2022年10月09日「悪霊を追放するキリスト」

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悪霊を追放するキリスト

日付
説教
金原堅二 牧師
聖書
マタイによる福音書 8章28節~34節

聖句のアイコン聖書の言葉

28イエスが向こう岸のガダラ人の地方に着かれると、悪霊に取りつかれた者が二人、墓場から出てイエスのところにやって来た。二人は非常に狂暴で、だれもその辺りの道を通れないほどであった。
29突然、彼らは叫んだ。「神の子、かまわないでくれ。まだ、その時ではないのにここに来て、我々を苦しめるのか。」
30はるかかなたで多くの豚の群れがえさをあさっていた。
31そこで、悪霊どもはイエスに、「我々を追い出すのなら、あの豚の中にやってくれ」と願った。
32イエスが、「行け」と言われると、悪霊どもは二人から出て、豚の中に入った。すると、豚の群れはみな崖を下って湖になだれ込み、水の中で死んだ。
33豚飼いたちは逃げ出し、町に行って、悪霊に取りつかれた者のことなど一切を知らせた。
34すると、町中の者がイエスに会おうとしてやって来た。そして、イエスを見ると、その地方から出て行ってもらいたいと言った。マタイによる福音書 8章28節~34節

原稿のアイコンメッセージ

 ガダラ人の地方で、イエス様は悪霊に取り憑かれた2人の人物に出会います。この人たちの様子は、まさに異様でした。彼らは墓場から出てきてイエス様のところにやってきました。墓場とは、およそ人が住むところではありませんし、死人の世界を象徴する場所です。この人たちは、人間の生きた交わりの世界から漏れ出てしまって、人間社会から離れたところを住処としていたのでした。いわば、生きた世界から切り離されて死人の世界に閉じ込められてしまっていたのです。

この人たちにも色々な人間関係があったことでしょう。家族がいたでしょうし、親しい人がいたかもしれません。けれども、彼らはその人たちと一緒に生きることができないのです。魂が縛られて、自分と他人を傷つけるしかなかったのです。その様子は、生きていながら死んでしまっている、死に支配されてしまっている状態です。彼らが墓場にいたとは、そういう状態を現しています。

 ここまで極端でないかもしれませんが、この2人と同じ現実を生きている人が今の世の中に少なくないとも思います。墓場に住んでいるわけではなくても、他の人と関わり合いになりたくないという人がいるでしょう。周りの人に心を閉ざして生きている人がいるでしょう。私たちもまた、人を傷つけることがあるでしょう。あるいは傷つけられることがあるでしょう。悪霊は、私たちのもつ弱さに入り込んで、内側から私たちを支配します。神様は私たちを互いに愛し合うように願っておられるのに、悪霊は人と人とを引き離して、互いに傷つけるようにしてしまうのです。

こういう苦しみは、やはりキリストに癒していただくのでなければなりません。イエス様が2人を癒やされたとき、悪霊は豚の中に入っていきました。具体的な数字は記されていませんが、湖に飛び込んだ豚は2匹ではなくて「群れ」だったと書かれています。他の福音書では2000匹と書かれています。それだけ重たいものが、私たちの上に乗しかかっています。人を愛せない、自分を愛せない、神様を愛せない。そのような私たちを罪から救いあげるためにイエス様は私たちのもとに来てくださいました。私たちは、そのことを忘れないで、週ごとの礼拝を通して、神様と向き合い、本来の自分と向き合いたいと思うのです。礼拝を通して、主イエスの御言葉を聴き、聖霊の働きに覆われて、本来の自分を取り戻していきたいと思うのです。

 私たちが歩むこの世の中は、罪の力が働いていて、悪霊の支配が現実に蔓延っています。私たちは、私たちを苦しめる力の支配を受けながら現実を生きています。しかし、今日の御言葉は、そのような暗い現実がいつまでも続くものではない、ということを明らかにしています。神の御子イエス・キリストの前では、悪霊の支配はただ無力でした。イエス様は、悪の支配に立ち向かい、そこからの解放を得させてくださいました。イエス様はこのような神の力を現してくださるお方です。