私たちに語って下さる神 ウイリアム・モーア

ヘブライ人への手紙1章1−4

【聖書に於ける神とは?】
皆さん、「聖書に於ける神はどのような神なのか」と聞かれると、どう答えられますか。色々な答えが可能ですけれども、先ず「我々の神は永遠の万物の造り主、全能の唯一の神である」と言ったら正しいでしょう。つまり、神は宇宙の中の全ての物、私達人間を含めて、無から創造されました。そして、神の存在は始めもなければ終わりもありません、永遠の神です。更に、我々の神は唯一の神です。すなわち、この神以外に実際に存在する神がいません。また、真の神は全能の神ですから、御自分の力と知恵が限られていません。しかも、神は正義の神なので、不正と全ての罪を憎みます。聖書に於ける神はどのような神なのかと説明すると、以上のような事を言ったら良いと思います。しかし、真の神について一番大事な事はまだ言っていません。それは我々の神は御自分が造った被造物を愛します。

「神は愛である」

と聖書に記されています。(ヨハネの手紙一4:8)そして、その愛の対象は私達です。神は御自分にかたどって造られた私達人間を特に愛します。

【人を創造された目的】
実は、神が人間を創造されたのは特別な理由があったのです。それは私達との交わりを持つ為です。つまり、神は、御自分を人間に現す事によって、私達を祝福し愛する熱望を示しているのです。そして、私達を愛するから、私達に語って下さいます。

考えて見て下さい。もし自分が誰かを本当愛するならば、その人を無視出来ますか。ただ遠くから離れてその人を眺めるだけですか。もちろんそうではありません。人を本当に愛するならば、その人に関心を持って相手にする必要があります。つまり、コミュニケーションと交わりがいります。自分の愛をその人に表します。愛する神は同じように御自分の愛を現す為、私達に色々な方法で語って下さいます。我々の神は沈黙する神ではないのです。私達を愛するほどに、御自分を現します。

【宇宙生命体以上のすばらしいご存在】
現在、多くの科学者は地球外での理解力のある生命(生物)を探しています。電波望遠鏡を遠い銀河系に焦点を集め、宇宙人の話を聞こうとします。あるいは、人工衛星を宇宙空間に打ち上げ、地球外の生物の証拠を探します。実は、今までその方法で何一つ証拠は見つかっていません。

しかし、宇宙人の発見よりも遥かにもっと素晴らしい事がもうすでに起こりました。天地万物の創造主、永遠の神こそが私達人間に語って下さいました。そして、一度だけではなく、神は何回も、様々な方法で御自分を啓示して来ました。私達は唯一の全能の神を知る事が出来ます。その上、神は御自分の愛と恵みと救いも経験させて下さいます。私達人間には、真の神を知る事と、その豊かな祝福と愛を味わう事以上の喜びと特権はないと思います。

【まず神は被造物をとうして私達に語られる】
そうしたら、神はどのように私達に語られますか。そして、そのメッセージは何でしょうか。初めに、御自分が造られたものを通して神は私達に語って下さいます。ローマの信徒への手紙にこの御言葉が記されています。

「不義によって真理の働きを妨げる人間のあらゆる不信心と不義に対して、神は天から怒りを現されます。なぜなら、神について知りうる事柄は、彼らにも明らかだからです。神がそれを示されたのです。世界が造られた時から、目に見えない神の性質、つまり神の永遠の力と神性は被造物に現れており、これを通して神を知る事が出来ます。」(ローマの信徒への手紙1章18−20)

この世は力強い全能の造り主を示します。つまり、天地万物はただ偶然になった訳ではありません。誰かが宇宙とその中にいるものをデザインして、そして、お造りになりました。例えば、人間の目は約六百万程の個別の色を区別出来ます。そして、その様々な色が分かるにはとても複雑な作用があります。ですから、人間の視力は造られたものです。偶然になったとは信じ難いです。また、人間の遺伝情報をもつDNAは決まった順番で形成されています。世界一マイクロソフト・ソフトウェア会社の会長であるビル・ゲイツは人間のDNAについてこのように言いました。「我々のDNAはコンピューダープログラムのようです。しかし、DNAは私達が作れるソフトウェアよりも遥かにもっと複雑です。」当たり前の事ですが、全てのコンピュータープログラムはプログラム製作者があります。ただ偶然になった訳ではありません。同様に私達のDNAも製作者があります。そして、その作成者こそは全能の神です。

神の作品であるこの世を通して神は御自分について私達に何を語りますか。御自分の計り知れない知恵と知識、そして御自分の素晴らしい創造的力をはっきりと語って下さいます。また、私達とこの世をこんなに大事に、大事に造ったのは神の愛を示します。やはり、人間を御自分にかたどって創造されたのは愛の現れではないかと思います。さらに、私達の為にこの美しい世界をお造りになった事によって、神は御自分の愛を語ります。この世は何よりも私達に神の愛のプレゼントになります。使徒パウロが書いた通りに、

「世界が造られた時から、目に見えない神の性質、つまり神の永遠の力と神性は被造物に現れており、これを通して神を知る事が出来ます。」

【次に神は預言者たちを通して語られた】
御自分が造ったこの世を通して神は私達に大事な事を語って下さいます。しかし、その方法だけではなく、もっと人格的な手段を通して人間に語られました。今日与えられた御言葉、ヘブライ人への手紙1章1にこのお言葉が記されています。

「神は、かつて預言者達によって、多くのかたちで、また多くのしかたで先祖に語られた」

と書いてあります。旧約聖書の時代、神は預言者を選んで、その預言者を通して大事な事を伝えたのです。例えば神はモーセに十戒を啓示された事によって、御自分の最も重要な戒めを私達に語りました。更にイザヤと言う預言者を用いて御子イエス・キリストの降臨を約束されたのです。また預言者エレミヤを通して神は罪に陥った御自分の民を警告して下さいました。預言者を通して神が語った多くの言葉は旧約聖書に記されています。天地万物はどのようになった事か、罪がどうしてこの世に入った事か、神はどのような神なのか、私達人間はどういうふうに生きるべきか、などのような重要な事が神によって聖書に答えられています。だからこそ、聖書は「御言葉(みことば)」、すなわち、神の御言葉と言われています。神が預言者達に重要な事を語って、そして預言者達が神から聞いた事を忠実に私達に伝えたのです。

去年、新しい車を購入した時、何百ページの利用説明書がついていました。かなり詳しい説明書なので、その準備が大変だと思います。トヨタさんはどうして時間とお金を沢山掛けて厚い説明書をわざわざ制作したのでしょうか。やはり、お客さんが車を正しく安全に運転出来る為に、また、車の全ての機能が活用出来るように説明書を準備して下さいました。同じように私達の人生も利用説明書がついています。それは聖書なのです。御言葉を通して神は人生の目的と正しい使い方や、どのように主の祝福を受ける事や、永遠の命に至る道などを教えて下さいます。テモテへの第二の手紙に記された通りに、

「聖書は全て神の霊の導きのもとに書かれ、人を教え、戒め、誤りを正し、義に導く訓練をするうえに有益です。こうして、神に使える人は、どのような善い業をも行う事が出来るように、十分に整(ととの)えられるのです。」(3:16−17)

ですから、神は御自分がお造りになった天地万物だけではなく、預言者達に伝えた御言葉を通しても私達にはっきりと語って下さいます。

【終わりの時代、神は御子によって私達に語られた】
しかし、神はもう一つの方法で私達に語って下さいます。そして、今日の御言葉によりますと、その方法は一番詳しいです。もう一度今日の朗読を聞いて下さい。

「神は、かつて預言者達によって、多くのかたちで、また多くのしかたで先祖に語られたが、この終わりの時代には、御子によって私達に語られました。」

神は御子、すなわちイエス・キリストによって私達に語って下さいます。もし預言者達を通して私達に語った言葉が大事であるならば、御子によって語ったのは尚更重要ではないかと思います。私達に直接に語る為、父なる神は子なる神イエス・キリストをこの世に遣わして下さいました。そして、子なる神、主イエスは神でありながら、人間になり、この世で私達と共に暮らして下さいました。ですから、イエス・キリストはただ神の使者か仲介者ではありません。イエス・キリストこそは永遠の神なのです。今日の御言葉に主イエスの資格がはっきりと記されています。2節の後半から見ましょう。

「神は、この御子を万物の相続者と定め、また、御子によって世界を創造されました。御子は、神の栄光の反映であり、神の本質の完全な現れであって、万物を御自分の力ある言葉によって支えておられますが、人々の罪を清められた後、天の高い所におられる大いなる方の右の座にお着きになりました。御子は、天使達より優れた者となられました。天使達の名より優れた名を受け継がれたからです」

と書いてあります。ですから、イエス・キリストは直接に神の性格を現す資格があります。そして、御自分が言われた事こそは神の声となります。イエス・キリストは私達の世に降って、神として私達に語られました。神の愛と憐れみをはっきりと見せて下さいました。更に、主イエスの贖いの死を通して私達は救われ、神の家族に加えられています。

【神の声に聴こう】
皆さん、神は御自分の大きな、大きな愛の故に私達一人一人に語って下さいます。私達の住むこの素晴らしい世界を通しても神が語り、そして、預言者と聖書を通しても御自分の事を私達に啓示して下さいます。更に、もっと重要なことは子なる神イエス・キリストがこの世にいらして、神は直接に私達に語って下さいました。ですから、誰でも真の神を知る事が出来ます。更に御自分の愛を受ける事が出来ます。また、御自分の永遠の救いを経験出来ます。間違いなく、神は今も私達に語っておられます。愛する兄弟姉妹、私達はその声に聞こうとしていますか。

2006年06月18日 | カテゴリー: テモテへの手紙二 , ヘブライ人への手紙 , ローマの信徒への手紙 , 新約聖書

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