知恵を見いだした人の幸い 2025年4月09日(水曜 聖書と祈りの会)

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知恵を見いだした人の幸い

日付
説教
村田寿和 牧師
聖書
箴言 3章13節~20節

聖句のアイコン聖書の言葉

3:13 幸いな者とは知恵を見いだした人/英知にあずかった人。
3:14 そのもうけは銀による利得にまさり/その収穫は金にまさる。
3:15 知恵は真珠よりも貴く/どのような財宝もこれに並びえない。
3:16 知恵の右の手には長寿/左の手には富と誉れがある。
3:17 知恵の道は友愛の道/その旅路はいずれも平安。
3:18 知恵は、それをつかむ人にとって命の木。/知恵を保つ人は幸いである。
3:19 主は知恵によって地の基を据え/英知によって天を定められた。
3:20 主の知識によって深淵は分かたれ/雲は露を滴らせる。箴言 3章13節~20節

原稿のアイコンメッセージ

 聖書と祈りの会では、「イスラエルの王、ダビデの子ソロモンの箴言」を学んでいます。今朝は、第3章13節から20節より、御言葉の恵みにあずかりたいと願います。

 13節から18節までをお読みします。

 幸いな者とは知恵を見いだした人/英知にあずかった人。そのもうけは銀による利得にまさり/その収穫は金にまさる。知恵は真珠よりも貴く/どのような財宝もこれに並びえない。知恵の右の手には長寿/左の手には富と誉れがある。知恵の道は友愛の道/その旅路はいずれも平安。知恵は、それをつかむ人にとって命の木。知恵を保つ人は幸いである。

 ソロモンは、「幸いな者とは知恵を見いだした人/英知(優れた知恵)にあずかった人」と言います。なぜなら、「知恵のもうけは銀による利得にまさり、知恵の収穫は金にまさる」からです。銀は貨幣であり、それを元手に商売をして殖やすことができます。しかし、知恵は銀による利得にまさるもうけを私たちに与えてくれるのです。知恵の収穫は黄金よりも良いものであるのです。また、ソロモンは、「知恵は真珠よりも貴く、どのような財宝もこれに並びえない」と言います。なぜなら、知恵は右手には長寿を持ち、左手には富と誉れを持っているからです。長寿と富と誉れは、神からの祝福であると考えられていました。知恵は、その長寿と富と誉れを持っているのです。知恵を見いだし、英知にあずかるならば、その人は長寿と富と誉れにあずかることができるのです。このことは、『列王記上』の第3章で、主がソロモンに言われたことでもあります。旧約の517ページです。4節から14節までをお読みします。

 王はいけにえをささげるためにギブオンへと行った。そこには最も重要な高き所があったからである。ソロモンはその祭壇の上で、一千頭の焼き尽くすいけにえを献げた。その夜ギブオンで、主は夢の中でソロモンに現れた。「願い事があれば、言いなさい。かなえてあげよう」と神は言われた。ソロモンは答えた。「あなたは、あなたの僕である父ダビデに、大いなる慈しみを示されました。彼が真実と正義と正直な心を持って御前を歩んだからです。あなたはこの大いなる慈しみを守り続け、今日、その座に着く子を与えられました。わが神、主よ。この度、あなたは父ダビデに代わって、この僕を王とされました。しかし、私は未熟な若者で、どのように振る舞えばよいのか分かりません。僕はあなたがお選びになった民の中の一人ですが、民は多く、その多さのゆえに数えることも調べることもできません。どうか、この僕に聞き分ける心を与え、あなたの民を治め、善と悪をわきまえることができるようにしてください。そうでなければ、誰がこの数多くのあなたの民を治めることができるでしょうか。」

 ソロモンが願ったことは、主の目に適う良いことであった。神は言われた。「あなたがた願ったのは、自分のための長寿を求めることでもなく、富を求めることでもなく、また敵の命を求めることでもなかった。あなたが願ったのは、訴えを聞き分ける分別であった。それゆえ、あなたの言うとおりに、知恵に満ちた聡明な心を与える。あなたのような者は、前にはいなかったし、この後にも出ないであろう。私はまた、あなたが求めなかったもの、富みも栄誉も与えよう。生涯にわたり、王の中であなたに並び立つような者は一人もいない。父ダビデが歩んだように、あなたが私の掟と戒めを守り、私の道を歩むなら、私はあなたに長寿を与えよう。」

 ソロモンの知恵は、主から賜物として与えられたものでした。主は、ソロモンの願いのとおり、「知恵に満ちた聡明な心」を与えられたのです。また、主は、「富と栄誉も与えよう」と言われます。さらには、「長寿を与えよう」と言われます。それは、「知恵の右の手には長寿/左の手には富と誉れがある」からです。ソロモンに与えられた知恵は、富と栄誉と長寿をもたらすのです。

 今朝の御言葉に戻ります。旧約の976ページです。

 17節に「知恵の道は友愛の道」とあります。この所を新改訳2017は「知恵の道は楽しい道」と訳しています。知恵の道とは「知恵と共に歩む人生」と言えます。知恵と共に歩む人生は楽しく、その人生にはどのようなときも平安(シャローム)があるのです。ソロモンは、「知恵は、それをつかむ人にとって命の木」と言います。ここでの「命の木」は、人生に活力を与えるものの象徴であり、幸福をもたらす成功の象徴です。知恵はそれをつかむ人の人生に活力を与え、幸福をもたらす成功を与えてくれるのです。また、「命の木」という言葉は、私たちに、エデンの園の中央に、善悪を知る木と並んではえていた「命の木」を思い起こさせます。神の戒めに背いて、善悪の知識の木から取って食べたアダムは、エデンの園から追放されてしまいました。神は、人が命の木から取って食べないように、その道をケルビムときらめく剣の炎によって閉ざされました。その命の木を、私たちに思い起こさせつつ、ソロモンは、「知恵は、それをつかむ人にとって命の木。知恵を保つ人は幸いである」と言うのです。人は知恵を見いだし、知恵を保つことによって幸いに生きることができるのです。私たちにとって、知恵とはイエス・キリストと父なる神を知ることであります。そのような知恵こそ、私たちにとっての命の木であり、永遠の命であるのです(ヨハネ17:3参照)。私たちは、イエス・キリストという神の知恵を見いだしました。そして、イエス・キリストという神の英知にあずかる者となりました。そのような幸いな者として、私たちは楽しく、平安に信仰生活(教会生活)を送っているのです。

 19節と20節をお読みします。

 主は知恵によって地の基を据え/英知によって天を定められた。主の知識によって深淵は分かたれ/雲は露を滴らせる。

 ソロモンは、主が知恵によって世界(宇宙)をお造りになったと言います。『創世記』の第1章に、神が力ある御言葉によって、天地万物を造られたことが記されています。神の力ある御言葉は、神の賢い知恵でもあるのです。主(ヤハウェ)は、知恵によって地の基を据え、英知によって天を定められました。主は知恵によって、この世界を秩序ある世界として造られたのです。そして、主は、地上の水蒸気が上昇して、雲になり、雨を降らせるという秩序(自然法則)によって、人間に糧を与えてくださっているのです。ソロモンが教える知恵は、秩序をもって世界を造り、秩序をもって世界を保ち、治めておられる神を知ることに由来します。ソロモンが「幸いである」という知恵は、神を忘れた人間社会の処世術のことではなく、主を畏れることを源とする知恵であるのです。

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