2022年10月16日「罪を赦す権威」

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聖句のアイコン聖書の言葉

1イエスは舟に乗って湖を渡り、自分の町に帰って来られた。
2すると、人々が中風の人を床に寝かせたまま、イエスのところへ連れて来た。イエスはその人たちの信仰を見て、中風の人に、「子よ、元気を出しなさい。あなたの罪は赦される」と言われた。
3ところが、律法学者の中に、「この男は神を冒瀆している」と思う者がいた。
4イエスは、彼らの考えを見抜いて言われた。「なぜ、心の中で悪いことを考えているのか。
5『あなたの罪は赦される』と言うのと、『起きて歩け』と言うのと、どちらが易しいか。
6人の子が地上で罪を赦す権威を持っていることを知らせよう。」そして、中風の人に、「起き上がって床を担ぎ、家に帰りなさい」と言われた。
7その人は起き上がり、家に帰って行った。
8群衆はこれを見て恐ろしくなり、人間にこれほどの権威をゆだねられた神を賛美した。マタイによる福音書 9章1節~8節

原稿のアイコンメッセージ

 イエス様がカファルナウムに戻られたとき、ひとりの病人が運ばれてきました。この人は、中風を患っていたようです。中風とは、脳出血などによって体が麻痺して、半身不随になる病気です。この人は、寝床に寝かせたまま、イエス様のところに運び込まれてきました。体が麻痺して、寝たきりだったため、彼は自分の足でイエス様のもとに来ることができなかったのです。けれども、自分の足で歩くことができないこの人のために、いわば彼の足になってくれる人たちがいたのでした。

 イエス様はこの、周りの人たちの信仰を見て、「子よ、元気を出しなさい。あなたの罪は赦される」と応答されます。イエス様はまず中風の人に罪の赦しを宣言されました。これは、この人を運び込んできた人たちにとって、求めていたものとは違っていたように思われます。彼らは、この中風の人の体の癒しを求めてきたはずですが、実際には罪の赦しがそれに先立っていたのです。イエス様はなぜ、癒しの求めに対して、罪の赦しを宣言されたのでしょうか。

 私たちは、現実に起こってくる目に見える現象だけを見て、その解決だけを求めてしまうものです。苦しいときにだけ神様を求めて、それが解決されたら神様を忘れてしまう場合があるのだと思います。しかしながら、全ての苦しみと悲惨の根本的な原因である罪の赦しがないところでは、まことの平安はありません。今回で言えば、病気が、直接的に「この人の罪の結果だ」とは決して言えませんが、病気という苦難が存在することの根本的な原因は「罪」です。それゆえ、イエス様はまず、罪の赦しをお与えになるのです。罪の赦しのあるところに、心と体の平安と健全さが回復していきます。それゆえ、今日の御言葉が本当に伝えたいことは、あらゆる苦しみや悲惨の根本的な原因である罪の赦しを、イエス・キリストが実際にお与えになる、ということです。

 イエス様は罪の赦しを宣言されましたが、これは決して簡単に容易く言葉にしたものではありません。イエス様は、実際に私たちひとりひとりが抱えている罪が赦されるために、十字架にかけられて、苦しんだ末に命を落とされました。それは一面ではイエス様を批判する人たちの手によるものでありましたが、そうすることを通して、私たちが自分では抱えきれない重さをもった罪を担って、私たちに罪の赦しを得させるための、神様の救いの御計画が実現するのです。イエス様は決して無責任に「赦す」と口にしているのではなくて、神の権威をもって、ご自分の命と引き換えに人の罪を赦してくださるのです。

 イエス様は「人の子が地上で罪を赦す権威を持っていることを知らせよう」と言って、中風の人の病を癒やされました。このことを通して、イエス様の言葉が真実であることを今日の御言葉は証言しています。私たちの主であるイエス・キリストが、その権威と力をもって、今日このとき、私たちにも「子よ、元気を出しなさい。あなたの罪は赦される」と宣言してくださるのです。