【四本のろうそく】
外側の赤いろうそくは、一本、一本も特別な意味があります。それは主イエスの御降誕から来る、私達が頂いた賜物なのです。今日点灯したろうそくは希望を表します。来週のろうそくは平和を意味します。そして、その次のろうそくは喜びと、その次は愛を表します。今年のアドベントにその四つの賜物を毎週一つづつ一緒に覚えながら、クリスマスを迎える準備をして行きたいのです。アドベント・リースを用いて私達は今年もクリスマスに、主イエス・キリストの御誕生を記念し、共にその賜物、希望と平和と喜びと愛をも新に経験したいと思います。

【預言者イザヤの預言】
今朝は希望のろうそくを点しましたので、私達のクリスマスの希望について一緒に考えて見たいと思います。先程読まして頂いた聖句はイエス・キリストの御降誕の約７００年前にイザヤと言うイスラエルの預言者が神の御子の降臨を予告しました。イザヤは神によって霊感を受け、素晴らしい預言を頂きました。人々に最高のニュースを告げたので、何よりも希望のメセージになりました。イザヤ書９章１節以降にその預言が記されています。

「闇の中を歩む民は、大いなる光を見、死の陰の地に住む者の上に、光が輝いた。あなたは深い喜びと大きな楽しみをお与えになり、人々は御前に喜び祝った。刈り入れの時を祝うように、戦利品を分け合って楽しむように。彼等の負う軛、肩を打つ杖、虐げる者の鞭をあなたはミデイアンの日のように折って下さった。地を踏み鳴らした兵士の靴、血にまみれた軍服はことごとく火に投げ込まれ、焼き尽くされた」と書いてあります。（イザヤ書９章１-４）

実は、この希望の預言を受けた時、神の民イスラエルはあんまり良い状態ではありませんでした。人々はイスラエルをエジプトの奴隷の家から救い出した唯一の真の神を忘れ、偶像礼拝に陥っていました。国王ソロモンが立てたエルサレムの神殿への礼拝が停止され、霊的にどん底の時期でした。イスラエルの罪に対してイザヤが神から厳しいメッセージを受けました。それは、神は、イスラエルを立ち直される為にアッシリア軍を用いて懲らしめる日が間もなく来ると言う予告でした。敵はイスラエルを征服して、その住民を奴隷としてアッシリアまで移動させる辛い罰になると言うことです。しかし、イスラエルが愛する神を忘れても、神は御自分の民を決して忘れませんでした。主は続けてイスラエルを愛し、困難の中でも支え、将来に喜びと素晴らしい救いの日をもたらして下さると約束しました。

預言者イザヤはその素晴らしい希望の日を目に見えるように語りました。闇と死の陰の地から解放され、光へと移らされ、喜びと楽しみ、また祝いの日になります。

「刈り入れの時を祝うように、戦利品を分け合って楽しむよう」

な日になります。敵の圧制から解放され、大きな勝利と平和の日になります。

【一人のみどり児】
そして、神はどう言うふうにその祝うべき日をもたらすのでしょうか。５節を見ますと驚きます。

「一人のみどり児が私達の為に生まれた。一人の男の子が私達に与えられた」

と記されています。暗闇と圧制の上の勝利は武力や暴動などから来るのではなく、無邪気な赤ちゃんの生まれによるものです。しかし、その赤ちゃんは普通の者ではありません。特別な資格を持っています。５節の後半を見ると

「権威が彼の肩にある」

とイザヤが預言しました。さらに、

「その名は、『驚くべき指導者、力ある神、永遠の父、平和の君』と唱えられる」

と記されています。そのそれぞれの名前を聞くと、一つの事が確実に分かって来ます。その預言された方こそは神御自身です。

「驚くべき指導者、力ある神、永遠の父、平和の君」

つまり、神御自身が私達人間の肉体を取って、

「ひとりのみどりご」

の姿でこの世にいらして、救って下さいます。

長年の苦しみの中で神の民はその預言された希望を抱き続けました。敵の手で酷い目に合っても、その希望を諦めず、神がもたらして下さる救いの日を切に待ち望んでいました。しかし、アッシリアの圧制から解放されても、すぐにまたローマ帝国の支配を受けてしまいました。残酷なローマ軍はイスラエルを占領して、厳しい税金の為に住民は貧困に陥ってしまいました。人々は一度ローマに対して反乱を起こしましたが、それは失敗に終わり、占領軍の政策はよりもっと厳しくなるばかりでした。

【イスラエルの希望】
この辛い歴史の中で生きながら、神の民は預言者イザヤを通して与えられた主の約束を信じ、希望を失わず、何よりもこの世にいらっしゃる救い主に大きな期待をかけていました。

「一人のみどり児が私達の為に生まれた。一人の男の子が私達に与えられた。権威が彼の肩にある。その名は、『驚くべき指導者、力ある神、永遠の父、平和の君』と唱えられる。ダビデの王座とその王国に権威は増し、平和は耐える事がない。王国は正義と恵みの業によって今もそしてとこしえに、立てられ支えられる。万軍の主の熱意がこれを成し遂げる。」

神の民はこの素晴しい約束に全ての希望をかけたのです。実は、この大きな希望がなければ、イスラエルの民族は自らの悲劇的歴史に負けて、真の神礼拝を遂には諦めた事でしょう。そして、数え切れない程、大くの他の民と同じように、一つの民族として歴史から忘れられ消えてしまった事でしょう。実は、人間誰でも希望が必要なのです。現在の事より、将来はもっと良い状態になると言う希望がなければ、辛いものなのです。特に現在の状況が厳しかったり、将来の為の望みを全く持ってないと、失望と鬱に陥る傾向があります。しかし、イスラエルは全能の神の約束を信じ、その希望は暗い時に、なくてもならない大きな支えと慰めになりました。

【イエスの来臨（初臨）】
実は、約２０００年前にイザヤの預言がやっと成就されたのです。７００年の長い間、待ち望んだ救い主がようやく神によってこの世に遣わされました。希望された「ひとりのみどりご」、イエス・キリストが天から下って、謙遜をもって私達と共に宿って下さいました。主イエスは神の愛と憐れみを現して、神として、力強い徴（しるし）を行いました。そして、愛のもっとも素晴らしい表れである、罪の全くない平和の君なる主イエスは私達の罪を贖って、人間と神との間の平和を回復させて下さいました。イエス・キリストを救い主として心から信じる者は神の敵であったのに、神の尊い子供になって、永遠に主の子として生きる事が出来ます。真に、闇の中を歩む私達は、大いなる光を見、死の陰の地に住む私達の上に、光が輝きました。

【イエスの再臨】
イスラエルが待ち望んだ救い主はこの世にいらっして、その希望が本当に実現しました。マリヤが生んだひとりのみどりごイエス・キリストこそは約束された

「驚くべき指導者、力ある神、永遠の父、平和の君」でした。だからこそ私達は救い主を待っていません。もうすでにその初めのクリスマスに私達の救い主は肉体を取って、この世いらして下さったからです。しかし、私達は大きな希望を持ってイエス・キリストが約束した御自身の再臨を待っています。その時、私達は新しい天と新しい地を見る事が出来、この神の声を聞くでしょう。「見よ、神の幕屋が人の間にあって、神が人と共に住み、人は神の民となる。神は自ら人と共にいて、その神となり、彼らの目の涙をことごとくぬぐい取って下さる。もはや死はなく、もはや悲しみも嘆きも労苦もない。最初のものは過ぎ去ったからである。」（ヨハネの黙示録２１章３--４）

【私たちの希望】

そして、もし私達は主の再臨の前に天に召されたら、主イエスの義の衣を着て、罪の全くない者のように神の御前に出る事が出来、永遠に神の子供として天国の完全な喜びを味わう事が出来ます。それは私達の確かな希望です。主イエスはひとりのみどりごとしてその最初のクリスマスに天から下って、私達の所にいらっしゃいましたので、それは私達のクリスマスの希望になります。どうか私達は今年のクリスマスに、その比べられない程素晴しい希望を新に経験出来ますように祈りましょう。

（おわり）