2021年11月04日「生きた信仰」

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生きた信仰

日付
説教
田村英典 牧師
聖書
ヤコブの手紙 1章22節~25節

聖句のアイコン聖書の言葉

1:22 御1言葉を行う人になりなさい。自分を欺いて、ただ聞くだけの者となってはいけません。
1:23 御言葉を聞いても行わない人がいるなら、その人は自分の生まれつきの顔を鏡で眺める人のようです。
1:24 眺めても、そこを離れると、自分がどのようであったか、すぐに忘れてしまいます。
1:25 しかし、自由をもたらす完全な律法を一心に見つめて、それから離れない人は、すぐに忘れる聞き手にはならず、実際に行なうひとになります。こういう人は、その行いによって祝福されます。
ヤコブの手紙 1章22節~25節

原稿のアイコンメッセージ

 私たちは、自分の信仰が弱くても、信仰はやはり生きた本物でなければならないと思っていると思います。では、それはどんな信仰でしょうか。知識や言葉だけでなく、聖書の教え通りの行動が伴うものでしょう。それは聖書自身が求めていることです。1:22は「御言葉を行う人になりなさい。自分を欺いて、ただ聞くだけの者となってはいけません」と言います。

 行いの伴う生きた信仰の大切さという点で覚えておきたいことは、25節「こういう人は、その行いによって祝福されます」とありますように、必ず神の素晴らしい祝福が伴うことです。

 そこで今日は、アメリカ合衆国第39代大統領(1977~1981年)で、2002年ノーベル平和賞受賞者でもあるジミー・カーター氏(今年10月1日で97歳)を少しご紹介したいと思います。

 『信じること、働くこと』という彼の自伝が出ていますが、本の原題は“Living Faith”、つまり、「生きた信仰」です。

 その中で、彼は率直に自分の色々な失敗や挫折を語っています。ジョージア州知事選で、負けるはずがないと思えた人種差別主義者に負けたこともあります。大統領職もレーガンに敗れ、1期4年で退いています。しかし、そういう中、多くの人に励まされ、彼は色々な活動に従事します。その結果、神から尊い喜びや祝福を体験しました。

 例えば、州知事選に負けた後、「神は自分を捨てた」とさえ思ったこともありましたが、妹さんに励まされ、幾つもの町に一信徒として伝道旅行に出かけました。そこで、彼は本物の信仰者たちの信仰に触れることができ、また福音によって人が本当に変えられることも体験しました。これは彼の信仰をいよいよ生きたものにしました。

 大統領を退いた後、暫く落ち込んでいましたが、間もなく、アトランタに「カーター・センター」を設立し、世界の平和や人権のために自分を献げます。他にもクリスチャンとして沢山行動しました。

 また彼は、家のない貧しい人たちにいくらかのお金を無利子で貸し、彼らと一緒に大工仕事をして家を建てるボランティアもしました。アメリカの元大統領が一人のボランティアとして皆と一緒に汗をかき、日に焼かれて貧しい人たちのために家を建てたのです。彼は、そうやって自分の家を得た人たちが、大きな喜びと共に、人間としての誇りを取り戻し、今度は自分も人のために働こうとする者に変えられるのを、しばしば目にしました。

 最近までインドやアフリカで人々を苦しめてきたメジナ虫症というのがあります。汚染された池の水を飲んだ村人の体内に小さな卵が入りますと、虫は成長し、1年も経たない内に60cmを越え、雌は1m以上にもなるそうです。やがて虫は皮膚を突き破り、体の外へ出ようとします。感染者は、痛みを和らげ、また水を得るために、一生懸命池まで歩き、水に入ります。すると、寄生虫は池に出て何千もの卵を産み、同じことが繰り返されるわけです。

 メジナ虫撲滅の方法の一つは、腐らない糸で細かく織られた布で水を濾過することだそうです。けれども、1980年代にはそういう布は一般にはありませんでした。そこで彼は、デュポン社を持っていた人の一人に会いにいき、説明しました。デュポン社は、すぐ特別な布を開発することと費用を全く請求しないことを決議しました。

 1988年頃、この疾病に苦しむ人は350万人いましたが、1995年には何と13万人に激減しました。戦乱のために国際医療団が入っていけなかったスーダンの一部に13万人が残ったわけです。撲滅運動の効果は抜群でした。

 活動の進捗状況を報告するために、彼はデュポン社本部を訪ねました。社長や上級管理職を初め600人が大きなテントの中に集まりました。彼は言います。「私がデュポン社からの贈り物に感謝を述べ、奇跡的な結果をもたらすまでを記録した短編映画を見てもらった時、殆どの人の目に涙があった。私の目も涙に潤んだ。」

 彼の人生を見ますと、失敗も挫折もたくさんありますが、信仰による具体的な行動により、多くの人に人生と品位を取り戻させ、信仰による希望を与え、更に彼自身が神の恵みを体験し、天国にまで連なる確信と喜びを一層強められていることが分ると思います。

 主はこういう祝福に与らせようとして、私一人一人を生きた信仰へ招いておられます。ヤコ1:22は言います。「御言葉を行う人になりなさい。自分を欺いて、ただ聞くだけの者となってはいけません。」

 ここだけを読みますと厳しいと思うかも知れません。しかし、25節は「こういう人は、その行いによって祝福されます」と言います。御言葉を行う生きた信仰には、必ず神の素晴らしい祝福が伴う。ですから、聖書は私たちに御言葉の実践を強く教えるのです。

 このことを改めて心に深く刻みたいと思います。

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