この歴史的出来事を定めた父なる神は天国から全てを見ました。馬小屋での御子の誕生と、イエスが布にくるまっている事と、飼い葉桶に寝ている事も見ました。そして、御子イエスが無事に産まれると、神は何をなさいましたか。やはり人間のお父さんと同じように、誇りと喜びを持ってその誕生を発表されました。

私は今も子供のジョンとポールとセーラの生まれを生々しく良く覚えています。身ごもっている間の期待、お産の時の心配と興奮、そして元気な赤ちゃんが無事に産まれると、感謝と喜びの気持ちで一杯でした。それからただちに、新しい家族の一人が出来た事を両親と兄弟、友人と教会の人々に電話で伝えたのです。誇りと喜びを持って、その良い知らせを分ち合ったのです。

イエス・キリスト御降誕の際、父なる神も御子の誕生を発表しました。そして、その発表はどう言う形を取りましたか。電話でしたか。手紙でしたか。いいえ、父なる神は天使と天の大軍をこの世に使わして、御子の誕生を発表しました。眩しい光と美しい賛美の歌を持って、目覚ましくその出来事を告げ知らせました。実に、イエス・キリストの御誕生は先例のない歴史の中の一番素晴らしい出来事ですから、天国は黙ってはいられませんでした。唯一の神がこの世に降り、人間の肉を取ったのは全く初めてでした。そして、その生まれた子供は大人になると、人間に対する神の大きな愛をはっきりと現し、その豊な、豊かな恵みと救いを人類に授ける訳ですから、イエスの誕生は天にとって、とてもエクサイテイングな出来事でした。

【良き知らせは誰に】
そして、神の独り子が天から降って人間として、この世に生まれると言う素晴らしいニュースは誰に届けましたか。ローマにいる皇帝や、宗教の指導者達や、有名な人物や、大金持ちや、偉い学者や、トップの政治家などのような社会的に身分の高い者に天使が遣わされたら十分に分ります。しかし、ルカによる福音書によりますと、その大事なニュースは野宿をしながら夜通し羊の群の番をしていた羊飼い達に告げられたと記されています。

驚いた事に神の御子の誕生の発表は有力者に来ていませんでした。ベツレヘムの市長と、エルサレムの神殿にいる祭司長と、ローマの皇帝さえも知らせられていませんでした。実は、歴史上の一番重要な発表はベツレヘムの郊外にいる羊飼い達に届けられました。

皆さん、どうしてこの素晴らしいニュースは羊の群れの番をしていた羊飼いへ来ましたか。その連中の代わりにもう少し偉い方が受けたら良かったではないでしょうか。重要なニュースは当然、先ず重要な人に届けられるはずです。羊飼いにはもったいない神の発表です。いったいどうしてその卑しい人に来たのでしょうか。

【羊飼い】
日本では「３Ｋ仕事」と言う表現がありますね。それは汚い、きつい、危険な仕事と言われます。つまり、出来るだけ避けたい、他の人にやらせたい仕事です。実は、羊飼いの職業は当時の社会では、３Ｋの仕事でした。羊飼いは長時間野外で暮しましたので、あまり清潔な生活ではありませんでした。また、一日中２４時間羊の群の面倒を見るのは非常に力が必要な仕事です。更に、羊を熊やライオンや泥棒などから守る為に色々な危険がある大変な職業でした。

その上、羊飼い達は良い牧場と水を探す為、常に群と共に移動しましたので、ホームライフがあまりありませんでした。放浪者程ではないけれども、そう言う目で見られました。

また、羊飼い達はいつも流浪したので、イスラエルの宗教的規則をちゃんと遵守（じゅんしゅ）する事が出来ませんでした。ですから、ユダヤ人のエリートから見ると羊飼いは不敬虔な、身分の低い人です。

皆さん、イエス・キリスト誕生の最初の発表が羊飼いに来たのはただの偶然ではありませんでした。それは唯一の全能の神の御計画でした。天使が羊飼いを探して、わざわざ先ずその人達に神の素晴らしいニュースを伝えたのです。そして、そのニュースの内容をもう一度聞いて下さい。今日の個所見て下さい。ルカによる福音書２章１０節以下

「恐れるな。私は、民全体に与えられる大きな喜びを告げる。今日ダビデの町で、あなたがたの為に救い主がお生まれになった。この方こそ主メシアである。あなたがたは、布にくるまって飼い葉桶の中に寝ている乳飲み子を見つけるであろう。それがあなたがたへの印である。」

発表が先ず羊飼いに来た理由は、天使が言ったように、そのニュースは、

「民全体に与えられる大きな喜び」

でした。もしその発表が初めに貴族に来たら、多分発表は限られた貴族の為だけだと思われたでしょう。しかし、神はそのニュースを地の果てまで伝えるように先ずその社会的に身分の低い人にイエス・キリスト降誕の素晴らしいニュースを発表なさいました。

万物の造り主である神は私達人間のように人を判断する訳ではありません。御自分が創造された全人類を皆等しく愛し、全く差別をしません。実は、神の目から見ると学歴や国や財産や階級や職業などは全く無関係なのです。神はその３Kの仕事をした田舎者の羊飼いを大事にして、都の貴族と同じく愛し、福音を伝えたかったのです。その事をはっきりと教える為に、先ず身分の低い羊飼い達にその最も重要なニュースを発表しました。

【私にも伝えられる良い知らせ】
イエス・キリストの誕生の喜びはすべての人の為です。

「民全体に与えられる大きな喜び」

になります。社会的に人がいくら偉くても、いくら低くても、天使の良い知らせはその人一人一人の為です。他の言葉で言えば、神は天使の素晴らしいメセージを私にも伝えるのです。

しかし、その発表は２００５前の出来事です。どうして現在の私達にも良いニュースになるのでしょうか。それは万物の造り主は、私達人間の味方である事の証明になるからです。確かに、神は私達とこの世を素晴らしくお造りになりました。地球は宇宙の中で非常にユニークな所です。人間は本当に良くお造りになった被造物です。しかも、その上、神は私達を忘れませんでした。却って、私達を心から愛し、その愛の証明として、ダビデの町で私達の為に救い主を遣わして下さいました。

【主イエスはわたしたちの愛する味方】
そして、その救い主はただの人間になっただけではありません、同時に神の独り子イエス・キリストです。聖書には

「神はその独り子をお与えになった程に、世を愛された。独り子を信じる者が一人も滅びないで、永遠の命を得るためである」（ヨハネによる福音書３章１６節）

と記されています。実に、唯一の全知全能の神は私達の造り主だけではなく、私達を愛する味方にもなるのです。そして、その愛はただ口先ばかりではありません。その愛を実行する為、犠牲を払って、御自分にとって最も貴重な者を私達に遣わして下さいました。つまり、イエス・キリストを通して愛する神はこの世にいらして、私達と共に暮らしました。これよりもっと素晴らしいニュースはこの世にあるのでしょうか。

羊飼い達は天使からその重要なニュースを聞くと、どうしましたか。このように話合いました。

「さあ、ベツレヘムへ行こう。主が知らせて下さったその出来事を見ようではないか。」

彼等はすぐにベツレヘムへ行くと、知らせた通りに「布にくるまって飼い葉桶の中に寝ている乳飲み子」を見付ました。その印は本当だったのです。羊飼いは喜びを持って、自分たちの経験を人々に伝えて、神を賛美しながら帰りました。

【イエス・キリストの御業】
もちろんそれは終わりではありませんでした。イエス・キリストは神の御子として私達と共にこの世を歩んで、神の真理を伝えて下さいました。その上、私達の罪を贖う為、神の御計画通りにイエスは十字架で死なれ、三日目に神の力によって蘇られました。その結果、主イエスを心から信じ従う者は罪の赦しを受け、永遠の救いを頂きます。

【私と全人類のための良き知らせ】
間違いなく、昔々、天使が語ったニュースは私の為と人間全体の為の素晴らしいニュースです。この宇宙、また世界の造り主は私達を忘れていません。却って、神は私達の愛する味方、私達の主なのです。キリストを通してその唯一の神を知る事が出来、神の毎日の助けと交わりを受け、信仰によって永遠に主の素晴らしい恵みを頂きます。

今日こそはクリスマスです。ぜひ、今年のクリスマスにイエス・キリストの御降誕の素晴らしいニュースは私の為のニュースである事を悟り、主を心から信じ、その全ての恵みを経験出来るように祈ります。

【あるロシアのこども】
クリスマスが近づいた日に、あるキリスト者はロシアで子供の家に招かれました。旧ソ連崩壊の直後ですので、子供達は聖書に於けるクリスマス・ストーリを聞いた事が全然ありませんでした。キリスト者はマリアとヨセフのベツレヘムまでの旅を語って、そして宿屋には彼等の泊る場所がなかった為、馬小屋でマリアがイエスを産んで、飼い葉桶に寝かした事を全部話しました。初耳ですから、子供達はその聖書のお話を一生懸命に聞きました。

ストーリが済んでから子供達に厚紙とフェルトと布切れを渡して、赤ちゃんイエスと飼い葉桶のシーンを作るように言ました。子供達は自分の想像力を生かして、楽しんで色んな飼い葉桶のモデルを工作しました。

六歳位のミシャと言う男の子が珍しい飼い葉桶のシーンを作りました。一人の赤ちゃんの代わりに、二人の赤ちゃんを自分の飼い葉桶に寝かしたのです。「どうして二人か聞かせて」と尋ねました。ミシャはこのようにストーリを語り始めました。「マリアがイエスを飼い葉桶に寝かせた時、イエスは私を見て、『ミシャ、あなたは泊る所がありますか』と聞きました。そして、私は、『いいえ、ママとパパがいないから家がありません。』するとイエスは一緒に暮らすようにと言ってくれたが、僕はイエスに上げるプレゼントがなかったから、出来なかった。しかし、本当はイエスと住みたかったので、考えて、考えて、やっとプレゼントを考え出した。そして、イエスにこのように聞いた。『もし、あなたの体を暖めて上げる事で、プレゼントになるなら。』するとイエスは、『もちろん、そうしてくれたら、一番良いプレゼントになるよ』と答えた。そして、僕は赤ちゃんイエスと一緒に飼い葉桶に入ると、イエスは僕を見て、言ってくれた。『あなたはいつまでも私と共にいられるよ。』」

幼いミシャは自分のストーリが終わると目から涙が流れ始め、肩を震わしながら、大声で泣き出した。幼い孤児ミシャはこれからは決して見捨てられる事のない、いつもどんな時でも共にいて下さる永遠なお方に出会いました。
（おわり）