「神の民の喜ばしい祝宴」ウイリアム・モーア2011.6.5.

聖書：コロサイの信徒への手紙３章１５−１７

 

 

【聖餐式と私たち】

今日、私達は新たに聖餐式に預かろうとします。そして、我々の日本キリスト改革派教会は全ての改革主義教会と同じように聖餐式を重んじて、非常に真剣に扱っています。ですから、日本キリスト改革派教会の式文に於ける聖餐式の典礼文にこう書いてあります。「聖餐を受ける者は、神の御前に、自分自身を吟味し、悔改めと信仰を表さなければなりません。また、主を頭とする教会の枝である事を覚え、愛の一致を表さなければなりません。」

 

つまり、聖餐式を正しく頂く為に心と魂の準備が必要であります。自分の行動と信仰生活を省みて、そして、罪を悔い改めてから聖餐式を受けた方が良いと勧められています。

 

 

【宗教改革者ジョン・カルヴィンと聖餐】

実は、宗教改革者であるジョン・カルヴィンは聖餐の純潔を守る為に、信者が礼典にあずかる前に、彼らを面接して、信仰の状態を量りました。そして、合格した信者には、 硬貨に似たトークンが与えられ、それを持って聖餐式を受けました。その反面、面接を失敗した場合、聖餐を頂く事が出来ませんでした。

 

その結果、聖餐式は非常に厳かなものになり、多くの信者は自分がふさわしくないままで礼典を受ける事を恐れました。ですから、聖餐式は非常に暗くなり、あんまり喜びのない礼典になりました。

 

【神の民の喜ばしい祝宴】

聖餐式は真剣に扱う必要がありますが、決して陰気なものではないのです。基本的に私どもは喜びと感謝を持ってその礼典を祝うべきです。使徒パウロが書いたように、「主において常に喜びなさい。重ねて言います。喜びなさい。」（フィリピの信徒への手紙４：４）

 

主イエス・キリストの食卓は死の食卓ではなく、逆に、復活の祝宴の食卓になります。また、この食卓は最後の晩餐ではなく、喜びのある主の晩餐です。聖餐は何よりも主イエス・キリストが備えて下さった神の民の喜ばしい祝宴になります。

 

言うまでもなく、聖餐式の際、主イエスの復活だけではなく、私達の為の主の贖い死も感謝を持って覚え、記念します。しかしながら、イエス・キリストが今、生きておられるからこそ、私どもはこの主の食卓を囲んで御自分の恵みを頂けます。主の喜ばしい復活がなければ、福音と、救いと、キリスト教会もないし、私達も今朝ここに集うはずがありません。

 

福音の基本的な意味は「善いお知らせ」です。そして、本当に良いお知らせを心からお祝います。

 

 

【竜巻と神父】

今年の春、アメリカの中部と南部も特に激しい異常気象で悩まされました。竜巻が数百件あって、死亡者の人数が多くて、しかも多大な財産の被害も受けました。テレビのニュースで見た一つの事件を特に覚えています。それは、ある町のカトリック教会の会堂が竜巻によって全滅に近い障害を受けました。不思議に教会の十字架しか残りませんでした。竜巻が急に襲って来た時、教会に住み込む神父さんは独りでした。恐ろしい竜巻が通ったと、信者達は教会の様子を見る為、飛んで来ました。会堂は全く瓦礫の山と化して、丈夫な鉄で造られた十字架だけが立っていました。そこに、神父さんの様子は全然見当りませんでした。皆は最悪の結果を恐れながら、神父さんの名前を一生懸命に呼びました。そして、やっと瓦礫の中から何かが動き始めました。近づくと動いた物は板だったと分かり、信徒達はなおさら神父の名前を叫びました。そして、やっと全滅した」会堂から神父さんの声が聞こえたのです。皆はその所から瓦礫を取り除くと驚きました。神父さんはお風呂の中にいて、傷一つもなかったのです。彼はお風呂に避難して守られました。

 

信徒達は神父さんをお風呂から取り出して、大喜びしました。会堂は残らなかったけれどもそれはかまいませんでした。ただ生き残った神父さんを心から祝って、神に溢れる程の感謝を表しました。

 

【主イエス・キリストは生きておられる】

愛する兄弟姉妹、聖餐式にあずかる私達の姿はいかがでしょうか。全てを失っていても、ただ生き残った神父を心から祝う信者達と同様ではありませんか。蘇られましたイエス・キリストは生きおられます。そして、全てが失われているように見えても、生きている主イエスを通して私達は大きな希望と力を持って生きる事が出来ます。聖餐式を祝う度に、私達はその喜びと勝利を思い起こし、経験します。

 

今日与えられた御言葉は只今から聖餐を受ける私達の姿勢ではないかと思います。もう一度聞いて下さい。（コロサイの信徒への手紙３章１５−１７　）

「また、キリストの平和があなたがたの心を支配するようにしなさい。この平和にあずからせる為に、あなたがたは招かれて一つの体とされたのです。いつも感謝していなさい。キリストの言葉があなたがたの内に豊かに宿るようにしなさい。知恵を尽くして互いに教え、諭し合い、詩編と賛歌と霊的な歌により、感謝して心から神を誉め称えなさい。そして、何を話すにせよ、行うにせよ、全てを主イエスの名によって行い、イエスによって、父である神に感謝しなさい。」

 

【聖餐の効能】

聖餐式は基本的に主イエス・キリストの復活のお祝いで、私達への大きな希望があります。そして、主の食卓から頂くと、私達は神によって養（やしな）われます。つまり、信仰が強められています。失望は復活の希望で征服され、霊的な飢えが満たされ、不安が安心に変えられ、「道であり、真理であり、命である」イエス・キリストに出会います。

 

愛する兄弟姉妹、「これは神の民の喜ばしい祝宴です。神の民は、西から東から、北から南から来て、神の国で食卓に座るでしょう。これが主の食卓です。私達の救い主は信じる人々を招き、用意されていた祝宴に与らせて下さいました。」（おわり）

 

 

2011年06月05日 | カテゴリー： コロサイの信徒への手紙 , 新約聖書

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