神の箱の帰還 2020年12月09日(水曜 聖書と祈りの会)
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神の箱の帰還
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- 村田寿和 牧師
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サムエル記上 6章1節~12節
聖書の言葉
6:1 主の箱は、七か月の間ペリシテの地にあった。
6:2 ペリシテ人は、祭司たちと占い師たちを呼んで尋ねた。「主の箱をどうしたものでしょう。どのようにしてあれを元の所に送り返したらよいのか、教えてください。」
6:3 彼らは答えた。「イスラエルの神の箱を送り返すにあたっては、何も添えずに送ってはならない。必ず賠償の献げ物と共に返さなければならない。そうすれば、あなたたちはいやされ、神の手があなたたちを離れなかった理由も理解できよう。」
6:4 ペリシテ人は言った。「それでは、返すにあたって、賠償の献げ物は何がよいのでしょうか。」彼らは答えた。「同一の災厄があなたたち全員とあなたたちの領主にくだったのだから、ペリシテの領主の数に合わせて、五つの金のはれ物と五つの金のねずみにしなさい。
6:5 はれ物の模型と大地を荒らすねずみの模型を造って、イスラエルの神に栄光を帰すならば、恐らくイスラエルの神は、あなたたち、あなたたちの神々、そしてあなたたちの土地の上にのしかかっているその手を軽くされるだろう。
6:6 なぜ、あなたたちは、エジプト人とファラオがその心を固くしたように、心を固くするのか。神が彼らを悩ませたので、彼らはイスラエル人を行かせざるをえなくなり、イスラエル人は去って行ったではないか。
6:7 今、新しい車一両と、まだ軛をつけたことのない、乳を飲ませている雌牛二頭を用意しなさい。雌牛を車につなぎ、子牛は引き離して小屋に戻しなさい。
6:8 主の箱を車に載せ、賠償の献げ物として主に返す金の品物を箱に入れ、傍らに置きなさい。それを送り出し、行くがままにしなさい。
6:9 そして見ていて、それが自分の国に向かう道を、ベト・シェメシュへ上って行くならば、我々に対してこの大きな災難を起こしたのは彼らの神だ。もし、その方向に上って行かなければ、彼らの神の手が我々を打ったのではなく、偶然の災難だったのだということが分かる。」
6:10 人々はそのとおりに行った。乳を飲ませている二頭の雌牛を連れて来て車につなぎ、子牛を小屋に閉じ込めた。
6:11 主の箱を車に載せ、金で造ったねずみとはれ物の模型を入れた箱も載せた。
6:12 雌牛は、ベト・シェメシュに通じる一筋の広い道をまっすぐに進んで行った。歩きながら鳴いたが、右にも左にもそれなかった。ペリシテの領主たちは、ベト・シェメシュの国境まで後をつけて行った。サムエル記上 6章1節~12節
メッセージ
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今朝は、『サムエル記上』の第6章1節から12節より、「神の箱の帰還」という題でお話しします。
前回、私たちは、ペリシテの町に、主の御手が重くのしかかり、災害をもたらしたことを学びました。主はペリシテ人に、はれ物の災いをもたらしたのです。それで、ペリシテの領主たちは、イスラエルの神の箱を送り返すことにしました。はれ物の災いによって多くの人が死に、死を免れた人々も苦しみの叫びを上げていたからです。今朝の御言葉はその続きとなります。
主の箱は、七ヶ月の間ペリシテの地にありました。ペリシテ人が神の箱を奪ってアシュドドへ運んでから、ペリシテ人が神の箱を送り返すと決めるまでの七ヶ月間、主の箱はペリシテの地にあったのです。ペリシテ人は、祭司たちと占い師たちを呼んで、こう尋ねました。「主の箱をどうしたものでしょう。どのようにしてあれを元の所に送り返したらよいのか、教えてください」。ペリシテ人は、主の箱を送り返すことを決めていましたが、どのように送り返せばよいかが分かりませんでした。それで、彼らは自分たちの祭司たちと占い師たちに、その方法を尋ねたのです。彼らはこう答えました。「イスラエルの神の箱を送り返すにあたっては、何も添えずに送ってはならない。必ず賠償の献げ物と共に返さなければならない。そうすれば、あなたたちはいやされ、神の手があなたたちを離れなかった理由も理解できよう」。何も添えずに神の箱を送り返すことは、何も持たせずに神さまを追い出すことです。それでは、神さまの怒りを買い、ますます神の御手を重くしてしまいます。それで祭司たちは、「必ず賠償の献げ物と共に返さなければならない」と言ったのです。ペリシテ人が神の箱を奪って、ペリシテの地に運んだことは、神さまに対する罪であり、その罪を赦していただくために、賠償の献げ物をささげる必要があったのです。祭司たちは、「そうすれば、あなたたちはいやされ、神の手があなたたちを離れなかった理由も理解できよう」と言っています。ペリシテ人に主の御手が重くのしかかり、はれ物の災いが広がったのは、神の箱をイスラエルから奪い、ペリシテの地に運び込んだ罪に対する刑罰であったのです。ですから、神の箱を賠償の献げ物と共にイスラエルの地へ送り返すならば、あなたたちは癒されるであろうと祭司たちは言ったのです。ペリシテ人は、更に尋ねます。「それでは、返すにあたって、賠償の献げ物は何がよいでしょうか」。祭司たちはこう答えました。「同一の災厄があなたたち全員とあなたたちの領主にくだったのだから、ペリシテの領主の数に合わせて、五つの金のはれ物と五つの金のねずみにしなさい。はれ物の模型と大地を荒らすねずみの模型を造って、イスラエルの神に栄光を帰するならば、恐らくイスラエルの神は、あなたたち、あなたたちの神々、そしてあなたたちの土地の上にのしかかっているその手を軽くされるだろう」。ここには、病気の模型を造って神にささげ、癒されることを祈願するという古代世界の習慣があります。ペリシテ人は、はれ物の災いで苦しんでいました。また、ペリシテの土地は、ネズミによって穀物を食い荒らされるという災いをも被っていたようです。それで、祭司たちは、ペリシテの領主の数に合わせて、最も高価な金で、はれ物のかたちとネズミのかたちを五つずつ造り、賠償の献げ物としなさいと言うのです。そのようにして、イスラエルの神に栄光を帰すならば、イスラエルの神はペリシテ人とペリシテ人の神々とペリシテ人の土地に重くのしかかっている御手を軽くしてくださるだろうと言うのです。このような祭司たちの言葉を聞いて、ペリシテ人はためらったのではないでしょうか。イスラエルの神に栄光を帰すとは、イスラエルの神を礼拝することであり、イスラエルの神こそが神々の中の神であることを認めることでありました。ペリシテ人にとっては、敗北宣言にも等しい行為であったのです。それで、ペリシテ人の中にはためらう者たちも出て来たのです。そのような者たちに祭司たちは、こう言います。「なぜ、あなたたちは、エジプト人とファラオがその心を固くしたように、心を固くするのか。神が彼らを悩ませたので、彼らはイスラエル人を行かせざるをえなくなり、イスラエル人は去って行ったではないか」。ペリシテ人は、イスラエルの神が荒れ野でさまざまな災いを与えてエジプトを撃ったことを知っておりました(4:8参照)。エジプトの王ファラオが、心を固くして、災いを増し加えたように、ペリシテ人が心を固くして、神の箱をイスラエルに返さないならば、さらなる災いを招くことになるのです。そして、ついには神の箱を返さずにはおれなくなるのです。神の箱を賠償の献げ物と共に送り返すことをためらう者たちに、祭司たちは、さらに言います。「今、新しい車一両と、まだ軛をつけたことのない、乳を飲ませている雌牛二頭を用意しなさい。雌牛を車につなぎ、子牛は引き離して小屋に戻しなさい。主の箱を車に載せ、賠償の献げ物として主に返す金の品物を箱に入れ、傍らに置きなさい。それを送り出し、行くがままにしなさい。そして見ていて、それが自分の国に向かう道を、ベト・シェメシュへ上って行くならば、我々に対してこの大きな災いを起こしたのは彼らの神だ。もし、その方向に上っていかなければ、彼らの神の手が我々を打ったのではなく、偶然の災難だったのだということが分かる」。軛をつけたことのない牛は、なかなか車を引こうとはしないそうです。しかも、この二匹の牛は、子牛に乳を飲ませている雌牛でありました。子牛から引き離された雌牛は、本能的に子牛がいる小屋に向かいます。そのようなことを祭司たちはよく知っていて、それでも、雌牛たちが、イスラエルの地へ上っていくならば、ペリシテ人が被った大きな災いはイスラエルの神によるものだと言ったのです。そして、もしその方向に上っていかなければ(普通に考えれば、上って行かないのですが)、偶然の災難であったと言うのです。
人々は、そのとおりに行いました。すなわち、乳を飲ませている二頭の雌牛を連れて来て車につなぎ、子牛を小屋に閉じ込めたのです。そして、主の箱を車に載せ、金で造ったはれ物とねずみの模型を入れた箱を載せたのです。すると、雌牛は、ベト・シェメシュに通じる道をまっすぐに進んで行きました。雌牛は歩きながら鳴きましたが、右にも左にもそれず、まっすぐに進んだのです。雌牛は子牛を求めて鳴きましたが、その雌牛を神さまは、まっすぐに導かれたのです。そのようにして、神さまは、ペリシテ人に大きな災いをもたらしたのは御自分であることを示されたのです。ベト・シェメシュの国境まで後をつけて行ったペリシテの領主たちは、自分たちに大きな災いをもたらしたのは、イスラエルの神であることをはっきりと知ったのです。