十戒の学び18 第四戒1
- 日付
- 説教
- 田村英典 牧師
- 聖書 出エジプト記 20章8節~11節
20: 8 安息日を覚えて、これを聖なるものとせよ。
20: 9 六日間働いて、あなたの全ての仕事をせよ。
20:10 七日目は、あなたの神、主の安息である。あなたはいかなる仕事もしてはならない。あなたも、あなたの息子や娘も、それにあの男奴隷や女奴隷、家畜、またあなたの町囲みの中にいる寄留者も。
2:11 それは主が六日間で、天と地と海、またそれらの中の全てのものを造り、七日目に休んだからである。それゆえ、主は安息日を祝福し、これを聖なるものとした。出エジプト記 20章8節~11節
今日から十戒の第四戒の学びに進みます。
第四戒を読みますと、色々なことに気付かされます。
第一に、時間について教えられます。時間に関することは、第一戒から第三戒にも、また第五戒から第十戒にも触れられていません。しかし第四戒では、時間というものを私たちは考えざるを得ません。そしてこれはとても大切な点です。第二に、第四戒の中心点は安息日の聖別にありますが、同時にかなり力を込めて六日間の労働にも触れられています。第三に、その労働あるいは仕事への注意や警告も見られます。第四に、同じく十戒を教える申命記5:12~15と比べますと、安息日を私たちが守るべき理由が少し違います。出エジプト記では神の天地創造の業に触れますが、申命記ではイスラエルのエジプトからの救い、解放という神の贖いの御業と関連させます。
このように、サーッと読むだけでも色々気付かされますが、その上、第四戒の具体的な守り方とか聖書全体のメッセージとの関連で学びますと、大変興味深いものになると思います。
序論的な話はこれで終り、中身に入ります。それで今日は、先程上げた第一の時間的な点に注目します。つまり、第四戒は、神こそが時間の真の所有者であり、支配者でもあられることを、私たちに教え、認識させます。
生れながらの罪人である私たちは、どんなことも神と関係なく受け留め、考え、単に前から存在しているものに過ぎないとか、ひどい場合には何でも自分の自由になるとか、思い通りにしようと思ったりします。
これは時間についても同じです。そもそも時間というものを改まって深く考えたこともなく、時間はただ勝手に流れ、そこで自分の思い通りに使い、時間を自分のものだと思っている人も多いと思います。しかし、これは聖書的に言えば、間違いです。ですから神は、私たち人間に向ってこう言われます。8~10節「安息日を覚えて、これを聖なるものとせよ。六日間働いて、あなたの全ての仕事をせよ。七日目は、あなたの神、主の安息である。あなたは、いかなる仕事もしてはならない。」
時間について少しも考えることなく、自覚も感謝なく、ただ自分の思いのままに過ごそうとする私たち罪人に、神はストップをかけられます。つまり、1週間の内、丸1日を、礼拝を中心として私たちに聖別させ、神の意志に従わせ、生活に時間の区切りをハッキリ設けさせることにより、時間を創り、時間の真の所有者がご自分であることを、神は私たちに教育されるのです。
時間の本当の所有者は、天地万物を全くの無から、ただ力ある言葉によって創られた真(まこと)の神に他なりません。十戒の第四戒が私たちに教え、気付かせる最も根本的なことの一つは、この点です。
もう一点、時間についての今のこととも関係しますが、神は私たちをある意味で仕事という偶像礼拝から守ろうとしておられるとも言えることを見ておきます。
神に背き、罪の中に落ちた私たち人間には、神に代えて何かにすがり、何かに仕えようとする傾向が絶えずあります。お金や地位、名声を得ること、世俗的楽しみ、快楽、趣味、何かの気晴らしで、心の空洞を埋めようとする人も多いです。
注意しませんと、仕事もそれ自体が目的となり、のめり込み、私たちを愛をもって創られた真の神から私たちをいつの間にか引き裂く危険があります。イエス・キリストにより神との交わりを喜び、魂を養われるのではなく、常に何かに手を出し、何かをしていないと落ち着かず、6日どころか7日でものめりこみたい人もいると思います。
特に仕事について言いますと、日本では、過剰な労働時間が問題となり、規制する法律もできましたが、それでも、生きるために働くというより、働くこと自体が生き甲斐、つまり、偶像になる危険性は常にあります。
しかし、その最後は何でしょうか。伝道者の書1:2、3はこう言います。「空の空。伝道者は言う。空の空。全ては空。日の下でどんなに労苦しても、それが人に何の益になるだろうか。」それだけでは、最後は滅びです。永遠で底なしの空しさと悲惨に呑み込まれます。悪魔は何にでも働きます。
感謝なことに、神は私たちを愛しておられ、私たちを守ろうとしておられます。仕事は大切ですが、私たちに罪があるため、仕事にリミットを設ける必要があります。まさに神は第四戒により、それを私たちにさせて下さるのです。「安息日を覚えて、これを聖なるものとせよ。六日間働いて、あなたの全ての仕事をせよ。七日目は、あなたの神、主の安息である。あなたは、いかなる仕事もしてはならない。」何としても私たちの体と心と魂を守ろうとされる神の真実な愛を、改めて覚えさせられます。