2024年01月07日「恵みのあふれる年」
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恵みのあふれる年
- 日付
- 説教
- 小宮山裕一 牧師
- 聖書
詩編 65章1節~14節
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聖書の言葉
沈黙してあなたに向かい、賛美をささげます。シオンにいます神よ。あなたに満願の献げ物をささげます。祈りを聞いてくださる神よ。すべて肉なるものはあなたのもとに来ます。
罪の数々がわたしを圧倒します。背いたわたしたちを、あなたは贖ってくださいます。いかに幸いなことでしょう、あなたに選ばれ、近づけられ、あなたの庭に宿る人は。恵みの溢れるあなたの家、聖なる神殿によって、わたしたちが満ち足りますように。
わたしたちの救いの神よ、あなたの恐るべき御業が、わたしたちへのふさわしい答えでありますように。遠い海、地の果てに至るまで、すべてのものがあなたに依り頼みます。御力をもって山々を固く据え、雄々しさを身に帯びておられる方。大海のどよめき、波のどよめき、諸国の民の騒ぎを鎮める方。お与えになる多くのしるしを見て、地の果てに住む民は畏れ敬い、朝と夕べの出で立つところには、喜びの歌が響きます。
あなたは地に臨んで水を与え、豊かさを加えられます。神の水路は水をたたえ、地は穀物を備えます。あなたがそのように地を備え、畝を潤し、土をならし、豊かな雨を注いで柔らかにし、芽生えたものを祝福してくださるからです。あなたは豊作の年を冠として地に授けられます。あなたの過ぎ行かれる跡には油が滴っています。荒れ野の原にも滴り、どの丘も喜びを帯とし牧場は羊の群れに装われ、谷は麦に覆われています。ものみな歌い、喜びの叫びをあげています。詩編 65章1節~14節
メッセージ
今年も神さまに期待し、新たな年を始めたい。年が明けると新たな気持ちになる。新年は気分を新たにする良い機会である。しかし、今年は地震や事故などで始まり、不安定な気持ちを抱えているのではないだろうか。そのような時だからこそ御言葉に心を寄せたいと思う。静まり、神さまに思いを向けることで、不安や騒がしさを超える力を得られるはずだ。
詩編65:2は、「沈黙して神に向かい、賛美をささげ」と述べている。沈黙、すなわち静寂は、神と向き合うために重要である。自らが退き、神に思いを向けるのは信仰者として相応しい。しかし、常に静かに祈ることができるわけではない。興味深いことに、この詩編は別の訳では沈黙が「誓い」になっている。そのように理解するのも可能である。そうであれば、神に思いを向けることを誓うということになる。そう考えれば沈黙していようと忙しい中であろうと、神に心を向け、賛美をささげる信仰者の姿をこの詩編は描いていることになるだろう。新しい年、神に思いを新たにし、その誓いを行う。
この詩編は、神さまの恵みがいかに豊かであるかを教えてくれる。詩編65編は、赦し、力、恵みの3つの部分に分けられる。まず2-5節では、神さまからの赦しと新しい始まりが強調される。特に、神さまの赦しは1節に言及されているダビデの人生と深く結びついている。ダビデの人生は「勝利と罪のタペストリー」。イスラエルの王として連戦連勝を重ねる優れた王であるダビデは、多くの罪を犯し、多くの罪を赦された人生だった。彼の人生は、信仰による救いの確かさと人間としての弱さの両方を示し、赦しの深さをより一層際立たせる。
6-9節では、神さまの力強さと主権が描かれる。神さまは一人ひとりを救われるお方でありながら全宇宙を支配する力強い創造主でもあられる。この世界には神の支配の及ばない領域は一ミリもない。悲惨な現実を前にして私たちは神が本当にいるのかと問う。それでもこの悲惨な現実を前にしても、主がいることを信じるところから、私たちは前を向くことができるのではないか。
10-14節では、被造世界における神さまの恵みが強調されている。日々の小さな瞬間にも神さまの恵みがある。ここに描かれているのは何気ない日常の普段の風景。そこに、神の恵みを見る幸いが信仰者には与えられてる。日常の中で神を見出し、その恵みに感謝する心を持つことは、私たちの信仰生活において非常に重要。詩篇65編の最終セクションでは、自然界における神さまの恵み、すなわち大地の実りや日々の恵みに焦点を当てていまる。私たちは、特別な時だけでなく、日常の一瞬一瞬においても神さまの配慮を感じ取ることができるのだ。
私が説教をする際に重視しているのは、御言葉を通して、聴き手の見る世界が変わること。私たちの日々の生活において、神さまの恵みを見つけ出すことが、私たちの信仰生活を豊かにするだろう。詩篇65篇では、日常の風景の中に神さまの恵みを見出しています。普段何気なく見過ごしてしまう風景も、神さまの恵みを通して見ると、全く異なるものに感じられるのではないか。御言葉の説教を通して、神の恵みに感謝し、世界に働かれる神の恵みに思いを向けて参りたい。
私たちは詩篇65篇を通じて、神さまの役割について深く理解し、新年に向けて神の赦し、力、恵みに対する畏敬の念を新たにすることが求められている。この一年が、信仰を深め、神さまの臨在を意識し、神さまの限りない賜物に対する賛美を捧げ続ける一年となりますように。神さまの恵みのあふれる年として、心新たに歩みを進めて参りたい。