2023年05月07日「聖書から神を知る」

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聖書から神を知る

日付
説教
木村恭子 牧師
聖書
使徒言行録 17章1節~15節

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聖句のアイコン聖書の言葉

パウロとシラスは、アンフィポリスとアポロニアを経てテサロニケに着いた。ここにはユダヤ人の会堂があった。
パウロはいつものように、ユダヤ人の集まっているところへ入って行き、三回の安息日にわたって聖書を引用して論じ合い、「メシアは必ず苦しみを受け、死者の中から復活することになっていた」と、また、「このメシアはわたしが伝えているイエスである」と説明し、論証した。それで、彼らのうちのある者は信じて、パウロとシラスに従った。神をあがめる多くのギリシア人や、かなりの数のおもだった婦人たちも同じように二人に従った。
しかし、ユダヤ人たちはそれをねたみ、広場にたむろしているならず者を何人か抱き込んで暴動を起こし、町を混乱させ、ヤソンの家を襲い、二人を民衆の前に引き出そうとして捜した。しかし、二人が見つからなかったので、ヤソンと数人の兄弟を町の当局者たちのところへ引き立てて行って、大声で言った。「世界中を騒がせてきた連中が、ここにも来ています。ヤソンは彼らをかくまっているのです。彼らは皇帝の勅令に背いて、『イエスという別の王がいる』と言っています。」
これを聞いた群衆と町の当局者たちは動揺した。当局者たちは、ヤソンやほかの者たちから保証金を取ったうえで彼らを釈放した。

兄弟たちは、直ちに夜のうちにパウロとシラスをベレアへ送り出した。二人はそこへ到着すると、ユダヤ人の会堂に入った。
ここのユダヤ人たちは、テサロニケのユダヤ人よりも素直で、非常に熱心に御言葉を受け入れ、そのとおりかどうか、毎日、聖書を調べていた。そこで、そのうちの多くの人が信じ、ギリシア人の上流婦人や男たちも少なからず信仰に入った。ところが、テサロニケのユダヤ人たちは、ベレアでもパウロによって神の言葉が宣べ伝えられていることを知ると、そこへも押しかけて来て、群衆を扇動し騒がせた。それで、兄弟たちは直ちにパウロを送り出して、海岸の地方へ行かせたが、シラスとテモテはベレアに残った。
パウロに付き添った人々は、彼をアテネまで連れて行った。そしてできるだけ早く来るようにという、シラスとテモテに対するパウロの指示を受けて帰って行った。日本聖書協会『聖書 新共同訳』
使徒言行録 17章1節~15節

原稿のアイコンメッセージ

<説教要約> 使徒言行録17章1-15節「 聖書から神を知る 」 

今日から使徒言行録の17章に入ります。
17:1 パウロとシラスは、アンフィポリスとアポロニアを経てテサロニケに着いた。ここにはユダヤ人の会堂があった。
地図的には、フィリピからテサロニケまで150km程度ですが、ここはエグナティア街道という道があるのです。この道は、紀元前2世紀のローマ帝国時代に建設され、道幅は約6mあり、石や硬い砂で舗装されていたそうです。ですから、今までのアジア伝道に比べたら、比較的歩きやすかったかもしれませんね。
一行は、フィリピからエグナティア街道を通って、テサロニケに着きました。
テサロニケは、当時マケドニア州の都で、ギリシャ型の自由都市、異邦人の町でしたが、ユダヤ人会堂がありましたから、ユダヤ人も多く住んでいたことがわかります。
パウロは、ユダヤ人の会堂がある町では、まずそこで話をしましたので、テサロニケでもそうしています。
17章2節に、ユダヤ人の会堂で「三回の安息日にわたって聖書を引用して論じ合った」と記されていますが、テサロニケに3週間滞在したということではありません。パウロがユダヤ人会堂で話ができる安息日が3回あったということ。実際にはもっと長期に滞在し伝道したようです。

パウロは、旧約聖書を引用して、キリストの福音を語り、会堂にいる人々、主にユダヤ人たちと論じました。
ユダヤ人会堂で、パウロは旧約聖書を引用し、「メシアは必ず苦しみを受け、死者の中から復活することになっていた」ことを教え、その方こそが、今自分たちが伝えているイエスだ! と論証したのです。
その結果、
17:4 彼らのうちのある者は信じて、パウロとシラスに従った。神をあがめる多くのギリシア人や、かなりの数のおもだった婦人たちも同じように二人に従った。
ここは、少し注意して読む必要があります。
「彼らのうちのある者は信じて、パウロとシラスに従った。」これは、ユダヤ人のことです。パウロの話を聞いたユダヤ人の中で、「ある者」だけがパウロの論証を信じて、パウロとシラスに従ったのです。
一方で、「神をあがめる多くのギリシア人や、かなりの数のおもだった婦人たちも同じように二人に従った。」旧約聖書の神を信じるギリシャ人や、主だった婦人たち。地位ある婦人たちは、かなりの人数が二人に従ったのです。ここで「従った」とは、この後、ユダヤ人会堂の礼拝ではなく、パウロたちの集まり、後にテサロニケ教会となる集会に参加するようになった、ということです。これがユダヤ人たちのねたみを買うことになって、ユダヤ人たちは、ならず者を抱き込んで暴動をおこし、町を混乱させたのです。
そしてユダヤ人たちは、町の当局者、役人に訴えました。「世界中を騒がせてきた連中が、ここにも来ています。」と。ローマ皇帝に背いて「イエスという別の王がいる」と宣伝し、人々を先導し、世の中を騒がせている。これが最も有効な訴え方だということを、ユダヤ人たちは理解しているのです。
しかし、イエスは、すべての権威、権力の上におられる神ですから、ローマ皇帝と並んで「別の王」というのは誤りです。
そしてこの騒ぎのため、パウロたちはこれ以上テサロニケにとどまることができなくなり、町を後にします。

17:10 兄弟たちは、直ちに夜のうちにパウロとシラスをベレアへ送り出した。
そして一行はべレアでも、ユダヤ教会堂で伝道をしたのです。しかし、べレアのユダヤ人たちは、テサロニ
ケのユダヤ人たちとは違いました。

17:11 ここのユダヤ人たちは、テサロニケのユダヤ人よりも素直で、非常に熱心に御言葉を受け入れ、そのとおりかどうか、毎日、聖書を調べていた。
ベレアのユダヤ人たちは、熱心にパウロたちの話を聞き、そして聖書を調べたのです。といっても聖書が手元にあるわけではありませんから、毎日ユダヤ教会堂へ行って、聖書を開いて調べ、又パウロたちの話を聞いたのです。
御言葉を聞く、メッセージを聞く。しかしそれで終わらないで、自分でも聖書を読んで考えたのです。
その結果、12節。
17:12 そこで、そのうちの多くの人が信じ、ギリシア人の上流婦人や男たちも少なからず信仰に入った。
「そのうちの多くの人」とは、ユダヤ人のうちの多くの人ということ。
テサロニケでは、ユダヤ人の信者は少なかったのですが、ベレヤのユダヤ人たちは、素直にパウロたちの話を聞き、同時に自分でも聖書を調べ、考えることで、信仰へと導かれたのです。ベレヤでは、ユダヤ人クリスチャンがたくさん誕生したのです。

しかしこの後、テサロニケからユダヤ人が押しかけてきて、ここでも群衆を扇動し騒ぎを起こしたのです。それで、まずパウロをアテネまで送り届けました。テサロニケのユダヤ人たちは、本当にしつこいですねえ。

今日の箇所でまず覚えたいことは、べレアのユダヤ人たちの態度です。あるいは、テサロニケのユダヤ人とベレヤのユダヤ人の違い、と言ってもいいでしょう。
ベレヤのユダヤ人たちは、まずパウロが語られるメッセージを素直に聞きました。素直に聞く!が大切です。
私たちは、人の話を聞くとき、自分が生きてきた背景、学んできたこと、常識などを前提に聞くものです。それらを取っ払って、人の話を素直に聞くことは、なかなか難しい。
しかし、最初から、そんなことあるはずがない!と決めつけたら、何も心に入らないんですね。
もしかしたらそういうことだってあるかもしれない。自分が知らないこと、自分の常識でははかれないことが、この世にはあるものだ! そういう思いで聞くときに、メッセージが理解できるし、信じられるのです。
心を開いて聞く、ということが大事なのですね。でも、実際にはそれが難しいのです。
ですからそこに聖霊の働き、助けがあるのです。リディアのことを思い出してください。
16:14ティアティラ市出身の紫布を商う人で、神をあがめるリディアという婦人も話を聞いていたが、主が彼女の心を開かれたので、彼女はパウロの話を注意深く聞いた。

もう一つ大事なことは、話を聞いたうえで、自分でも聖書を読んで、調べて考えること。これがイエス・キリストを信じるうえでも、また信仰の歩みにとっても大切です。
聖書は、いろんな読み方があります。毎日読むことを大切にする人、量をたくさん読むことや聖書通読にこだわる人。いろんな読み方がありますよね。
ですけれど、一つの言葉、ある聖句に注目して、それが自分とどう関係するのか、どんな意味を持つのか考えることで、自分への神の御心、神のお考えを知ることができる。その言葉、その聖句が私の中に生きてくる、ということを覚えたいと思うのです。

今日の中心聖句は17種11節。
17:11 ここのユダヤ人たちは、テサロニケのユダヤ人よりも素直で、非常に熱心に御言葉を受け入れ、そのとおりかどうか、毎日、聖書を調べていた。

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