聖書の言葉 20:12 あなたの父と母を敬え。あなたの神、主が与えようとしているその土地で、あなたの日々が長く続くようにするためである。出エジプト記 20章12節 メッセージ 第五戒を今日も学びます。 繰り返しますが、第五戒は第四戒までの対神的戒めの直後にあり、第五戒からの対人的戒めの最初にあります。それだけに、大変重要で内容も豊かな戒めです。 1647年に作られたウェストミンスター大教理問答を見ますと、十戒の中で最も数多く取り上げられているのが第五戒です。全部で11問にわたって解説されています。次に多いのが安息日を扱う第四戒ですが、7問ほどです。第六戒~十戒は、3問ずつしかありません。回数だけでどうこう言うことは出来ませんが、ウェストミンスター神学者会議の出席者たちも、第五戒が私たちに問いかけ、教え、求める範囲の広いことと奥深さを知っていましたので、きっと丁寧に扱ったのでしょう。 さて、前にも確認しましたが、「あなたの父と母を敬え」という「父と母」は、文字通りの肉親の親だけを指すのではありません。私たちが色々な人との関係の中で、敬い、尊ぶべき多くの人の、いわば代表として彼らが挙げられているのです。とはいえ、単に便宜的に代表として父母に言及されているのではありません。 例えば、一般社会や教会で、私たちより年齢が上の人とか、組織の中で先輩や上司にあたる人、或いは、私たちに何かを教え指導する目上の立場の人に私たちが接する時、神は、私たちが父母に対するのと同じような姿勢で、その人たちに敬意をもって接することを望んでおられるのです。つまり、父母に対し、私たちが生涯にわたって持つべき姿勢は、ただ彼らへのもので終るのではなく、私たちがこの世で接するあらゆる人に対して持つべき、神の喜ばれる大切な姿勢や態度の基本なのです。 スポーツ、芸術、語学、料理、その他、どんなスキルでもそうですが、基本がすごく大切です。基本がしっかりしていると、その上に、応用も豊かに自由に展開されることが可能となります。 このことは、私たちの大切な対人的あり方についても同じです。そして対人的あり方の極めて重要な基本、基礎となるものが、「あなたの父と母を敬え」なのです。「敬う」、つまり、愛し、重んじ、敬い、従い、助け、手伝いなさいということです。神はこういう意図の下に、第五戒を私たちに下さっています。何という神の知恵であり、深いお考えでしょうか。 そこで前回お話した子育てのあり方が大事になりますが、それを繰り返すことはやめます。それより、先程言いました、いわば目上の人に対して目下の者が払うべき敬意という点を、少し具体的に見たいと思います。私たちに一番身近なことだからです。 そこで、熟考されて作られましたウェストミンスター大教理問答の問127を、宮崎彌男先生の訳で見てみます。 「問127 目上の人に対して目下の人が払わなければならない尊敬とは、何ですか。」 「答 目上の人に対して目下の人が払わなければならない尊敬は、次の通りのことです。すなわち、心と言葉と行動で表すあらん限りの相応しい敬意、彼らのためになす祈りと感謝、彼らの長所や美点を見倣うこと、彼らが下す正当な命令と勧告とに喜んで従うこと、彼らから受ける懲らしめへの当然の服従、彼らの夫々の地位に応じ、また立場の性質に応じた、その人格と権威に対する忠誠と擁護と支持、彼らの弱点を忍び受け入れ、愛をもってそれを包み、そうすることによって、自分たちが、目上の人にとってもその支配にとっても名誉となるようにすることです。」 全部を詳しく見ることは出来ませんが、優れた信仰の先輩たちが集って祈り、協議し、熟考して告白した幾つかの点からだけでも学びたいと思います。 第一に、「心と言葉と行動で表すあらん限りの相応しい敬意」とあります。特に言葉はとても大切です。最近は、目上の人に対しても平気で友達言葉、最近の表現では「ダチ言葉」でしょうか、これを話す若い人たちが多いですね。でも、これはやはり問題です。何故なら、神や主イエス・キリストについても、友達言葉がついつい出るからです。ですから、私たちは意識的に敬語を使いたいと思います。 第二に、彼らのための「祈りと感謝」を忘れないでいたいですね。敬意は、祈りと感謝から生れます。 第三に、彼らを正しく批判できることも大切ですが、彼らの「長所や美点」を認め、見倣うことも、何と尊いことでしょうか。 第四は、「彼らが下す正当な命令と勧告とに喜んで従う」ことです。ここには、基本的にあまり人には従いたくない私たち罪人への、神の訓練も含まれていると思います。 第五に、彼らの人格と権威に対する「忠誠と擁護と支持」とあります。親に愛されて育った子は、興味深いことに、親を擁護しますね。見ていて感心します。それなら、神が私たちの上に置かれた方々を支え、擁護して上げることも、何と尊いことでしょうか。 第六に、「彼らの弱点を忍び受け入れ、愛をもってそれを包み」とあります。何と温かい表現かと思います。実際、彼らのためにも私たち自身の成長のためにも、主は温かい愛と知恵をもって第五戒を下さっているのです。第六の点を、改めて深く心に受け留めたいとと思います。 関連する説教を探す 2023年の祈祷会 『出エジプト記』
第五戒を今日も学びます。
繰り返しますが、第五戒は第四戒までの対神的戒めの直後にあり、第五戒からの対人的戒めの最初にあります。それだけに、大変重要で内容も豊かな戒めです。
1647年に作られたウェストミンスター大教理問答を見ますと、十戒の中で最も数多く取り上げられているのが第五戒です。全部で11問にわたって解説されています。次に多いのが安息日を扱う第四戒ですが、7問ほどです。第六戒~十戒は、3問ずつしかありません。回数だけでどうこう言うことは出来ませんが、ウェストミンスター神学者会議の出席者たちも、第五戒が私たちに問いかけ、教え、求める範囲の広いことと奥深さを知っていましたので、きっと丁寧に扱ったのでしょう。
さて、前にも確認しましたが、「あなたの父と母を敬え」という「父と母」は、文字通りの肉親の親だけを指すのではありません。私たちが色々な人との関係の中で、敬い、尊ぶべき多くの人の、いわば代表として彼らが挙げられているのです。とはいえ、単に便宜的に代表として父母に言及されているのではありません。
例えば、一般社会や教会で、私たちより年齢が上の人とか、組織の中で先輩や上司にあたる人、或いは、私たちに何かを教え指導する目上の立場の人に私たちが接する時、神は、私たちが父母に対するのと同じような姿勢で、その人たちに敬意をもって接することを望んでおられるのです。つまり、父母に対し、私たちが生涯にわたって持つべき姿勢は、ただ彼らへのもので終るのではなく、私たちがこの世で接するあらゆる人に対して持つべき、神の喜ばれる大切な姿勢や態度の基本なのです。
スポーツ、芸術、語学、料理、その他、どんなスキルでもそうですが、基本がすごく大切です。基本がしっかりしていると、その上に、応用も豊かに自由に展開されることが可能となります。
このことは、私たちの大切な対人的あり方についても同じです。そして対人的あり方の極めて重要な基本、基礎となるものが、「あなたの父と母を敬え」なのです。「敬う」、つまり、愛し、重んじ、敬い、従い、助け、手伝いなさいということです。神はこういう意図の下に、第五戒を私たちに下さっています。何という神の知恵であり、深いお考えでしょうか。
そこで前回お話した子育てのあり方が大事になりますが、それを繰り返すことはやめます。それより、先程言いました、いわば目上の人に対して目下の者が払うべき敬意という点を、少し具体的に見たいと思います。私たちに一番身近なことだからです。
そこで、熟考されて作られましたウェストミンスター大教理問答の問127を、宮崎彌男先生の訳で見てみます。
「問127 目上の人に対して目下の人が払わなければならない尊敬とは、何ですか。」
「答 目上の人に対して目下の人が払わなければならない尊敬は、次の通りのことです。すなわち、心と言葉と行動で表すあらん限りの相応しい敬意、彼らのためになす祈りと感謝、彼らの長所や美点を見倣うこと、彼らが下す正当な命令と勧告とに喜んで従うこと、彼らから受ける懲らしめへの当然の服従、彼らの夫々の地位に応じ、また立場の性質に応じた、その人格と権威に対する忠誠と擁護と支持、彼らの弱点を忍び受け入れ、愛をもってそれを包み、そうすることによって、自分たちが、目上の人にとってもその支配にとっても名誉となるようにすることです。」
全部を詳しく見ることは出来ませんが、優れた信仰の先輩たちが集って祈り、協議し、熟考して告白した幾つかの点からだけでも学びたいと思います。
第一に、「心と言葉と行動で表すあらん限りの相応しい敬意」とあります。特に言葉はとても大切です。最近は、目上の人に対しても平気で友達言葉、最近の表現では「ダチ言葉」でしょうか、これを話す若い人たちが多いですね。でも、これはやはり問題です。何故なら、神や主イエス・キリストについても、友達言葉がついつい出るからです。ですから、私たちは意識的に敬語を使いたいと思います。
第二に、彼らのための「祈りと感謝」を忘れないでいたいですね。敬意は、祈りと感謝から生れます。
第三に、彼らを正しく批判できることも大切ですが、彼らの「長所や美点」を認め、見倣うことも、何と尊いことでしょうか。
第四は、「彼らが下す正当な命令と勧告とに喜んで従う」ことです。ここには、基本的にあまり人には従いたくない私たち罪人への、神の訓練も含まれていると思います。
第五に、彼らの人格と権威に対する「忠誠と擁護と支持」とあります。親に愛されて育った子は、興味深いことに、親を擁護しますね。見ていて感心します。それなら、神が私たちの上に置かれた方々を支え、擁護して上げることも、何と尊いことでしょうか。
第六に、「彼らの弱点を忍び受け入れ、愛をもってそれを包み」とあります。何と温かい表現かと思います。実際、彼らのためにも私たち自身の成長のためにも、主は温かい愛と知恵をもって第五戒を下さっているのです。第六の点を、改めて深く心に受け留めたいとと思います。