「ペンテコステ」ウイリアム・モーア2010.5.23

使徒言行録2章1−21

◆聖霊が降る

 

  1:五旬祭の日が来て、一同が一つになって集まっていると、2:突然、激しい風が吹いて来るような音が天から聞こえ、彼らが座っ ていた家中に響いた。3:そして、炎のような舌が分かれ分かれに現れ、一人一人の上にとどまった。4:すると、一同は聖霊に満たされ、"霊"が語らせるままに、ほかの国々の言葉で話しだした。

  5:さて、エルサレムには天下のあらゆる国から帰って来た、信心深いユダヤ人が住んでいたが、6:この物音に大勢の人が集まって来た。そして、だれもかれも、自分の故郷の言葉が話されているのを聞いて、あっけにとられてしまった。7:人々は驚き怪しんで言った。「話をしているこの人たちは、皆ガリラヤの人ではないか。8:どうしてわたしたちは、めいめいが生まれた故郷の言葉を聞くのだろうか。9:わたしたちの中には、パルティア、メディア、エラムからの者がおり、また、メソポタミア、ユダヤ、カパドキア、ポントス、アジア、10:フリギア、パンフィリア、エジプト、キレネに接するリビア地方などに住む者もいる。また、ローマから来て滞在中の者、11:ユダヤ人もいれば、ユダヤ教への改宗者もおり、クレタ、アラビアから来た者もいるのに、彼らがわたしたちの言葉で神の偉大な業を語っているのを聞こうとは。」12:人々は皆驚き、とまどい、「いったい、これはどういうことなのか」と互いに言った。13:しかし、「あの人たちは、新しいぶどう酒に酔っているのだ」と言って、あざける者もいた。

◆ペトロの説教

 14:すると、ペトロは十一人と共に立って、声を張り上げ、話し始めた。「ユダヤの方々、またエルサレムに住むすべての人たち、知っていただきたいことがあります。わたしの言葉に耳を傾けてください。15:今は朝の九時ですから、この人たちは、あなたがたが考えているように、酒に酔っているのではありません。16:そうではなく、これこそ預言者ヨエルを通して言われていたことなのです。17:『神は言われる。終わりの時に、/わたしの霊をすべての人に注ぐ。すると、あなたたちの息子と娘は預言し、/若者は幻を見、老人は夢を見る。18:わたしの僕やはしためにも、/そのときには、わたしの霊を注ぐ。すると、彼らは預言する。19:上では、天に不思議な業を、/下では、地に徴を示そう。血と火と立ちこめる煙が、それだ。20:主の偉大な輝かしい日が来る前に、/太陽は暗くなり、/月は血のように赤くなる。21:主の名を呼び求める者は皆、救われる。』

 

【教会の誕生】

皆さん、今日、私達は大事な誕生日をお祝いします。その誕生日は私達にとってとても重要であり、その誕生日がなければ、私達は今朝こちらに集わなかったと思います。もちろんそれは私の誕生日ではありません。私はは四月生まれですが、今日祝う誕生日は一人の人の誕生日よりも遥かに重要であります。

 

【聖霊降臨日】

実は、本日はイエス・キリストの教会の誕生日になります。約1,970年前に神の大きな力によって私達が属する世界のキリスト教会が誕生しました。その日、神なる聖霊が使徒達の上に降った事によって、教会が創立されました。ですから、今日、私達は全世界のキリスト教会と共に聖霊降臨日、すなわちペンテコステを記念します。ペンテコステにキリスト教会は特別に聖霊の賜物を覚え、神に感謝を捧げます。

 

私達の罪の赦しの為に主イエス・キリストは十字架の贖い死を経験されました。そして、三日目に神の力によって死から蘇られました。先月のイースターに私達はその素晴らしい出来事を祝いました。

 

復活されてから、主イエスは40日間の間に弟子達に何回も現れ、大事な事を教えられました。使徒言行録1章3節にこのように記されています。「イエスは苦難を受けた後、御自分が生きている事を、数多くの証拠をもって使徒達に示し、40日にわたって彼らに現れ、神の国について話された。」

 

そして主は彼らにこう命じられました。「エルサレムを離れず、前に私から聞いた、父の約束されたものを待ちなさい。ヨハネは水で洗礼を授けたが、あなたがたは間もなく聖霊による洗礼を授けられるからである。」(使徒言行録1:4−5)

 

【聖霊について】

ヨハネによる福音書14章16−17節に主イエスはその聖霊についてこのように言われました。「私は父にお願いしよう。父は別の弁護者を遣わして、永遠にあなたがたと一緒にいるようにして下さる。この方は、真理の霊である。世は、この霊を見ようとも知ろうともしないので、受け入れる事が出来ない。しかし、あなたがたはこの霊を知っている。この霊があなたがたと共におり、これからも、あなたがたの内にいるからである」と記されています。

 

【主イエスの宣教命令】

主は天に上げられる直前に弟子達に彼らの使命を与えたのです。それは、「あなたがたは行って、すべての民を私の弟子にしなさい。彼らに父と子と聖霊の名によって洗礼を授け、あなたがたに命じておいた事をすべて守るように教えなさい。私は世の終わりまで、いつもあなたがたと共にいる」(マタイによる福音書28:19−20)と主が教えられました。

 

【聖霊を待ちなさい】

つまり、これからの弟子達の使命は福音を伝える事によってイエス・キリストの教会を築くのです。しかし、派遣する前にその使命を果たす為に必要な力と知恵を受けなければなりませんでした。ですから、「エルサレムを離れず、前に私から聞いた、父の約束されたものを待ちなさい」と主イエスに命じたのです。

 

使命を果たす為の賜物こそは聖霊です。聖霊の力がなければ福音を伝え、全世界の教会を形成する事は無理でした。しかし、主はこのように約束されました。「あなたがたの上に聖霊が降ると、あなたがたは力を受ける。そして、エルサレムばかりでなく、ユダヤとサマリアの全土で、また、地の果てに至るまで、私の証人となる。」(使徒言行録1:8)

 

使徒達の力が足りないと主イエスはよく分かりました。ただ彼らの力で地の果てに至るまで主の証人となる事は不可能でした。ですから、必要な力を受けさせる為に聖霊を彼らに送って下さると約束されました。

 

主イエスは弟子達の目の前で天に上げられました。聖書にこう記されています。「イエスは彼らが見ているうちに天に上げられたが、雲に覆われて彼らの目から見えなくなった。イエスが離れ去って行かれるとき、彼らは天を見つめていた。すると、白い服を着た二人の人がそばに立って、言った。『ガリラヤの人たち、なぜ天を見上げて立っているのか。あなたがたから離れて天に上げられたイエスは、天に行かれるのをあなたがたが見たのと同じ有様で、またおいでになる』(使徒言行録1:9−11)とおっしゃいました。 

 

【エルサレムへ戻り】

主の弟子達はその珍しい光景を目撃すると、どうしましたか。恐らく彼らは、「主よ、速く戻って来て下さい。私達を孤児にしないで下さい」と叫びたかったでしょう。しかし、彼らは聖霊の約束と主の命令を覚え、勇気を出して言われた通りにエルサレムへ戻り聖霊の降臨を待ちました。

 

そしてエルサレムで、「彼らは皆、夫人達やイエスの母マリア、またイエスの兄弟たちと心を合わせて熱心に祈っていた」(使徒言行録1:14)と記されています。

 

【祈って聖霊の降臨を待つ】

彼らはイエスの約束を心から信じ、 素直に主の指示に従いました。そして、聖霊の降臨を待ちながら弟子達は共に祈ったのです。祈りを通して彼らは聖霊を受ける為の準備をしました。つまり、神と近くなり、その御旨を分かろうとしました。彼らは世界伝道の使命を主イエス・キリストから与えられました。そして、その使命を果たす為に、第一に、エルサレムへ戻って聖霊の降臨を待つという主イエスの指示に服従しました。また、彼らは熱心に共に祈りました。

 

【西谷の地で教会を築く】

愛する兄弟姉妹、主の弟子達と同じように私達も使命が神から与えられたと信じております。それはこの西谷の地でイエス・キリストの教会を築くのです。ですから、大昔の弟子達と同じように私達も主イエスの戒めに忠実に従わなければなりません。その戒めは聖書にはっきりと記されています。また、私達も神の御旨が分かるように弟子達と同じように熱心に祈らなければならないと信じます。

 

ペンテコステの日が来ると弟子達は一つになって集まっていました。確かに彼らは祈る為に集ったのです。そして、今朝の朗読にその劇的な次第が記されています。「突然、激しい風が吹いて来るような音が天から聞こえ、彼らが座っていた家中に響いた。そして、炎(ほのお)のような舌が分かれ分かれに現れ、一人一人の上にどどまった。すると、一同は聖霊に満たされ、『霊』が語らせるままに、ほかの国々の言葉で話し出した」(2:2−4)と記されています。

 

【炎】

聖書では炎は神の御臨在の徴であります。旧約聖書のモーセは荒れ野で羊の群れの番をしていた時、柴の間に燃え上がっている炎の中に主の御使いが現れました。柴は火で燃えているのに、柴は燃え尽きません。そして、神は柴の間から声をかけられ、御自分をモーセに現わされました。神はその同じ徴で聖霊の力を弟子達に授けたのです。そして、その力の現れが彼らは奇跡的に他の国の言語が出来るようになりました。何故なら、丁度その時、祭りの為に世界中から大勢のユダヤ人とユダヤ教への改宗者がエルサレムに集まって来ました。

 

そして、弟子達は聖霊の力によってその人々のそれぞれの言葉が出来、神の偉大な業を語って、伝道が出来ました。弟子達は聖霊からその能力を頂き、自分の力ではなく、神の力ですべての民を主イエスの弟子にしました。つまり、主イエスに授けられた使命を果たす為、必要な力を神から頂きました。やはり、神様の仕事だったら神の力と助けによって行わなければなりません。

 

私達もイエス・キリストを信じるならば聖霊の力に頼る事が出来ます。特に福音を知らない人に主イエスの善いお知らせを分ち合う時、聖霊は私達を助けて下さいます。不思議に必要な言葉や証を与えて下さいます。

 

【弟子達の聖霊経験】

聖霊の力を頂いた弟子達はそう言う経験がありました。例えば、主イエスが逮捕された時、弟子のペテロは恐れて、自分を守る為に三回程イエスを知らないと言ってしまいました。ペトロは祭司長の女中さえも恐れて主イエスを知らないと彼女に言い張りました。しかし、聖霊を受けると、彼は大胆に祭司長の前でイエス・キリストの証を立てました。

 

使徒言行緑4章13節にこのように記されています。「議員や他の者たちは、ペトロとヨハネの大胆な態度を見、しかも二人が無学な普通の人である事を知って驚き、また、イエスと一緒にいた者であるという事も分かった。」

ペトロと他の弟子達も聖霊から力を受けると、大きな働きが出来、キリスト教会の発展に重要な役割を果たす事が出来ました。

 

キリスト者、私達一人一人も聖霊の力を頂くと、神様の善き働きが出来ます。私達は忠実な証を立て、教会の発展の為に役割を十分果たせます。

 

最後に、弟子達は聖霊を受けると、神の御言葉に基づいて福音を述べ伝えました。ある人々は弟子達の唇から自分の故郷の言葉を聞くと、彼等を嘲り、「あの人達は、新しいぶどう酒に酔っているのだ」と言いました。そうすると、ペトロは御言葉を以て答えたのです。彼はヨエル書にある聖霊降臨の預言を引用して、力強くて答えました。「神は言われる。終わりの時に、私の霊を全ての人に注ぐ。すると、あなた達の息子と娘は預言し、若者は幻を見、老人は夢を見る。私の僕や、はしためにも、そのときには、私の霊を注ぐ。すると、彼等は預言する。」

 

 

聖霊の降臨は800年前にヨエル書に預言されました。そして、間違えなく、その日、ヨエルの預言が成就されたと言う意味なのです。イエス・キリストは天に上げられても、主は聖霊を通して私達と共におられて、私達一人一人の内に生きています。私達は主御自身の働きをする為に、力と知恵を十分にお与え下さいます。

 

【私達の大事な役割】

基本的に、教会の発展と成長は神様の働きと責任なのです。イエス・キリストの教会であるからです。しかし、私達一人一人も大事な役割があります。聖霊の力によって強められ、周りの者に善き証を立つ事が出来、また、色んな面で教会の成長を支える事が出来ます。それは神様から頂いた私達の使命ではありませんか。

【神の御声に従う】

その使命を果たす為に今日の御言葉から大事な事を学びました。先ず、私達は神の声を聞くと、その声に従わなければなりません。弟子達は言われた通りにエルサレムで聖霊の降臨を待ちました。その結果、彼等は聖霊に満たされたのです。

 

【聖霊の力を心から求めて】

次は、私達は自分の力に頼らず、聖霊の力を心から求めて、その力で神様の働きに参加しなければなりません。そして、最後に、私達は神の御言葉を大事にして、御言葉を通して神の声と御心を聞かなければなりません。

 

今日の聖霊降臨日、ぺンテコステの際、新たにその事を学ぶべきだと思います。そして、キリスト教会の誕生日を祝いながら、聖霊の賜物の為に神様に感謝を捧げたいのです。(おわり)

 

 

2010年05月23日 | カテゴリー: 使徒言行録 , 新約聖書

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