2020年06月18日「主の祈りの学び11 第二祈願 4」

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主の祈りの学び11 第二祈願 4

日付
説教
田村英典 牧師
聖書
マタイによる福音書 6章9節~13節

聖句のアイコン聖書の言葉

6:9 ですから、あなた方はこう祈りなさい。『天にいます私たちの父よ。御名が聖なるものとされますように。
6:10 御国が来ますように。みこころが天で行われるように、地でも行われますように。
6:11 私たちの日ごとの糧を、今日もお与えください。
6:12 私たちの負いめをお赦しください。私たちも、私たちに負い目のある人たちを赦します。
6:13 私たちを試みに会わせないで、悪からお救いください。』
    (新改訳聖書 2017年度版)
マタイによる福音書 6章9節~13節

原稿のアイコンメッセージ

 主の祈りの第二の祈願「御国が来ますように」を今日も学びます。

 何度も申しますが、歴史の中で信仰の先輩たちが、教会や礼拝や個々のクリスチャンの信仰と生活の根幹となるこういう重要な祈りを、どう受け留め、告白し、信徒教育をしたかを学ぶことは、大変意義深いことです。今日はウェストミンスター大教理問答(1647年作成。宮﨑彌男訳。以下、ウ大教理問答または大教理と略す)問191を見ます。ウェストミンスター神学者会議に集った信仰の先輩たちの優れた信仰や見識を教えられ、とても興味深いと思います。少し長いですが、全体を見ます。

 問191 第二の祈願において、私たちは、何を祈るのですか。

 答  『み国が来ますように』という第二の祈願において、私たちは、自分自身、さらには全人類が生れながら 罪とサタンの支配下にあることを認めた上で、次のことを祈ります。すなわち、罪とサタンの支配が打ち滅ぼされ、福音が全世界に宣べ伝えられ、ユダヤ人が召され、異邦人の満数が招き入れられ、教会が福音の教役者と規定とを全て備えられ、腐敗を清められ、国家的為政者によって支持され維持されること、キリストの諸規定が純正に執行され、まだ罪の中にいる者たちを回心させると共に、既に回心している者たちを強め、慰め、励ますのに有効とされること、キリストが今の世にあって私たちの心を支配すると共に、再び来られて、私たちがキリストと共にとこしえに支配する時を早めて下さること、更に、これらの目的に完全に合致するように、キリストが全世界において御力の支配を行き届かせることを喜んでして下さるように、とのことです。

 行き届いた内容であり、神学者会議のメンバーの信仰と彼らの意識、もしくは見識を覚えないではおれません。とにかく、第二の祈願についていくつか大事な点を改めて確認させられます。今日は、三つの点だけ見ておきます。

 第一に、「御国を来らせ給え」と祈る時の非常に重要な大前提ですが、私たち自身と全人類が生れながらに罪とサタンの支配下にあるという根本的認識の決定的重要性を、改めて教えられます。大教理は「自分自身、さらには全人類が生れながら罪とサタンの支配下にあることを認めた上で」と述べます。

 この認識は、エペソ2:2、3や聖書全体から見て当然のことですが、この認識の希薄なクリスチャンも、残念なことに結構います。そのため、信仰生活にどうしても緩みが生じ、自分に甘くなります。自分の罪と不信仰を思って胸を打ち叩き、呻くことも殆どなく、サタンに対しても呑気です。しかし、それは霊的にとても危険です。

私たちは、第二祈願を唱える時、自分も全人類も生れながらに罪とサタンの支配下にあるのだというこの重大な事実を繰返しよく覚え、その上で、主のご支配を心底願い、この祈りを真剣に捧げたいと思うのです。

 第二に、終末信仰に基く宣教意識の明確なことを教えられます。大教理は「福音が全世界に宣べ伝えられ、ユダヤ人が召され、異邦人の満数が招き入れられ」と述べます。ハイデルベルク信仰問答が作られた時代から約80年後に作られたウ大教理問答では、宣教についての意識とそれを表現することにおいても、聖書的に一層整えられていると思います。「ユダヤ人が召され、異邦人の満数が招き入れられ」とある通りです。

 しかし、これは単にこれらの点に言及すれば良いのではありません。近づいている世の終り、キリストの再臨を覚え、その日までに、私たちは、ユダヤ人伝道がもっと前進することを本当に祈らなければなりません。また「異邦人の満数が招き入れられ」とあります。その通り、世界の全ての国と民族に福音が伝えられ、父なる神が御子イエスに与えられた選びの民――実際、イエスはヨハネ17:9で父なる神に「あなたが私に下さった人たちのために」と祈っておられますが――その全ての民が招き入れられるようにとの、終末信仰に基く明確な宣教の思いをもって、第二祈願を唱えたいと思います。

 もう一点だけ見て今日は終ります。第三に、この第二祈願を祈る際、教会の様々な面の整備にまで意識が及ぶべきことを教えられます。大教理は「教会が福音の教役者と規定とを全て備えられ、腐敗を清められ、国家的為政者によって支持され維持されること、キリストの諸規定が純正に執行され」と述べます。見事な信仰と見識だと思います。ハイデルベルク信仰問答でもそうでしたが、宗教改革者たちは、イエス・キリストの霊的な体である教会の決定的重要性を一瞬たりとも忘れませんでした。ですから、「福音の教役者と規定とを全て備えられ、腐敗を清められ、国家的為政者によって支持され維持されること、キリストの諸規定が純正に執行され」と語ります。御言葉に仕え、御言葉を語るための訓練を受けた教役者のことは無論、教会を教会たらしめる制度や色々な規則や規定、また国家との関係という点にさえ、神の国、神のご支配が十分に及び、整えられるようにとの信仰と見識をもって祈り、また全ての信徒がそう祈るように教育しました。現代の私たちも是非そうでありたいと思います。

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