主の祈りの学び12 第二祈願 5
- 日付
- 説教
- 田村英典 牧師
- 聖書 マタイによる福音書 6章9節~13節
6:9 ですから、あなた方はこう祈りなさい。『天にいます私たちの父よ。御名が聖なるものとされますように。
6:10 御国が来ますように。みこころが天で行われるように、地でも行われますように。
6:11 私たちの日ごとの糧を、今日もお与えください。
6:12 私たちの負いめをお赦しください。私たちも、私たちに負い目のある人たちを赦します。
6:13 私たちを試みに会わせないで、悪からお救いください。』
(新改訳聖書 2017年度版)マタイによる福音書 6章9節~13節
主の祈りの第二の祈願、「御国が来ますように」を更に学びます。
何度も申しますが、信仰の先輩たちが、教会や礼拝、また個々の信者の信仰と生活の根幹となるこういう重要な祈りをどう受け留め、告白し、またどのように信徒教育をしたかを学ぶことは、大変興味深いと思います。今日も、ウェストミンスター大教理問答(以下、大教理と略す。1647年。宮﨑彌男訳)の問191を見ます。ウェストミンスター神学者会議に集った信仰の先輩たちの優れた信仰や見識を学ぶことが出来、大変教えられます。全体を読みます。
「問191 第二の祈願において、私たちは、何を祈るのですか。
答 『み国が来ますように』という第二の祈願において、私たちは、自分自身、さらには全人類が生れながら罪とサタンの支配下にあることを認めた上で、次のことを祈ります。すなわち、罪とサタンの支配が打ち滅ぼされ、福音が全世界に宣べ伝えられ、ユダヤ人が召され、異邦人の満数が招き入れられ、教会が福音の教役者と規定とを全て備えられ、腐敗を清められ、国家的為政者によって支持され維持されること、キリストの諸規定が純正に執行され、まだ罪の中にいる者たちを回心させると共に、既に回心している者たちを強め、慰め、励ますのに有効とされること、キリストが今の世にあって私たちの心を支配すると共に、再び来られて、私たちがキリストと共にとこしえに支配する時を早めて下さること、更に、これらの目的に完全に合致するように、キリストが全世界において御力の支配を行き届かせることを喜んでして下さるように、とのことです。」
前回は、第一に、第二祈願を祈る時の大前提として、私たちと全人類が生れながらに罪とサタンの支配下にあるという根本的認識の大変重要なこと、第二に、終末信仰に基く宣教意識の明確であること、第三に、御言葉を教えるために訓練を受けた教会の教役者のことと教会に不可欠な規則や規定など、教会の諸側面の整備にも神の支配があるように願うべきこと、を教えられました。
今日は四番目として、今申しました教会の諸側面の整備の目的ですが、要するに<牧会>、つまり、魂の救いと霊的成長、完成をしっかり目指して祈るべきことを教えられます。
大教理は、「まだ罪の中にいる者たちを回心させる」と言います。信仰告白、大教理、小教理の三つからなるウェストミンスター信条が作成された17世紀半ばのイングランド、スコットランド、アイルランドや、その他のヨーロッパ諸国の人々の大部分は一応クリスチャンであり、教会に属していました。しかし、現実には不信者と変らない生活をしている人は非常に多く、神学者会議のメンバーは当然そういう実態をよく知り、心を痛めていたでしょう。そこで、教役者と教会規則を含めた教会の諸側面の整備が、「まだ罪の中にいる者たちを回心させる」、つまり、魂の救いの面で真に有効となるために、「御国を来らせ給え」と、神のご支配を強く願わずにはおれませんでした。
それだけではありません。回心している信者であっても、聖書と私たち自身の経験から分りますように、罪に満ちたこの世からの攻撃や誘惑、また自分自身の罪の残滓(ざんし)とも戦わなければなりません。しかし、自分の力だけで、どうしてそれらに打ち勝てるでしょうか。ですから、神学者会議の信仰の先輩たちは、教役者と教会規則を含めた教会の諸側面の整備が「既に回心している者たちを強め、慰め、励ますのに有効」となるために、すなわち、大事な<牧会>の面でも「御国を来らせ給え」と、何としても神の支配を祈らずにはおれませんでした。見事な認識であり意識だと思います。
五番目を見て終ります。それは父なる神から一切の権能を授けられた主イエス・キリストが、事実、全ての全てとなられるように、主の再臨と御国の完成をしっかり仰ぎ見、「御国を来らせ給え」と祈ることです。大教理は言います。「キリストが今の世にあって私たちの心を支配すると共に、再び来られて、私たちがキリストと共にとこしえに支配する時を早めて下さること、更に、これらの目的に完全に合致するように、キリストが全世界において御力の支配を行き届かせることを喜んでして下さるように」と、主の再臨と御国の完成を、首を伸ばして祈り求めるのです。
「キリストが全世界において御力の支配を行き届かせることを喜んでして下さるように」と、あります。私たちもまたイエス・キリストの再臨と御国の完成を、心の背筋をピシッと伸ばし、何より主を愛する信仰をもって、「喜んで」待ちたいと思います。
最後に聖書を二カ所読んで終ります。
Ⅰコリント15:22は言います。「主を愛さない者は皆、呪われよ。主よ、来て下さい。」
黙示録22:20も言います。「これらのことを証しする方が言われる。『然り、私はすぐに来る。』アーメン、主イエスよ、来て下さい。」