ルツの決意 2020年7月15日(水曜 聖書と祈りの会)

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ルツの決意

日付
説教
村田寿和 牧師
聖書
ルツ記 1章8節~18節

聖句のアイコン聖書の言葉

1:7 故国ユダに帰る道すがら、
1:8 ナオミは二人の嫁に言った。「自分の里に帰りなさい。あなたたちは死んだ息子にもわたしにもよく尽くしてくれた。どうか主がそれに報い、あなたたちに慈しみを垂れてくださいますように。
1:9 どうか主がそれぞれに新しい嫁ぎ先を与え、あなたたちが安らぎを得られますように。」ナオミが二人に別れの口づけをすると、二人は声をあげて泣いて、
1:10 言った。「いいえ、御一緒にあなたの民のもとへ帰ります。」
1:11 ナオミは言った。「わたしの娘たちよ、帰りなさい。どうしてついて来るのですか。あなたたちの夫になるような子供がわたしの胎内にまだいるとでも思っているのですか。
1:12 わたしの娘たちよ、帰りなさい。わたしはもう年をとって、再婚などできはしません。たとえ、まだ望みがあると考えて、今夜にでもだれかのもとに嫁ぎ、子供を産んだとしても、
1:13 その子たちが大きくなるまであなたたちは待つつもりですか。それまで嫁がずに過ごすつもりですか。わたしの娘たちよ、それはいけません。あなたたちよりもわたしの方がはるかにつらいのです。主の御手がわたしに下されたのですから。」
1:14 二人はまた声をあげて泣いた。オルパはやがて、しゅうとめに別れの口づけをしたが、ルツはすがりついて離れなかった。
1:15 ナオミは言った。「あのとおり、あなたの相嫁は自分の民、自分の神のもとへ帰って行こうとしている。あなたも後を追って行きなさい。」
1:16 ルツは言った。「あなたを見捨て、あなたに背を向けて帰れなどと、そんなひどいことを強いないでください。わたしは、あなたの行かれる所に行き/お泊まりになる所に泊まります。あなたの民はわたしの民/あなたの神はわたしの神。
1:17 あなたの亡くなる所でわたしも死に/そこに葬られたいのです。死んでお別れするのならともかく、そのほかのことであなたを離れるようなことをしたなら、主よ、どうかわたしを幾重にも罰してください。」
1:18 同行の決意が固いのを見て、ナオミはルツを説き伏せることをやめた。

ルツ記 1章8節~18節

原稿のアイコンメッセージ

 今日は、旧約聖書の『ルツ記』の第1章8節から18節より、「ルツの決意」という題でお話します。

 夫と二人の息子に先立たれ、一人残されたナオミは、二人の嫁を連れてユダのベツレヘムに帰ろうとしました。しかし、その帰る道すがら、ナオミは考え直したようです。ナオミは二人の嫁にこう言います。「自分の里に帰りなさい。あなたたちは死んだ息子にもわたしにもよく尽くしてくれた。どうか主がそれに報い、あなたたちに慈しみを垂れてくださいますように。どうか主がそれぞれに新しい嫁ぎ先を与え、あなたたちが安らぎを得られますように。」ナオミは、二人の嫁に自分の里(母の家)に帰るように命じます。モアブの女である二人の嫁にとって、それが一番よいと考えたからです。古代の社会(士師が世を治めていた紀元前12世紀頃の社会)において、女性が生き延びる手段は結婚すること(夫の家に入ること)でした。二人の息子が死んでしまった今となっては、ナオミが二人の嫁にしてあげられることは何もありません。ナオミがしてあげられることは、二人と別れて、主の慈しみ(ヘセド)に委ねることだけであったのです。

 ナオミが二人に別れの口づけをすると、二人は声を上げて泣いて、こう言いました。「いいえ、御一緒にあなたの民のもとへ帰ります」。私たちはここから、ナオミと二人の嫁がとても親しい関係であったことが分かります。十年ほど生活を共にすることによって、ナオミと二人の嫁は互いを大切に思う母と娘たちとなっていたのです。

 ナオミはさらにこう言いました。「わたしの娘たちよ、帰りなさい。どうしてついて来るのですか。あなたたちの夫になるような子どもがわたしの胎内にまだいるとでも思っているのですか。わたしの娘たちよ、帰りなさい。わたしはもう年をとって、再婚などできはしません。たとえ、まだ望みがあると考えて、今夜にでもだれかのもとに嫁ぎ、子どもを産んだとしても、その子たちが大きくなるまであなたたちは待つつもりですか。それまで嫁がずに過ごすつもりですか。わたしの娘たちよ、それはいけません。あなたたちよりわたしの方がはるかにつらいのです。主の御手がわたしにくだされたのですから」。ここで、ナオミは、自分の里に帰ろうとしない娘たちを何とか帰そうとしています。ナオミは、自分が二人の娘に対して何もしてやれないことを、「たとえ、今夜誰かのもとに嫁いで、子供を産んだとしても」という仮定の話によって、具体的に示しています。二人の娘たちは、母親であるナオミが心配で一緒に行こうとするのですが、そのことは、二人の娘たちの人生を台無しにしてしまう恐れがあるわけです。それは、ナオミにとって、さらにつらいことであったのです。

 13節の「わたしの娘たちよ、それはいけません。あなたたちよりもわたしの方がはるかにつらいのです」という言葉は、どのような意味でしょうか。ナオミは夫を亡くしてやもめになり、さらには二人の息子を亡くしました。しかも、ナオミはもう年をとっていて、再婚することはできません。二人の娘は夫を亡くしてやもめになりましたが、まだ若いので、他の人に嫁ぐことができます。二人の娘には希望があるわけです。その二人の娘の希望が自分のために潰えてしまうことになれば、ナオミにとって、なおつらいことになるのです。ナオミは自分が体験したつらいことを、主の御手から受け取っています。夫が亡くなり、頼りにしていた二人の息子も亡くなってしまった。そして、二人の嫁(娘たち)とも離ればなれにならなければならない。そのようなつらいことが、なぜ、自分に起こるのか。それは分かりません。しかし、そのつらいことが主の御手からくだされたことをナオミは知っているのです。

 ナオミの二回目の説得を聞いて、二人の嫁はまた声をあげて泣きました。そして、オルパは、しゅうとめに別れの口づけをして去って行きました。しかし、ルツはナオミにすがりついて離れませんでした。

 ナオミはさらに言います。「あのとおり、あなたの相嫁は自分の民、自分の神のもとへ帰って行こうとしている。あなたも後を追って行きなさい」。オルパとルツはモアブの女ですが、モアブ人はケモシュという神を拝んでいました(列王上11:7参照)。それで、ナオミは、ルツに、「あなたも自分の民、自分の神のもとへ帰りなさい」と言ったのです。それに対して、ルツはこう言いました。「あなたを見捨て、あなたに背を向けて帰れなどと、そんなひどいことを強いないでください。わたしは、あなたの行かれるところに行き/お泊まりになる所に泊まります。あなたの民はわたしの民/あなたの神はわたしの神。あなたの亡くなる所でわたしも死に/そこに葬られたいのです。死んでお別れするのならともかく、そのほかのことであなたを離れるようなことをしたなら、主よ、どうかわたしを幾重にも罰してください」。ここには、ルツの固い決意が述べられています。その決意とは、ナオミの民を自分の民とし、ナオミの神を自分の神として生きる決意です。ここで、モアブ人であるルツが、イスラエルの神である「主」(ヤハウェ)の名を呼んでいます。ルツは、主の御名を呼んで、ナオミから離れないことを誓うのです。私たちはここから、十年ほどの共同生活によって、ルツが主を畏れ敬う者となっていたことを知らされます。ナオミを見捨てることができなかったのは、ルツが主を畏れ敬う者であったからなのです。「あなたの神はわたしの神」と言い表す前から、ルツは主(ヤハウェ)を畏れ敬う者であったのです。

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