2024年12月15日「イエス誕生の意味(3)ー神の国の幻ー」
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イエス誕生の意味(3)ー神の国の幻ー
- 日付
- 説教
- 金原堅二 牧師
- 聖書
イザヤ書 11章1節~10節
聖書の言葉
1エッサイの株からひとつの芽が萌えいで
その根からひとつの若枝が育ち
2その上に主の霊がとどまる。
知恵と識別の霊
思慮と勇気の霊
主を知り、畏れ敬う霊。
3彼は主を畏れ敬う霊に満たされる。
目に見えるところによって裁きを行わず
耳にするところによって弁護することはない。
4弱い人のために正当な裁きを行い
この地の貧しい人を公平に弁護する。
その口の鞭をもって地を打ち
唇の勢いをもって逆らう者を死に至らせる。
5正義をその腰の帯とし
真実をその身に帯びる。
6狼は小羊と共に宿り
豹は子山羊と共に伏す。
子牛は若獅子と共に育ち
小さい子供がそれらを導く。
7牛も熊も共に草をはみ
その子らは共に伏し
獅子も牛もひとしく干し草を食らう。
8乳飲み子は毒蛇の穴に戯れ
幼子は蝮の巣に手を入れる。
9わたしの聖なる山においては
何ものも害を加えず、滅ぼすこともない。
水が海を覆っているように
大地は主を知る知識で満たされる。
10その日が来れば
エッサイの根は
すべての民の旗印として立てられ
国々はそれを求めて集う。
そのとどまるところは栄光に輝く。イザヤ書 11章1節~10節
メッセージ
ここには芽生えた若枝が豊かに成長し、その上に聖霊がとどまり、ついには正義と平和を実現する、という将来の希望が語られています。ここで芽生える若枝こそ、クリスマスの主役であるイエス・キリストのお姿を現している。そしてイエス様こそ、この11章で語られた正義と平和を実現するお方である。そのように受け止められている御言葉です。
6節以下では、その平和が完成に至ったときの様子が描かれています。終わりの日に完成する神の国の景色が、ここに描かれているのです。ここでは、オオカミや豹、獅子のような肉食動物が、小羊や子ヤギ、子牛のような草食動物と一緒に草を食べたり、共に過ごしています。赤ん坊が、毒蛇の穴で戯れています。肉食動物の牙も、毒蛇の毒も、誰をも傷つけることがなく共に寄り添って生きている。そのような光景が描かれています。ふつうだったらあり得ないような光景に思われますけれども、しかし思いを巡らせてみて、頭の中で想像してみると、本当に美しい景色だなあと思わされるのです。もしかしたら御伽話のように見えるかもしれません。絵本のような景色に思われるかもしれません。しかし、このような姿を実現するためにイエス様はこの世に遣わされたのであり、実際にやがて来る終わりの時、神の国が完成する時に、この風景が実現するのだと約束されているのです。
神の国が完成するそのとき。そのときにはもう、肉食動物の牙も、毒蛇やマムシの毒も、もはや誰かを傷つけることはありません。ここには、神様の愛を知り、神様の愛に生かされている世界が広がっています。イエス様が、私たち人間の間で正義と平和を実現してくださったことは、結果として私たち人間の間だけでなく、大地の全体にその影響が広がっていくのです。動物と動物の間で、そして人間と動物の間で。そのようにイエス様のもたらす正義と平和は、連鎖していきます。まさに、9節にあるように、大地の全体が、主を知る知識に満たされていくのです。そのことによって、「何ものも害を加えず、滅ぼすこともない」という、まことの平和が実現していきます。
今私たちの見ているこの世界が、今日の御言葉に描かれた理想郷と異なっているからと言って、決してこの世界を諦めてはなりません。なぜならば、クリスマスの日、神の御子イエス・キリストがお生まれになったのは、神様が私たちとこの世界を諦めておられない、ということだからです。今日、この御言葉に示されているのは、終わりの日に神の国が完成する時の幻(ヴィジョン)です。神様はここで、イエス様を通して実現する終末のヴィジョンを見せてくださっているのです。やがて、私たちがイエス・キリストを知る知識で満たされるときに、この愛と平和の幻は実現します。その時が必ず来ます。それは、誰かを傷つけ、傷つけられることからの解放を意味するのです。