2021年12月19日「クリスマスの喜び」

救い主誕生の噂を聞きつけて、東方の占星術の学者たちが幼子イエスを訪ねてきました。

彼らは「占星術の学者」と書かれているように、天文学の知識を身につけていて、天体の動きから人々の運命や、ときには国家の運命まで占っていたようです。ですから彼らは、彼らの国の中では重要な位置にいて、いわば知的にエリートグループだと言うことができます。

「東の方」からやってきたと書かれていますが、東の方とは恐らくアッシリアやバビロニア、ペルシャのことだろうと言われています。ユダヤ人の歴史を紐解いていくと、これらの国々とユダヤ人は深い関わりがあって、ユダヤ人はこの国々によって悲劇的な経験をしています。言ってしまえば敵だったわけで、また彼らが扱う星占いも、魔術的な要素をもっていました。それは聖書が語る神様とは相入れない知識でした。その意味で彼らは、神様から遠く離れていた人たちでした。まことの神様を知らない人たちでした。

けれども本日の箇所では、この博士たちだけが、御子イエス・キリストと出会います。この人たちだけが、喜びに溢れたと言われるのです。

他の人たちはどうであったか。3節にこうあります。「これを聞いて、ヘロデ王は不安を抱いた。エルサレムの人々も皆、同様であった」。

ヘロデは、ユダヤ人がまことの「ユダヤ人の王」を望んでいることをよく知っていました。もしここに新たな「ユダヤ人の王」が生まれるなら、人々は皆、その新しい王に従っていくことは目に見えていたのです。そうなれば、ヘロデにとって、自分の地位はひとたまりもありません。ですから、ヘロデは4節で祭司長や律法学者を集めて、生まれた幼子の居場所を突き止めようとしますが、その心にある思惑は、不安と殺意に満ちていました。

エルサレムにいた祭司長や律法学者たちは、ヘロデに指示されて、旧約聖書を引用して、幼子がベツレヘムにいることを突き止めます(6節)。「ユダヤのベツレヘムです。旧約の預言者がこう言っています」。このようにヘロデに提示するのです。

けれども、彼らは動きません。「私たちが行きましょう」とは誰一人言わないのです。

東方の博士たちは、ただひたすら、救い主を探し求めて旅をしてきました。当時の旅路は、今ほど道は整備されていませんし、安全でもありません。それでも彼らは飛び込んできたのです。博士たちは、自分達の国でエリート階級であったならば、その暮らしの中に閉じこもっていれば、何不自由なく暮らせたはずでした。でも、それをしなかったのです。彼らは幼子イエスにお会いして、イエスを拝みました。礼拝しました。ここにこそ、喜びがあったと聖書は語ります。

私たちがこのクリスマスの出来事を心から受け入れて、イエス・キリストを自分の中にお迎えするとき、神様はその喜びを確かに与えてくださいます。

神様はこの日、罪ある人間のために、その独り子を地上に送ってくださいました。それは、私たちが神様のみもとで愛されて生きるためです。