2019年05月29日「喜び、祈り、感謝」

　聖書には、分りにくい教えもあれば、分りやすい教えもあります。このⅠテサロニケ5:16～18の御言葉（みことば）は分りやすいですが、実践することは必ずしもやさしくないように思えます。

　この手紙は、迫害や困難のために気落ちすることも多かったテサロニケの町の教会員たちに宛てて書かれ、ここでは、皆の魂を守るために実践的なことをパウロは書いています。彼自身も実践してきた事柄でしょう。

　では、困難な中でも、私たちが尚も前進できる秘訣は何でしょうか。

　第一は、「いつも喜んで」いることです（16節）。

　でも、すぐこんな反論が起きそうです。「辛い時に喜ぶなんて、そんなの無理だ。」しかし、私たち人間の心は、神によって素晴らしく造られていますので、とても気になるあることで頭の中が一杯の時でも、私たちは、それと並行して喜びを見いだすことが可能です。

　気持は重い。でも、人の優しさを感じ、花を美しいと感じ、良いニュースを聞いたりしたら、「あぁ、嬉しい！」と意識的に喜んでみるのです。すると心がフヮッと軽くなり、心が解放されることを感じるでしょう。気が滅入る時でも、「あぁ駄目だ」と思うことから目を他に転じ、捜せば必ず見つかる喜びを捜し、そこに心を向けるのです。すると喜べますし、思いがけず励まされます。

　二つ目は、「絶えず祈」ることです（17節）。

　何かがひどく気になって仕方がない時、私たちは「これではいけない。もう考えるのをやめよう」と思います。しかし、すぐまたそれが気になり、堂々巡りをしている自分に気づくことがあります。そういう時、私たちは心をキッパリ天に向け、神に話しかけるのです。例えばこうです。「神様、私は今混乱し、あのことに心を支配されそうです。神様、私は弱い者です。でも、聖書であなたは、あなたを心から信じ、助けを仰ぐ者を、必ず守ると約束しておられますので、今、私はそれを改めて信じます。全てをあなたに委ねます。ですから、私に落ち着きと平安をお与え下さい」と。そして気になって仕方がないものを神に預けるのです。すると心が楽になり、神の時を待とう、という思いをも与えられるのが分ると思います。詩篇55:22も言います。「あなたの重荷を主に委ねよ。主があなたを支えて下さる。主は決して、正しい者が揺るがされるようにはなさらない。」

　三つ目は、「すべてのことにおいて感謝」することです（18節）。

　ここでも私たちは、こう反論したくなるかも知れません。「こんな大変な問題を抱えている今の私に、何を感謝しろというのか。そんなの無理だ。感謝なんて、できっこない」と。

　しかし、ここでも、私たちはそういう自分を背後から少し距離を置いて見たいと思うのです。問題は確かに未解決のままです。しかし、心の角度、心の目の高さ、視点を少し変え、或いはグッと広げてみるのです。すると、それまで見落としていたものに気付かされることがあります。例えば、美しいものを美しいと感じ、太陽の日差しを嬉しいと感じ、美味しいものを「あぁ、美味しい」と味わえること、それと、私たちのことを親身になって心配してくれる優しい人のいることなどです。

　そこで、それらのことを改めて自覚的にキチンと感謝してみるのです。「…さん、本当にありがとう。あなたの優しさに、私はどんなに支えられているでしょう。また神様、素晴らしい自然界に触れさせて下さり、感謝致します」と。すると、心が不思議に和らぐのを感じると思います。何より私たちは、一切のことが神のご計画、神のご支配の下にあることを覚えるのです。どうして、こんな辛いことが起るのかと苛立ち、サタン・悪魔が働いているのではないか、と思う時さえあります。しかし、神のお許しがなければ、私たちの髪の毛1本地に落ちない。サタンさえ何も出来ない。何が起ろうとも、そこにも必ず神の計画があり、意味があり、何かを神は私たちに教えようとしておられます。またローマ8:28「神を愛する者たち、すなわち、神の御計画に従って召された人たちのためには、全てのことが共に働いて益となることを、私たちは知っています」とあります。つまり、私たちが神を愛しているなら、神は最終的には必ず万事を益として下さる！それを本当に信じるのです。ヘブル11:1（新共同訳）がいう通りです。「信仰とは望んでいる事柄を確信し、見えない事実を確認することです。」すると、感謝も生れます。

　以上の三つの勧めをしたあと、パウロは「これが、キリスト・イエスにあって神があなた方に望んでおられることです」（18節）と言います。神は私たちを助け、私たちの魂を守るために、こういう実践的知恵に私たちが生きることを「望んで」おられます。ですから、御言葉を信じ、これらを実際にやってみるのです。すると、状況自体は変らなくても、私たち自身が変えられ、いつしか神に支えられていることに気付くでしょう。

　ご一緒に神の知恵を身に着け、イエス・キリストに手を取って頂いて、歩みたいと思います。