2023年04月30日「十戒とは何か」
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十戒とは何か
- 日付
- 説教
- 金原堅二 牧師
- 聖書
出エジプト記 20章1節~17節
聖書の言葉
※漢数字は付け加えました。2節は序文、(一)〜(十)の戒めが、いわゆる「十戒」です。
1神はこれらすべての言葉を告げられた。
2「わたしは主、あなたの神、あなたをエジプトの国、奴隷の家から導き出した神である。
3(一)あなたには、わたしをおいてほかに神があってはならない。
4(二)あなたはいかなる像も造ってはならない。上は天にあり、下は地にあり、また地の下の水の中にある、いかなるものの形も造ってはならない。 5あなたはそれらに向かってひれ伏したり、それらに仕えたりしてはならない。わたしは主、あなたの神。わたしは熱情の神である。わたしを否む者には、父祖の罪を子孫に三代、四代までも問うが、 6わたしを愛し、わたしの戒めを守る者には、幾千代にも及ぶ慈しみを与える。
7(三)あなたの神、主の名をみだりに唱えてはならない。みだりにその名を唱える者を主は罰せずにはおかれない。
8(四)安息日を心に留め、これを聖別せよ。 9六日の間働いて、何であれあなたの仕事をし、 10七日目は、あなたの神、主の安息日であるから、いかなる仕事もしてはならない。あなたも、息子も、娘も、男女の奴隷も、家畜も、あなたの町の門の中に寄留する人々も同様である。 11六日の間に主は天と地と海とそこにあるすべてのものを造り、七日目に休まれたから、主は安息日を祝福して聖別されたのである。
12(五)あなたの父母を敬え。そうすればあなたは、あなたの神、主が与えられる土地に長く生きることができる。
13(六)殺してはならない。
14(七)姦淫してはならない。
15(八)盗んではならない。
16(九)隣人に関して偽証してはならない。
17(十)隣人の家を欲してはならない。隣人の妻、男女の奴隷、牛、ろばなど隣人のものを一切欲してはならない。」出エジプト記 20章1節~17節
メッセージ
2節の言葉は、いわゆる十戒の「序文」にあたる文言です。神様はイスラエルの民たちに、エジプトから解放された、その救いの恵みを思い起こさせておられます。
なぜそうするのかと言いますと、神様は、イスラエルの民を救う条件として、十戒を与えたのではないからです。「私があなたの神となったのだから」という、救いが先にあるからです(19章参照)。つまり、十戒は、「これを守れば救われる」「守れなかったら滅びる」といったものではなく、救われた者が守るべき生活の指針として与えられたものなのです。
さて、こうしたイスラエルと神様との関係性において与えられた十戒ですが、これは現代の私たちに決して無関係なことではありません。
私たちはイスラエルの民のようにエジプトの奴隷から解放されたわけではありませんが、罪という奴隷から解放されたのです。イエス・キリストが私たちの罪を背負って十字架に死んでくださったことによって、私たちは罪と死から救われました。私たちを罪から救い、宝としてくださるために、キリストはご自身の命を十字架でささげて私たちに与えてくださったのです。私たちは、神様がその独り子イエス・キリストの十字架と復活によって与えてくださった新しい契約に生きている者です。
イスラエルの民は、ただ神の恵みによってエジプトの奴隷状態から導き出され、救われました。
私たちは、ただイエス・キリストの十字架の恵みによって、罪の奴隷状態から贖われ、罪赦されて、永遠の命にあずかるものとされました。
私たちには、まず、この救いの恵みが与えられています。その上で、私たちは、罪と死の力から導き出してくださった神様の救いの恵みと愛に応えて、神様の御心である十戒を捉えていくのです。契約によって築かれる「神様と私たちとの関係」は、その本質において、いつの時代も変わることがありません。私たちは、罪赦され、新しくされた神の民として、神様に対してまっすぐに歩むための指針として、感謝をもってこれを行うことが求められているのです。
イエス・キリストが仰っていたように、十戒を中心とする律法全体の要約は、「神を愛すること」そして「自分を愛するように隣人を愛すること」です(マタイ22:34-40など)。
そのために与えられた十戒を真剣に受け止めて、神様の御心に従って生きることは、信仰を心の問題だけに留めてしまうことなく、具体的な信仰生活の中に福音の輝きをもたらします。
キリストの福音というものが、私たちの生活の中に確かに根ざしていくのです。私たちは、罪の奴隷から解放されて、神様に向かって歩む自由が与えられています。
私たち自身の信仰生活にとっても、教会共同体を形作る上でも、大切なことはその健やかさです。健やかであるとは、神様を信じて、キリストの福音を信じている私たちが、その信仰生活の中で本当に喜びに満たされ、感謝に満たされて歩むことです。
そのための生活の指針として、これらの言葉を確かに心に留めて、新しい一週間の生活に向かっていきましょう。