2024年12月08日「イエス誕生の意味（２）ーインマヌエルー」

　「見よ、おとめが身ごもって男の子を産む。その名はインマヌエルと呼ばれる。」

これは、イザヤ書7章14節からの引用です。「インマヌエル」とは、旧約の原文ヘブライ語で「神は私たちと共におられる」という意味の言葉です。福音書記者のマタイは、イザヤ書から御言葉を引用して、救い主イエス・キリストの誕生こそ、この預言の成就なのだと語っているのです。

　大切なことは、イエス様は「自分の民を罪から救う（21節）」と言われていることです。この「罪からの救い」という光の中で本日の御言葉を受け止めることが大切なのです。イエス様は「インマヌエル」の実現だと言われますが、私たちのもつ罪の問題を背負った上で「神が私たちと共にいる」「インマヌエル」を実現してくださるお方なのです。

　私たち人間に罪がある場合、神様が共におられることは単純に救いを意味するのではありません。むしろ罪に対して神様の裁きを免れない、ということです。そのように考えると、私たちの罪の問題が解決されなければ、「インマヌエル」という言葉の響きも大きく変わってしまうことに気付かされます。

　イエス・キリストは、神様を見失っている私たちと神様との間に立って、もう一度神様と共に生きることができるようにしてくださったお方です。イエス様はその目的のために生まれてきてくださいました。イエス様のご降誕は「インマヌエル」の実現だ、イエス様こそが「インマヌエル」を体現するお方だ、と言われます。それは、私たちを裁くためではありません。和解をもたらすためです。神様と私たちとの間に和解をもたらし、私たちが罪赦されて生きるためです。そのために、イエス様は私たち人間を代表して、本来私たちが受けるはずだった罪の刑罰をすべて引き受けてくださったのです。あの十字架の上で、神様の怒りと裁きをすべて背負ってくださったのです。

　このことのゆえに、私たちはもういちど、神様と共に生きる者とされました。神様が私たちと共におられる。それは、神様が私たちを裁くためではなく、滅ぼすためではなく、ご自身と私たちとの間で命の交わりをもつためです。神様は私たちの弱さも、不信仰も、本当のところはすべてご存じです。でも、その弱さのゆえに私たちが滅びに向かっていくことがないように、憐れんでくださいました。そして、罪の赦し、神様との和解をもたらすイエス・キリストを与えてくださったのです。それは、神様が私たちを愛しておられるからです。私たち一人一人の存在に価値を見出しておられるからです。どれだけ時代が暗くても、どれほど私たちの心が暗くても、神様は私たちのことを諦めてはおられません。私たちは見放されてなどいないのです。イエス様を信じて受け入れるならば、どんなことが起こっても、神様が共にいてくださいます。

たとえ肉体の死を迎える時が来たとしても、神様との命の交わりが失われることなどあり得ないのです。神様が共におられる。その事実から私たちを引き離すものはありません。