2025年06月05日「主の祈りの学び30 第六祈願 2」

問い合わせ

日本キリスト改革派 岡山西教会のホームページへ戻る

主の祈りの学び30 第六祈願 2

日付
説教
田村英典 牧師
聖書
マタイによる福音書 6章9節~13節

聖句のアイコン聖書の言葉

6: 9 ですから、あなた方はこう祈りなさい。『天にいます私たちの父よ。御名が聖なるものとされますように。
6:10 御国が来ますように。みこころが天で行われるように、地でも行われますように。
6:11 私たちの日ごとの糧を、今日もお与えください。
6:12 私たちの負いめをお赦しください。私たちも、私たちに負い目のある人たちを赦します。
6:13 私たちを試みに会わせないで、悪からお救いください。 マタイによる福音書 6章9節~13節

原稿のアイコンメッセージ

 前回私たちは、第六祈願が罪そのものからの救いを祈り求めること、具体的な点として私たちの内に残る汚れた罪の性質と戦うこと、しかし、この点での私たちの弱さを覚えて神への切なる祈りが極めて大切であることなどを学びました。

 通算で30回目、第六祈願では2回目となる今日は、悪魔・サタンの存在とその恐るべき力について学びます。

 悪魔・サタンはイザヤ14:12~15などから堕落した天使と言えます。イエスはルカ10:18で「サタンが稲妻のように天から落ちるのを、私は見ました」と言われ、最後には黙示録20章が記しますように神に滅ぼされます。サタンは、主イエスが十字架で人類のために贖いを完成されるのを阻もうとしましたが、それに失敗し、最後には神に永遠に滅ぼされ、地獄に落されます。

 しかし、簡単には滅ぼされません。自分と同じ永遠の滅びに一人でも多くの人間を引きずり込もうとし、神への仕返し、悪あがきに全力を傾けています。極めて危険性な存在です。

 実際、サタンは何でも利用し、クリスチャンか無神論者か、あるいは他宗教の者かも一切関係なく、真(まこと)の神と救い主イエス・キリストから引き裂こうとしています。

 第六祈願で「試み」と訳されているギリシア語は、試練とも誘惑とも訳せます。神がご自分の子とされた信仰者を訓練するためにお与えになる試練であっても、そこにサタンが働きますと、たちまち罪と滅びへの危険な誘惑となります。

 ヨブ記から分りますように、サタンは私たちを直接手にかけて滅ぼすことはできませんが、神に許可された苦痛や苦悩や不安を利用して私たちを掻き乱し、不信仰と罪へと巧妙に引きずり込みます。実に恐ろしい存在です。実際、悪魔・サタンは何でも利用して人を神から引き離し、神の戒め・律法を破らせ、永遠の滅びに至らせようとします。

 創世記3章の人類の始祖アダムとエバの堕落の出来事からは、サタンが人間の御言葉(みことば)理解の不十分さや曖昧さを利用し、また身近な人を使ってさえ誘惑することが分ります。

 彼らの息子カイン、そして孫のヤコブの息子たちの様子からは、人間の歪んだ自己愛である妬みを利用することが分ります。

 出エジプト後のイスラエルの様子からは、人間の不安を利用して偶像を拝ませ、困難な時にはすぐ神への不満を煽り(あおり)、堕落した生活に妥協させ、神の御心を正しく伝える人を煩わしく思わせるように働くことも分ります。

 ダビデの子ソロモンは優れた知識と知恵と能力を授かっていましたが、強大な国を築くと、その安定と維持のために外国の異教徒の王の娘たちをも含めて何百人もの女性を妻とし、それがやがて国を亡ぼす要因の一つとなりました。

 こうして旧約聖書は、人間のどうしようもない罪と愚かさと弱さと共に、尚これを憐れまれる神の計り知れない愛と忍耐の歴史を伝えていますが、悪魔の巧妙なやり方も伝えています。

 新約聖書ではどうでしょうか。イエスに最も親しい恵まれた所にいたペテロにさえ悪魔が臨み、イスカリオテのユダを裏切らせた恐るべき事実を伝えています。

 ペンテコステの時、約束の聖霊が教会に臨まれ、教会は力強くイエスの福音を証しし、素晴らしく祝福されました。しかし使徒5章が伝える通り、その後すぐ、アナニヤとサッピラ夫妻が自己顕示欲から悪魔の罠に嵌り(はまり)、教会を欺きました。

 サタンは時に仕事や勉強などのストレスを利用し、また国家権力や教育、思想、同調圧力を使い、それが駄目なら脅しや暴力、迫害などで恐怖心を与え、教会と信者を攻撃し、信仰を奪います。それだけでなく、時には優しい言葉や好意的な態度で私たちに近づく人たちを利用します。Ⅱコリント11:14が言う通り、サタンは光の天使にさえ偽装するのです。

 信仰生活なんて適当で良いんだと思わせ、他の皆だって同じだと思わせて私たちの罪意識を鈍らせ、大きな罪を犯させ、滅びに至らせます。

 ライバル心を煽り、信徒同志の不満や不信感や不協和音を増幅させ、何でも利用します。ですから、黙示録2:24は「サタンの深み」と言って強く警戒させます。

 悪魔の恐ろしさを、私たちは決して甘く見てはなりません。そうでないと、本当に信仰を骨抜きにされ、永遠の地獄に引き落とされます。ですから、Ⅰペテロ5:8、9は「身を慎み、目を覚ましていなさい。あなた方の敵である悪魔が、吼えたける獅子のように、誰かを食い尽くそうと探し回っています。堅く信仰に立って、この悪魔に対抗しなさい。ご存じのように、世界中で、あなた方の兄弟たちが同じ苦難を通ってきているのです」と言います。

 「我らを試みに遭わせず、悪より救い出し給え」と、改めて、皆で、真剣に神に祈り、戦いたいと思います。悪魔・サタンに既に勝利しておられる主イエスが、御霊によって私たちを助けて下さいますように!

関連する説教を探す関連する説教を探す