2024年04月07日「恐れてはいけません ⑵」

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恐れてはいけません ⑵

日付
説教
田村英典 牧師
聖書
マタイによる福音書 10章26節~33節

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聖句のアイコン聖書の言葉

10:26 ですから彼らを恐れてはなりません。おおわれているもので現されないものはなく、隠されているもので知られずにすむものはないからです。
10:27 わたしが暗闇であなた方に言うことを、明るみで言いなさい。あなた方が耳元で聞いたことを、屋上で言い広めなさい。
10:28 体を殺しても、魂を殺せない者たちを恐れてはいけません。むしろ、魂も体もゲヘナで滅ぼすことのできる方を恐れなさい。
10:29 2羽の雀は1アサリオンで売られているではありませんか。そんな雀の1羽でさえ、あなた方の父の許しなしに地に落ちることはありません。
10:30 あなた方の髪の毛さえも、すべて数えられています。
10:31 ですから恐れてはいけません。あなた方は多くの雀よりも価値があるからです。
10:32 ですから、誰でも人々の前で私を認めるなら、私も、天におられる私の父の前でその人を認めます。
10:33 しかし、人々の前で私を知らないと言う者は、私も、天におられる私の父の前で、その人を知らないと言います。マタイによる福音書 10章26節~33節

原稿のアイコンメッセージ

 マタイ10:5以降は、神の御子イエスが12使徒たちをユダヤの町や村へ伝道に遣わされた時に語られた注意を伝えています。福音を人に伝える点では、クリスチャンは全員伝道者です。ところが、そのために迫害され、また隣近所や職場、親戚の集まりの中などで聖書に従って行動したために非難されるなどして、人を恐れるようになることも、私たちクリスチャンにはあります。イエスはそういう私たちの弱さをよくご存じです。ですから、26、28、31節で3度も「恐れてはいけません」と言い、恐れてはいけない理由もお教えになります。

 そこで前回に続き、今朝も私たちクリスチャンが人を恐れてはならない理由を学びます。

 前回は二つ学びました。従って、今日の一つ目は三つ目の理由となります。何でしょうか。人間からの非難や攻撃などより、神の方が遥かに恐るべきお方なのだから、人間を恐れるな、ということです。イエスは言われます。28節「体を殺しても、魂を殺せない者たちを恐れてはいけません。むしろ、魂も体もゲヘナ(=地獄のこと)で滅ぼすことができる方を恐れなさい」と。

 「体を殺しても、魂を殺せない者たち」とは、クリスチャンを攻撃し、迫害する人たちのことです。歴史を振り返りますと、宗教的権威者や国家権力、それどころか、家族や親戚に殺されたクリスチャンも沢山いました。

 病気や高齢による死とは違い、殺されることは、どんなに怖いでしょう。当然逃げたい。

 しかし、ここでよく考えたいと思うのです。イエスが言われますように、どれほど恐ろしい人間であろうと、私たちの体は殺せても、魂には指一本触れることはできないのです。その上、人間などより遥かに恐ろしい真(まこと)の神がおられます。神は、私たち罪人の体も魂も、地獄で永遠に滅ぼすことがおできになります。神以上に恐ろしいものは、この宇宙に一切存在しません!そして私たちの罪を全てご存じで、私たちの体も魂も滅ぼすことのできる絶対者なる神を真に恐れるなら、一時(いっとき)苦痛を与えても、魂に何一つできない者たちなど、何ら恐れる必要のないことが分るではないか、ということです。

 宗教改革者ジョン・ノックスのことを思い出します。ジュネーヴでジャン・カルヴァンに学んだ後、彼は祖国スコットランドに戻り、宗教改革を推進して長老派(改革派)教会を創り、またスコットランド信条の作成に携わりました。体がもう弱っていました1572年11月24日、エディンバラの大聖堂で説教をした後、彼は亡くなります。大聖堂の構内に彼が葬られた時、「神を恐れるあまり、如何なる人をも恐れなかった者、ここに眠る」と言われ、また彼の墓には「ここにいかなる肉(=人間のこと)にもへつらわず、恐れなかった者、眠る」と刻まれたそうです。

 また、スコットランド女王メアリー・ステュアートはこう言いました。「私はジョン・ノックスの祈りを恐れる。全ヨーロッパの軍隊が皆集まったもの以上に、彼の祈りを恐れる」と。

 神を恐れることを忘れているから、何かと私たちは臆病で弱く、一時の苦痛を過度に恐れるあまり、自分の信仰を隠したりするのであり、その反対に、私たちの体も魂も永遠に滅ぼす力のある真の神を本当に恐れているなら、人間への恐怖も必然的に小さくなるのではないか、と改めて教えられます。

 今朝、私たちは夫々、自分の胸に手を当て、「私は真に神を恐れているだろうか。いまだに私は人を恐れ過ぎているのではないだろうか」と自らに問い、聖霊によって、是非、強くされたいと思います。使徒パウロは、少々臆病であったかも知れません弟子のテモテに、こう書いて励ましました。Ⅱテモテ1:7「神は私たちに、臆病の霊ではなく、力と愛と慎みの霊を与えて下さいました。」

 人を恐れてはいけないもう一つの理由に進みます。全体では四つ目となります。何でしょうか。天の父なる神が、御子イエスを心から信じ、受け入れ、依り頼むご自分の子供たちを、大切な大切な存在として愛し、必ずお守り下さるからです。29~31節でイエスは言われます。「2羽の雀は1アサリオンで売られているではありませんか。そんな雀の一羽でさえ、あなた方の父の許しなしに地に落ちることはありません。あなた方の髪の毛さえも、全て数えられています。ですから恐れてはいけません。あなた方は、多くの雀よりも価値があるからです。」

 雀は、当時よく食べられていたようです。「アサリオン」は昔、ローマ帝国内で流通した貨幣の一つでした。「1アサリオン」は、ほぼ1日分の給料の16分の1に相当しました。

 

 「2羽の雀が1アサリオンで売られています」と言われています。従って、2アサリオンあれば、4羽買えます。ところが、イエスはルカ12:6で「5羽の雀が、2アサリオンで売られている」と言っておられます。ということは、最後の1羽は、おまけだということです。それぐらい、雀は値打のないものとされていました。

 しかし、イエスは「そんな雀の一羽でさえ、あなた方の父の許しなしに地に落ちることはありません」(マタイ10:29)と言われます。価値がないと思われている雀1羽でさえも、天の父なる神のご計画の中で生きているのであり、父の御心でなければ、地に落ちることは絶対にないと、神の御子ご自身が断言されるのです。

 「これから先、自分や自分の家族は生きていけるのだろうか」と、何かと心配しやすい私たちに、イエスはマタイ6:26で「空の鳥を見なさい。種蒔きもせず、刈り入れもせず、倉に納めることもしません。それでも、あなた方の天の父は鳥を養っていて下さいます」と言って、憐み深い天の父なる神の摂理に信頼することの重要性を教えられました。それは単に一般論としての神の摂理ではありません。「あなた方の天の父」と言われていますように、主イエス・キリストへの信仰の故に、永遠にご自分の子供となさったクリスチャンに対する天の父としての慈愛に満ちた摂理を信じるということです。

 マタイ10:29でも同じです。雀一羽でさえ、「あなた方の父」の許しなしに地に落ちて死ぬことはないと、イエスは、神の子供とされているクリスチャンへの、天の父なる神の愛に満ちた完璧な摂理に信頼することをお教えになるのです。

 しかもその上、イエスは30節「あなた方の髪の毛さえも、全て数えられて」いると言って、神の愛が如何に細やかで、行き届いて、完全であるかを語られます。毎日、何本か必ず抜け落ちる私たちの髪の毛です。しかしそんな髪の毛さえも、御子イエスを賜ったほどに私たちを愛しておられる天の父なる神に、全部数えられている!イエス・キリストに永遠の希望を置いている者は、神の目にそれぐらい尊い者として愛されているのです!神は既に旧約聖書のイザヤ43:4で、信仰者にこう語っておられました。「私の目には、あなたは高価で尊い。私はあなたを愛している」と。

 そこで、イエスは言われます。マタイ10:31「恐れてはいけません。あなた方は多くの雀よりも価値があるのです。」

 ギリシア語の原文では、「あなた方」が強調されています。私たちクリスチャンをご自分の子供として愛しておられる天の父なる神が、最高の知恵をもって考え、計画され、最終的に私たちの益となるなら、神は私たちが死ぬことも良しとされます。けれども、それは一瞬たりとも私たちが神の救いと愛から洩れることではありません。信仰者は、その死でさえも神の目に尊いのです。詩篇116:15は言います。「主の聖徒たちの死は、主の目に尊い。」

 聖霊に導かれて、使徒パウロは言いました。ローマ8:38、39「私はこう確信しています。死も、命も、御使いたちも、支配者たちも、今あるものも、後に来るものも、力あるものも、高い所にあるものも、深い所にあるものも、その他のどんな被造物も、私たちの主キリスト・イエスにある神の愛から、私たちを引き離すことはできません。」

 私たちの体も魂も永遠に滅ぼすことのおできになる真の神をこそ、本気で恐れたいと思います。また雀1羽、私たちの髪の毛1本さえ、支配し摂理しておられる天の父なる神を固く信じ、神の大きな愛と御力(みちから)に信頼し、今日からの新しい一週間も、主イエスに導かれ、是非、互いに祈り合い、支え合って、歩んでいきたいと思います。

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