと行動を起こしたとき、彼を討ち、 8:4騎兵千七百、歩兵二万を捕虜とし、戦車の馬は、百頭を残して、そのほかはすべて腱を切ってしまった。 8:5ダマスコのアラム人がツォバの王ハダドエゼルの援軍として参戦したが、ダビデはこのアラム軍二万二千をも討ち、 8:6ダマスコのアラム人に対して守備隊を置いた。こうしてアラム人もダビデに隷属し、貢を納めるものとなった。主はダビデに、その行く先々で勝利を与えられた。 8:7ダビデは、ハダドエゼルの家臣がそれぞれ携えていた金の盾を没収してエルサレムに運んだ。 8:8また、ダビデ王はハダドエゼルの町ベタとベロタイから大量の青銅を奪い取った。 8:9ハマトの王トイは、ダビデがハダドエゼルの軍勢を討ち滅ぼしたと聞き、 8:10王子ヨラムをダビデ王のもとに遣わして安否を問わせた。トイ自身、ハダドエゼルと交戦中だったので、ハダドエゼルに対するダビデの戦勝を祝って、銀、金、青銅の品々を贈った。 8:11ダビデ王はこれらの品々を、征服したすべての異邦の民から得た銀や金と共に主のために聖別した。 8:12それは、アラム、モアブ、アンモン人、ペリシテ人、アマレクから得たもの、ツォバの王、レホブの子ハダドエゼルからの戦利品などであった。 8:13ダビデはアラムを討って帰る途中、塩の谷でエドム人一万八千を討ち殺し、名声を得た。 8:14彼はエドムに守備隊を置くことにした。守備隊はエドム全土に置かれ、全エドムはダビデに隷属した。主はダビデに、行く先々で勝利を与えられた。 8:15ダビデは王として全イスラエルを支配し、その民すべてのために裁きと恵みの業を行った。 8:16ツェルヤの子ヨアブは軍の司令官。アヒルドの子ヨシャファトは補佐官。 8:17アヒトブの子ツァドクとアビアタルの子アヒメレクは共に祭司。セラヤは書記官。 8:18ヨヤダの子ベナヤはクレタ人とペレティ人の監督官。ダビデの息子たちは祭司となった。
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サムエル記下9章1節~13節
9:1ダビデは言った。「サウル家の者がまだ生き残っているならば、ヨナタンのために、その者に忠実を尽くしたい。」 9:2サウル家に仕えていたツィバという名の者がダビデのもとに呼び出された。「お前がツィバか」と王が尋ねると、「僕でございます」と彼は答えた。 9:3王は言った。「サウル家には、もうだれも残っていないのか。いるなら、その者に神に誓った忠実を尽くしたいが。」「ヨナタンさまの御子息が一人おられます。両足の萎えた方でございます」とツィバは王に答えた。 9:4王は「どこにいるのか」と問い、ツィバは王に、「ロ・デバルにあるアミエルの子マキルの家におられます」と答えた。 9:5ダビデ王は人を遣わし、ロ・デバルにあるアミエルの子マキルの家から彼を連れて来させた。 9:6サウルの子ヨナタンの子メフィボシェトは、ダビデの前に来るとひれ伏して礼をした。「メフィボシェトよ」とダビデが言うと、「僕です」と彼は答えた。 9:7「恐れることはない。あなたの父ヨナタンのために、わたしはあなたに忠実を尽くそう。祖父サウルの地所はすべて返す。あなたはいつもわたしの食卓で食事をするように」とダビデが言うと、 9:8メフィボシェトは礼をして言った。「僕など何者でありましょうか。死んだ犬も同然のわたしを顧みてくださるとは。」 9:9王は、サウルの従者であったツィバを呼んで言った。「サウルとその家の所有であったものはすべてお前の主人の子息に与えることにした。 9:10お前は、息子たち、召し使いたちと共に、その土地を耕して収穫をあげ、お前の主人の子息のために生計を立てよ。お前の主人の子息メフィボシェトは、いつもわたしの食卓で食事をすることになる。」ツィバには十五人の息子と二十人の召し使いがいた。 9:11ツィバは王に答えた。「私の主君、王が僕にお命じになりましたことはすべて、僕が間違いなく実行いたします。」メフィボシェトは王子の一人のように、ダビデの食卓で食事をした。 9:12メフィボシェトにはミカという幼い息子がいた。ツィバの家に住む者は皆、メフィボシェトの召し使いとなった。 9:13メフィボシェトは王の食卓に連なるのが常のことであり、両足とも不自由なので、エルサレムに住んだ。
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サムエル記下10章1節~19節
10:1その後、アンモン人の王が死に、その子ハヌンが代わって王となった。 10:2ダビデは、「ハヌンの父ナハシュがわたしに忠実であったのだから、わたしもその子ハヌンに忠実であるべきだ」と言って、使節を遣わして哀悼の意を表そうとした。ところが、ダビデの家臣たちがアンモン人の領地に入ると、 10:3アンモン人の高官たちは主君ハヌンに言った。「ダビデがお父上に敬意を表して弔問の使節を送って来たとお考えになってはなりません。この町を探りうかがい、倒そうとして、家臣を送り込んだにちがいありません。」 10:4それでハヌンはダビデの家臣を捕らえ、ひげを半分そり落とし、衣服も半分、腰から下を切り落として追い返した。 10:5この人たちが甚だしい辱めを受けたという知らせがダビデに届くと、ダビデは人を遣わして彼らを迎えさせ、王の伝言として、「ひげが生えそろうまでエリコにとどまり、それから帰るように」と言わせた。 10:6アンモン人は、ダビデの憎しみをかったと悟ると、ベト・レホブおよびツォバのアラム人に人を遣わして歩兵二万を傭兵として要請し、マアカの王には兵一千、トブには兵一万二千を要請した。 10:7これを聞いたダビデは、ヨアブをはじめ勇士たちの全軍を送り出した。 10:8アンモン人は城門の入り口まで出て戦いに備え、ツォバとレホブのアラム兵およびトブとマアカの兵は野にあって戦いに備えた。 10:9ヨアブは戦線が前方と後方にあるのを見て、イスラエルの全精鋭から兵をえりすぐり、アラム軍に向かって戦列を整え、 10:10残りの兵士を兄弟アビシャイの指揮にゆだねて、アンモン軍に向かって戦列を整えさせた。 10:11ヨアブは言った。「アラム人がわたしより強ければ、こちらを助けてくれ。アンモン人がお前より強ければ、そちらを助けに行く。 10:12我らの民のため、我らの神の町々のため、雄々しく戦おう。主が良いと思われることを行ってくださるように。」 10:13ヨアブと彼に従う兵士たちが戦おうと迫ると、アラム軍はヨアブの前から逃げ去った。 10:14アラム軍が逃げるのを見ると、アンモン人も、アビシャイの前から逃げ出し、町の中に入った。ヨアブはアンモン人をそのままにして引き揚げ、エルサレムに帰った。 10:15イスラエルに打ち負かされたと見ると、アラムは団結し、 10:16ハダドエゼルは人を遣わして、ユーフラテスの向こうにいたアラム軍を出動させた。彼らは、ハダドエゼルの軍の司令官ショバクに率いられてヘラムに着いた。 10:17報告を受けたダビデもイスラエルの全軍を集結させ、ヨルダン川を渡ってヘラムに向かった。アラム軍は戦列を整えてダビデを迎え撃ち、戦ったが、 10:18彼らはイスラエルの前から逃げ去った。ダビデはアラムの戦車兵七百、騎兵四万を殺し、軍の司令官ショバクもその場で打ち殺した。 10:19ハダドエゼルに隷属していた王たちは皆、イスラエルに敗北したことを認めて和を請い、イスラエルに隷属した。アラム人は恐れて、二度とアンモン人を支援しなかった。
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サムエル記下11章1節~27節
1年が改まり、王たちが出陣する時期になった。ダビデは、ヨアブとその指揮下においた自分の家臣、そしてイスラエルの全軍を送り出した。彼らはアンモン人を滅ぼし、ラバを包囲した。しかしダビデ自身はエルサレムにとどまっていた。 2ある日の夕暮れに、ダビデは午睡から起きて、王宮の屋上を散歩していた。彼は屋上から、一人の女が水を浴びているのを目に留めた。女は大層美しかった。 3ダビデは人をやって女のことを尋ねさせた。それはエリアムの娘バト・シェバで、ヘト人ウリヤの妻だということであった。 4ダビデは使いの者をやって彼女を召し入れ、彼女が彼のもとに来ると、床を共にした。彼女は汚れから身を清めたところであった。女は家に帰ったが、 5子を宿したので、ダビデに使いを送り、「子を宿しました」と知らせた。 6ダビデはヨアブに、ヘト人ウリヤを送り返すように命令を出し、ヨアブはウリヤをダビデのもとに送った。 7ウリヤが来ると、ダビデはヨアブの安否、兵士の安否を問い、また戦況について尋ねた。 8それからダビデはウリヤに言った。「家に帰って足を洗うがよい。」ウリヤが王宮を退出すると、王の贈り物が後に続いた。 9しかしウリヤは王宮の入り口で主君の家臣と共に眠り、家に帰らなかった。 10ウリヤが自分の家に帰らなかったと知らされたダビデは、ウリヤに尋ねた。「遠征から帰って来たのではないか。なぜ家に帰らないのか。」 11ウリヤはダビデに答えた。「神の箱も、イスラエルもユダも仮小屋に宿り、わたしの主人ヨアブも主君の家臣たちも野営していますのに、わたしだけが家に帰って飲み食いしたり、妻と床を共にしたりできるでしょうか。あなたは確かに生きておられます。わたしには、そのようなことはできません。」 12ダビデはウリヤに言った。「今日もここにとどまるがよい。明日、お前を送り出すとしよう。」ウリヤはその日と次の日、エルサレムにとどまった。 13ダビデはウリヤを招き、食事を共にして酔わせたが、夕暮れになるとウリヤは退出し、主君の家臣たちと共に眠り、家には帰らなかった。 14翌朝、ダビデはヨアブにあてて書状をしたため、ウリヤに託した。 15書状には、「ウリヤを激しい戦いの最前線に出し、彼を残して退却し、戦死させよ」と書かれていた。 16町の様子を見張っていたヨアブは、強力な戦士がいると判断した辺りにウリヤを配置した。 17町の者たちは出撃してヨアブの軍と戦い、ダビデの家臣と兵士から戦死者が出た。ヘト人ウリヤも死んだ。 18ヨアブはダビデにこの戦いの一部始終について報告を送り、 19使者に命じた。「戦いの一部始終を王に報告し終えたとき、 20もし王が怒って、『なぜそんなに町に接近して戦ったのか。城壁の上から射かけてくると分かっていたはずだ。 21昔、エルベシェトの子アビメレクを討ち取ったのは誰だったか。あの男がテベツで死んだのは、女が城壁の上から石臼を投げつけたからではないか。なぜそんなに城壁に接近したのだ』と言われたなら、『王の僕ヘト人ウリヤも死にました』と言うがよい。」 22使者は出発し、ダビデのもとに到着してヨアブの伝言をすべて伝えた。 23使者はダビデに言った。「敵は我々より優勢で、野戦を挑んで来ました。我々が城門の入り口まで押し返すと、 24射手が城壁の上から僕らに矢を射かけ、王の家臣からも死んだ者が出、王の僕ヘト人ウリヤも死にました。」 25ダビデは使者に言った。「ヨアブにこう伝えよ。『そのことを悪かったと見なす必要はない。剣があればだれかが餌食になる。奮戦して町を滅ぼせ。』そう言って彼を励ませ。」 26ウリヤの妻は夫ウリヤが死んだと聞くと、夫のために嘆いた。 27喪が明けると、ダビデは人をやって彼女を王宮に引き取り、妻にした。彼女は男の子を産んだ。ダビデのしたことは主の御心に適わなかった。
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サムエル記下12章1節~25節
1主はナタンをダビデのもとに遣わされた。ナタンは来て、次のように語った。「二人の男がある町にいた。一人は豊かで、一人は貧しかった。 2豊かな男は非常に多くの羊や牛を持っていた。 3貧しい男は自分で買った一匹の雌の小羊のほかに/何一つ持っていなかった。彼はその小羊を養い/小羊は彼のもとで育ち、息子たちと一緒にいて/彼の皿から食べ、彼の椀から飲み/彼のふところで眠り、彼にとっては娘のようだった。 4ある日、豊かな男に一人の客があった。彼は訪れて来た旅人をもてなすのに/自分の羊や牛を惜しみ/貧しい男の小羊を取り上げて/自分の客に振る舞った。」 5ダビデはその男に激怒し、ナタンに言った。「主は生きておられる。そんなことをした男は死罪だ。 6小羊の償いに四倍の価を払うべきだ。そんな無慈悲なことをしたのだから。」 7ナタンはダビデに向かって言った。「その男はあなただ。イスラエルの神、主はこう言われる。『あなたに油を注いでイスラエルの王としたのはわたしである。わたしがあなたをサウルの手から救い出し、 8あなたの主君であった者の家をあなたに与え、その妻たちをあなたのふところに置き、イスラエルとユダの家をあなたに与えたのだ。不足なら、何であれ加えたであろう。 9なぜ主の言葉を侮り、わたしの意に背くことをしたのか。あなたはヘト人ウリヤを剣にかけ、その妻を奪って自分の妻とした。ウリヤをアンモン人の剣で殺したのはあなただ。 10それゆえ、剣はとこしえにあなたの家から去らないであろう。あなたがわたしを侮り、ヘト人ウリヤの妻を奪って自分の妻としたからだ。』 11主はこう言われる。『見よ、わたしはあなたの家の者の中からあなたに対して悪を働く者を起こそう。あなたの目の前で妻たちを取り上げ、あなたの隣人に与える。彼はこの太陽の下であなたの妻たちと床を共にするであろう。 12主はこう言われる。『見よ、わたしはあなたの家の者の中からあなたに対して悪を働く者を起こそう。あなたの目の前で妻たちを取り上げ、あなたの隣人に与える。彼はこの太陽の下であなたの妻たちと床を共にするであろう。 13ダビデはナタンに言った。「わたしは主に罪を犯した。」ナタンはダビデに言った。「その主があなたの罪を取り除かれる。あなたは死の罰を免れる。 14しかし、このようなことをして主を甚だしく軽んじたのだから、生まれてくるあなたの子は必ず死ぬ。」 15ナタンは自分の家に帰って行った。主はウリヤの妻が産んだダビデの子を打たれ、その子は弱っていった。 16ダビデはその子のために神に願い求め、断食した。彼は引きこもり、地面に横たわって夜を過ごした。 17王家の長老たちはその傍らに立って、王を地面から起き上がらせようとしたが、ダビデはそれを望まず、彼らと共に食事をとろうともしなかった。 18七日目にその子は死んだ。家臣たちは、その子が死んだとダビデに告げるのを恐れ、こう話し合った。「お子様がまだ生きておられたときですら、何を申し上げてもわたしたちの声に耳を傾けてくださらなかったのに、どうして亡くなられたとお伝えできよう。何かよくないことをなさりはしまいか。」 19ダビデは家臣がささやき合っているのを見て、子が死んだと悟り、言った。「あの子は死んだのか。」彼らは答えた。「お亡くなりになりました。」 20ダビデは地面から起き上がり、身を洗って香油を塗り、衣を替え、主の家に行って礼拝した。王宮に戻ると、命じて食べ物を用意させ、食事をした。 21家臣は尋ねた。「どうしてこのようにふるまわれるのですか。お子様の生きておられるときは断食してお泣きになり、お子様が亡くなられると起き上がって食事をなさいます。」 22彼は言った。「子がまだ生きている間は、主がわたしを憐れみ、子を生かしてくださるかもしれないと思ったからこそ、断食して泣いたのだ。 23だが死んでしまった。断食したところで、何になろう。あの子を呼び戻せようか。わたしはいずれあの子のところに行く。しかし、あの子がわたしのもとに帰って来ることはない。」 24ダビデは妻バト・シェバを慰め、彼女のところに行って床を共にした。バト・シェバは男の子を産み、ダビデはその子をソロモンと名付けた。主はその子を愛され、 25預言者ナタンを通してそのことを示されたので、主のゆえにその子をエディドヤ(主に愛された者)とも名付けた。
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