【不安、恐れ、無力状態、絶望】

変化にうまく対処出来ないと、私達は不安を感じ、将来に恐れを抱きます。自分の力で経済的問題や病気の心配や家庭の事情を解決出来ないので無力状態になり、絶望に追い込まれてしまいます。

【無常の世に勝つ信仰】

しかし、私達に与えられた信仰はこの無常の時代の為のものであります。この時代だからこそこの信仰にかたく立ち、主にある希望を持ちたいのです。 ですから、私達は何よりもこの難しい時代に住むための信仰を得たいのです。その信仰はもちろん神の賜物ですから、神から頂かなければなりません。しかし、賜った信仰を生かす為に私達はしなければならない事が幾つかがあります。

【祈り】

先週学んだその一つは祈りでした。御言葉にこう記されています。「どんなことでも、思い煩うのはやめなさい。何事につけ、感謝を込めて祈りと願いをささげ、求めているものを神に打ち明けなさい。そうすれば、あらゆる人知を超える神の平和が、あなたがたの心と考えとをキリスト・イエスによって守るでしょう。」（フィリピの信徒への手紙４：６−７）

【神に打ち明ける】

つまり、自分の心配とニーズを愛する神に打ち明ける事によって、悩みを主に委ねる事が出来ます。そして、神は御自分の平安を私達に授けて助けて下さいます。ですから、無常の時代に住む私達にとって祈りの生活が必要であります。主は私達の祈りを通して語り掛け、難しい事情の中にいても平安を与えて下さいます。

【思い起こすこと】

今朝は無常の時代に住むための信仰のもう一つの特徴を学びたいです。それは思い起こす事です。つまり、過去にある神の恵みと助けを常に覚えるべきであります。何故なら、変わる事の無い神は真実なお方です。ですから、私達は過去にある主の同じ恵みを現在と将来にも頂く事が出来ます。確かな希望を持って期待出来ます。変わりつつこの世に住む私達は変わらぬ神の助けと祝福を未来にも頂く保証は何と素晴らしい事でしょう。その故に過去にある神の恵みと助けを思い起こす必要があります。

【よい記憶と悪い記憶】

人間の記憶は不思議なものです。大抵、良い事よりも、悪い事はいつまでも覚えています。その悪い記憶は私達の現在と将来に悪影響を及します。例えば、いつも傷つけられた事を覚え続けると、将来にも傷を受けやすくなります。その反面、良い思い出を沢山思い起こすと、大抵将来にもその良い事を受けられます。実は、多くの場合ですが、忘れる事は恵みであります。全ての気持ち悪い事や苦しい時のことを全部覚えていると、大変な霊的、精神的重荷になります。その苦しいことを忘れた方が良いのです。しかし、神の恵みと祝福、神の助けと救いの経験をしっかり覚えると益になります。それは無常の時代に住むための不動な信仰をもたらします。

【神の御業を思い起こす】

特に聖書には神の御業を思い起こす重要性が強調されています。今日与えられた御言葉はその一つのところです。神の民イスラエルはヨルダン川の川岸に立って、向こう側の約束された地、憧れたカナンをやっと見る事が出来ました。しかし、問題があったのです。その川に橋がなくて、数万人とその財産と家畜は渡る事が不可能でした。普通に考えると、これでイスラエルの民は終点をうったと思います。

【ヨルダン川をせき止める】

しかし、彼らの頭、ヨシュアは神の約束を信じ、主の箱、つまり神の御臨在の印になる御神輿のような箱を運んだ祭司達をヨルダン川に入れと命じました。そして、祭司達の足が川に入った時その途端に、川上から流れて来る水は壁のように立ちあがり、皆は干上がった川床を無事に渡る事が出来ました。

【記念の十二の石】

その神の素晴らしい助けを記念する為に、ヨシュアはこのように命令しました。「ヨルダン川の真ん中の、あなたたちの神、主の箱の前に行き、イスラエルの人々の部族の数に合わせて、石を一つずつ肩に担いで来い。それはなたたちの間で印となるであろう。後日、あなたたちの子供が、これらの石は何を意味するのですかと尋ねる時には、こう答えなさい。『ヨルダン川の流れは、主の契約の箱の前でせき止められた。箱はヨルダン川を渡る時、ヨルダン川の流れはせき止められた。これらの石は、永久にイスラエルの人々の記念となる。』」とヨシュアが言いました。（ヨシュア記４：５−７）

【カナンの敵】

イスラエルの民はカナンに入りましたけれどもその地の住民は彼らを歓迎しませんでした。逆に彼らは敵と思って、戦おうとしたのです。ですから、イスラエルの民は色んな危機に正面する度に、神の力と助けを覚えなければなりませんでした。そうしないと、敵を恐れて勇気を失ってしまい、カナンを自分のものにする事を諦めます。その故に、彼等の為の神の奇跡的しるしを忘れないように、ヨルダン川の川床から取った石でモンユメントを立てました。イスラエルの人々はその記念を見る度に彼等の神の力と救いを思い起こし、神に頼りながらカナンを自分達の物とします。そして、そのモンユメントはその世代の為だけではありませんでした。その子孫もそれを見て、先祖の為に神が現された力を覚えて、神に信じ従う事が出来ました。

【神の御臨在の経験】

愛する兄弟姉妹、考えて見て下さい。自分の生涯を振り返って見ると、どのような記念すべき思い出がありますか。神の力と愛を特別に経験した思い出がありますか。皆さんもきっと数え切れない神の御臨在の経験を覚えておられると思います。その時、その場に於いて神が私と共にいたのですね。

【カークパトリック先生】

実は小学校に入ったばかりの事ですが、今も鮮明に覚えています。その先生の名前も忘れられません。私が小学一年生の時でしたが、字がなかなか覚えられませんでした。いくら頑張っても字と字の区別が出来ず、読み書きは他の生徒と比べ、結構遅かったのです。もちろん幼い私にとってそれは大変恥ずかしかったのです。皆はすらすら読めましたが、私だけが出来なくて、自分がバカだと思いました。しかし、一年生の担任、カークパトリック先生は私を信じて、一生懸命に教えてくれました。先生は更に私の為に色んな事を調べて、私がその障害から乗り越えられるように特別なテクニックを用いて、毎日学校が終わってから練習させました。その結果、二年生になった時、私もよく本が読めるようになりました。

今、振りかえって見ると、間違えなく、神はカークパトリック先生を用いて私を見守り助けて下さいました。もしその早い時期、障害が治らなかったら、私の教育は益々と難しくなったはずであります。

その経験を思い起こすと、変わらぬ神の恵みを新たに信じ、現在と将来に主の助けと愛を確信します。ですから将来の為の心配があまりないのです。神は過去と同じように将来にも共にいて下さるからです。

【神の愛と力の記念碑】

皆さんも是非神の恵みと助けの経験を思い起こして下さい。そして、その事を忘れないようにメモに取っておいて見て下さい。そのメモはヨシュアが立てたモンユメントのように、神の愛と力の記念になります。そして、現在と将来の為に恐れが生じる時、その経験を思い起こして新たに神に感謝して下さい。そうすると私達は神から勇気と平安を頂き、大きな希望と力を得、前進する事が出来ます。私達の救い主イエス・キリストは、昨日も今日も、また永遠に変わる事の無いお方ですから、その愛と助けを信じ頼る事が出来ます。常に変わりつつあるこの世に住む私達はそのような確かな信仰を持って日々を歩みたいのです。（おわり）