2023年03月23日「十戒の学び36 第六戒7」

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十戒の学び36 第六戒7

日付
説教
田村英典 牧師
聖書
出エジプト記 20章13節

聖句のアイコン聖書の言葉

20:13 殺してはならない。出エジプト記 20章13節

原稿のアイコンメッセージ

 第六戒の学びを続けます。

 今まで見て来ましたどの戒めの時もそうでしたが、第六戒でも、信仰の先輩たちが主の御旨に少しでも沿いたいと思って告白したものの中から、今日はウェストミンスター大教理問答の問135を見ます。大変教えられます。

 少し長いですが、読みます。宮崎彌男訳です。問135「第六の戒めで求められている義務は、何ですか。」答「第六の戒めで求められている義務は、自分自身及び他の人たちの生命(いのち)を守るために、あらゆる角度から周到な検討を重ね、合法的な努力を惜しみなく傾けることです。それは、次のことによって達成されます。誰の生命であれ、それを不当に奪うこととなるあらゆる思いと企てに抵抗し、そのような感情を残らず抑制し、そのような機会と誘惑と行動をことごとく避けること、暴力から生命を守る正当防衛、神の御手をたゆまずに耐え忍ぶこと、心の平静さ、気分の晴れやかさ、食べ物・飲物・医薬・睡眠・労働・娯楽について度をわきまえること、思い遣りの心・愛・同情心・柔和・優しさ・親切、穏やかで温かく、礼儀正しい言葉遣いや振る舞い、心の広さ、進んで人と和らぐこと、不当な仕打ちを忍んで耐え、赦すこと、悪に報いるのに善をもってすること、悩んでいる者を慰め、助け、罪のない者の身を守り、弁護することです。」

 よくこれだけのことに気付き、告白できたものだと驚き、感心します。何とかして、自分も他の人も皆で神に喜ばれる者になりたいと願うその熱い真直ぐな信仰が伝わって来ます。

 これを細かく学ぶことはしませんが、教えられる点を幾つか見たいと思います。

 第一に、「自分自身及び他の人たちの生命を守るために、あらゆる角度から周到な検討を重ね、合法的な努力を惜しみなく傾ける」とありますが、その真剣さと熱意を教えられます。自分のであれ他人のであれ、命は神が暫く預けておられるものです。ですから、何としても大切にし、守るのだ、という非常に真剣で熱い神信仰を教えられます。

 第二に、その神信仰に基づき、命を本当に守ろうとする多方面への気配りと努力の重要性を教えられます。

 例えば、「誰の生命であれ、それを不当に奪うこととなるあらゆる思いと企てに抵抗し、そのような感情を残らず抑制し、そのような機会と誘惑と行動をことごとく避けること」と大教理は言います。命を不当に奪いかねないものに気付くなら、それが小さな芽の内に刈り取るということです。それは毒麦のように危険なものです。従って、甘い軽い気持で放置していてはならず、人の中からも自分の中からも、まだ小さな芽の内に、それもことごとく徹底的に取り除く、という努力の大切さを教えられます。

 第三は逆に、自分と他の人の命を守る上で、色々な点によく気を付け、良いと思われることにはしっかり取り組むという、そういう意味での知恵の重要性を教えられます。

 大教理は「心の平静さ、気分の晴れやかさ、食べ物・飲物・医薬・睡眠・労働・娯楽について度をわきまえること」にまで触れます。実際、下らない些細なことですのに、気が立って暴力を振るい、殺人に至ったなどのよくある事件を思いますと、大教理が言います「心の平静さ」を保ち続けることが、実は結構大事な知恵であることがよく分ると思います。

 大教理はまた「気分の晴れやかさ」にも言及します。これは神が下さった特に自分の命をより健康的に保つ上で、とても大切な実践的知恵です。この部分で、大教理は箴言17:22を証拠聖句に上げていますので、読んでおきます。「喜んでいる心は健康を良くし、打ちひしがれた霊は骨を枯らす。」

 本当にこの通りですよね。気が重く、心が沈んでいる時とか、何か不安や心配こと、イヤなことがあって、ストレスフルな状態の時も、私たちにはあります。注意したいのは、それが私たちの体にも影響を与えることです。それが長く続きますと、病気を誘発しかねず、私たちの命を傷め、脅かすことになります。これは神に対して誠に申し訳ないことです。ですから、私たちは、自分の命も他の人の命も、より健やかに保ち、福音宣教に役立つために、「心の平静さ、気分の晴れやかさ」を保つというような知恵をも是非大切にし、自分の内にしっかり取り込みたいと思います。その意味では、ピリピ4:4「いつも主にあって喜びなさい。もう一度言います。喜びなさい」という御言葉の教えに少しでも前向きに応じることは、実は第六戒を日常生活において具体化する上での、神からの大変賢明な知恵でもあるのです。

 「食べ物・飲物・医薬・睡眠・労働・娯楽について度をわきまえる」といったことは、殆ど説明の必要がないと思いますが、神が暫くの間、授けて下さっている命を大切に守り、それを良く用いるという第六戒の意図を考えますと、何と大切な知恵でしょうか。

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