2022年12月29日「一年を振り返る」

問い合わせ

日本キリスト改革派 岡山西教会のホームページへ戻る

聖句のアイコン聖書の言葉

15:1 私たち力のある者たちは、力のない人たちの弱さを担うべきであり、自分を喜ばせるべきではありません。
15:2 私たちは一人一人、霊的な成長のため、益となることを図って隣人を喜ばせるべきです。
15:3 キリストもご自分を喜ばせることはなさいませんでした。」
ローマの信徒への手紙 15章1節~3節

原稿のアイコンメッセージ

 創世記1:14は「光る物が天の大空にあれ。昼と夜を分けよ。定められた時々のため、日や年のための徴となれ」と神が語られたことを伝えます。神は人間のために、年、季節、月、週、日など、時間の区切りを下さいました。もしこれらがないなら、私たちの生活はケジメがなく、随分ダラダラしたものになるでしょうね。しかし、神は時間に区切りを与え、私たちの人生の中にケジメやまとめの時を下さいました。素晴らしい神の恵みだと思います。

 ですから、1年の終りも大変意義深い時と言えます。立ち止って、自分の1年を振り返り、間近に迫る2023年を覚え、少しでも祈りと備えをして臨みたいと思います。

 そこで、聖書に従い、三つの観点から自分自身を振り返りたいと思います。

 第一は、対神的な点です。私たちをご自身と親しく交わるために造り、御子イエスを救い主として賜った程に、私たちへの愛と赦しに満ちた神の前に、自分はどうだったか、です。

 一般的に言って、私たちは人の不信仰や罪、問題には敏感で、すぐ気付き、気になります。人への正しい批判力は、当然、必要です。私たちは、ただ優しくて人が好いだけでは駄目ですね。大事な問題では、パウロもペテロをキチンと批判しました(ガラテヤ2章参照)。しかし、それなら、それと同じ批判力を自分にも向けるべきでしょう。私たちの思いも言葉も行いも皆ご存じの神の前に、自分はどうだったか。すべきでないことは、どれ位しなかったか、すべきことは、どれ位したか、などです。

 近年は、コムプライアンス(公的な規則や求め)の遵守が強く問われるようになりました。良いことです。では、神の御言葉へのコムプライアンスは、どうだったでしょうか。或いは、神の喜ばれることをどれ位考え、口にし、行ない、そのことに時間を使ったでしょうか。昔、ピューリタンたちは、イエスの山上の説教の冒頭の御言葉により、自分をよく吟味したということです。私たちも、今からでも遅くありません。夫々自分に問いたいと思います。

 第二は、対自的な点です。御子イエスを賜った程に私たちを愛しておられる神の御心に従ってですが、私たちはこの一年、どれだけ自分を大切にしたでしょうか。例えば、神が愛して下さっている私たち自身の体のために良くないと分っていることを、どれだけ自分と戦って避けたでしょうか。

 また、自分の魂をどれだけ本気になって大切にしたでしょうか。自分の信仰を低め、人間性や人格を貧しくするものをどれ位避け、しかし、自分の心、魂を高め、清め、豊かにする神の祝福となることに、どれ位熱心で大切にしたでしょうか。自らに問うてみたいと思います。

 三つ目は、対人的な点です。すなわち、どれだけ人に仕え、特に人の喜びに仕えたか、です。ローマ15:1~3は言います。「私たち力のある者たちは、力のない人たちの弱さを担うべきであり、自分を喜ばせるべきではありません。私たちは一人ひとり、霊的な成長のため、益となることを図って隣人を喜ばせるべきです。キリストもご自分を喜ばせることはなさいませんでした。」

 これは「己を無にしてひたすら人に仕えよ」と言うのではありません。要は、人の喜びのために仕えるということです。

 もう10年以上前のことです。当時、私が働いていました淀川キリスト教病院で知り合いになったある人が、かつて検察庁特捜部で検事としてロッキード事件の指揮を取った堀田力弁護士(今は、さわやか福祉財団の会長)の講演を聞き、内容の一部をメールで伝えて下さいました。ほぼこんな内容です。「逮捕された児玉誉士夫氏は、金だけの人生で、誰も信用できず、誰も見舞に来ず、友人がいない。哀れだった。…本当の財産は金ではない。人である。その人が作り出した笑顔、すなわち、どれだけの人を幸せにしたか、笑顔にしたかが本当の財産。それが人生の存在意義だと思う。」

 堀田弁護士のことはよく知りませんが、「その人が作り出した笑顔、すなわち、どれだけの人を幸せにしたか、笑顔にしたかが、本当の財産。それが人生の存在意義」という所が興味深く、当時、病院で患者さんを相手にチャプレンをしていた私の心に特に強く残りました。

 何より、神の御言葉である聖書自身、主イエス・キリストへの信仰を通して絶えず私たちに注がれている神の救いの愛の故に、先程のローマ15:1~3でこう教えます。「私たち力のある者たちは、力のない人たちの弱さを担うべきであり、自分を喜ばせるべきではありません。私たちは一人一人、霊的な成長のため、益となることを図って隣人を喜ばせるべきです。キリストもご自分を喜ばせることはなさいませんでした。」

 第一に神に喜ばれ、第二に自分を大切にし、第三に人を少しでも笑顔にし、喜ばせ、幸せにすることに役立たせて頂く、そのような真に福音に生きる新しい年に、是非、されたいと思います。

関連する説教を探す関連する説教を探す