2023年02月12日「預言の成就(実現)」

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預言の成就(実現)

日付
説教
木村恭子 牧師
聖書
使徒言行録 15章12節~21節

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すると全会衆は静かになり、バルナバとパウロが、自分たちを通して神が異邦人の間で行われた、あらゆるしるしと不思議な業について話すのを聞いていた。
二人が話を終えると、ヤコブが答えた。「兄弟たち、聞いてください。
神が初めに心を配られ、異邦人の中から御自分の名を信じる民を選び出そうとなさった次第については、シメオンが話してくれました。
預言者たちの言ったことも、これと一致しています。次のように書いてあるとおりです。
『「その後、わたしは戻って来て、/倒れたダビデの幕屋を建て直す。その破壊された所を建て直して、/元どおりにする。
それは、人々のうちの残った者や、/わたしの名で呼ばれる異邦人が皆、/主を求めるようになるためだ。」昔から知らされていたことを行う主は、/こう言われる。』
それで、わたしはこう判断します。神に立ち帰る異邦人を悩ませてはなりません。ただ、偶像に供えて汚れた肉と、みだらな行いと、絞め殺した動物の肉と、血とを避けるようにと、手紙を書くべきです。モーセの律法は、昔からどの町にも告げ知らせる人がいて、安息日ごとに会堂で読まれているからです。」日本聖書協会『聖書 新共同訳』
使徒言行録 15章12節~21節

原稿のアイコンメッセージ

<説教要約> 使徒言行録15章12-21節「 預言の成就・実現 」 
今朝は先週からの続き、使徒言行録15章12節からです。
「キリストの救いに割礼は必要か」という大きな問題を突き付けられ、大論争となった時、初代教会は問題の解決のために、使徒と長老による会議を開きました。人々は、正式な教会の会議を通して神の御心を求めたのです。先週は会議の途中までを見ました。
復習もかねて、経過を追ってみましょう。
1.使徒15:2現場での対立・・・ エルサレム教会からやってきたある人々が「割礼を受けなければあなた方は救われない」と教えたことで、パウロ・バルナバとの間での激しい意見の対立と論争が生じた。
2.問題解決のため使者を送る・・・アンティオキア教会は、エルサレム教会へ正式に使者を送った。
3.使徒15:6 使徒と長老による正式な教会会議の開催・・・激しい議論 ⇒ ペトロが自分の体験したことを報告(コルネリウスのところへ神がペトロを遣わされたこと、異邦人たちが洗礼を受け、聖霊が降ったこと)、ペトロはこの話をして、最後にこう結んでいます。
 使徒15:11 わたしたちは、主イエスの恵みによって救われると信じているのですが、これは、彼ら異邦人も同じことです。」

ペトロの話を聞いて「会衆は静かになった」と12節の冒頭に記されています。今まで、それぞれが自分の見解を主張して論争していたのです。しかしペトロの話を聞いて、神がなさろうとしていることを求め始めました。「神の御心は、ご計画は、どこにあるのだろうか」と。人々は、ただ自分の意見を主張するのではなく、神の意志、神のご計画を問う、という姿勢へと導かれたのです。
それで、今度は落ち着いてバルナバとパウロの話を聞くことができました。
12節後半には「バルナバとパウロが、自分たちを通して神が異邦人の間で行われた、あらゆるしるしと不思議な業について話すのを聞いていた。」とあります。
ルカは短く記していますが、実際には、この話は第一回伝道旅行の報告になります。ですから、長い話になったはずです。しかし、この報告を通して、神が彼らの手を通してしるしと不思議な業を行い、恵みの言葉を異邦人にも証された、ということを知ったのです。

バルナバとパウロの報告が終わったところで語りだしたのはイエスの弟のヤコブです。
ヤコブは、イエスが福音宣教をしているときには、イエスの弟子ではありませんでした。しかしイエスの十字架と復活を通してイエスの救いを信じ、この時点ではエルサレム教会の中心メンバーになっていたのです。ヤコブは二人の話が終わるのを待って、                                                                                                                                                                                                                        
「兄弟たち、聞いてください。」と口火を切りました。
15:14 神が初めに心を配られ、異邦人の中から御自分の名を信じる民を選び出そうとなさった次第については、シメオンが話してくれました。 シメオンとはペトロのこと。
ヤコブは、ペトロの意見を指示し、神が異邦人も救おうとされていることが示されたのだ、と結論付けたのです。
そして、彼はこの結論が正しいことを、聖書から検証して示したのです。それが、15-18節です。
15:15 預言者たちの言ったことも、これと一致しています。次のように書いてあるとおりです。
15:16 『「その後、わたしは戻って来て、/倒れたダビデの幕屋を建て直す。その破壊された所を建て直して、/元どおりにする。
15:17 -18それは、人々のうちの残った者や、/わたしの名で呼ばれる異邦人が皆、/主を求めるようになるためだ。」昔から知らされていたことを行う主は、/こう言われる。』
これは、旧約聖書の小預言書、アモス書9:11‐12の引用です。

ヤコブはこの預言を、異邦人伝道と、異邦人の改宗、そして主の民に加えられること、と解釈しています。
そして、異邦人の改宗は、アモスが預言しているように、「大昔から」一貫して変らない神の御旨だと示したのです。ヤコブは、異邦人の悔い改めは、旧約聖書にある預言の成就、実現であると教えているのです。
神は今や、ユダヤ人だけでなく、異邦人も含む、壮大な救いのご計画を実現しつつあるのだと。

この会議の結論、まとめが19-21節です。
ヤコブは、ペトロの発言、パウロとバルナバの報告に加えて、旧約聖書の預言から結論をまとめました。
15:19 それで、わたしはこう判断します。神に立ち帰る異邦人を悩ませてはなりません。
ここは、イエスキリストを通して神を信じ、洗礼を受けた異邦人たちに割礼を要求して、彼らを悩ませてはならない、ということです。これがこの会議の結論として、最も重要なことです。

しかし、これに加えていくつかの注意事項が続いています。それが20、21節。
20節の「偶像に供えて汚れた肉と、みだらな行いと、絞め殺した動物の肉と、血とを避けるように」の具体的な意図が実はわかりにくいのです。「偶像に供えて汚れた肉」は、「偶像に供えて汚れた物」という翻訳もあり、偶像への供え物、具体的には「偶像礼拝」ということでしょう。「みだらな行い」は、十戒に「姦淫してはならない」とあるように、性的な不品行のこと。「絞め殺した動物の肉と、血」については、これも旧約律法に定められ、ユダヤ人たちが忌み嫌う事柄です。
これらを避ける、ということは、救いの条件ではありません。
しかし、これからユダヤ人と異邦人が、ともにキリスト教会で信仰の歩みをしていく中で、平和的に信仰生活をしていくための教えとでも言ったらいい、そういう事柄です。
ここで重要なことは、19節の言葉。「神に立ち帰る異邦人を悩ませてはなりません。」です。
イエス・キリストを通してまことの神を信じ、洗礼を受けた人は、ユダヤ人であれ、異邦人であれ、それで十分なのです。特に異邦人に割礼を要求して、彼らを悩ませてはならない。これが、この論争の結論です。

今日の箇所では、教会会議ついて、先週お話ししたことに加えて、もう一つ大切なことが教えられています。
それは、ヤコブの発言に見られることです。ヤコブは、ペトロの発言、パウロとバルナバの報告を受けたあと、さらにそれが、聖書の教えにかなっているかどうかを確認し、示しました。
導き出された結論が、聖書に語られている神の御心からそれていないかを確認するという作業です。
もちろん、聖書に具体的なことが記されているわけではありません。ですが、導き出された結論が、聖書が語ること、教えることにかなっているか。聖書が語る信仰の体系から外れていないか、という確認も大切です。キリストの教会は神によって、具体的には神の言葉によって支配される場であるからです。それが聖霊によって支配される、ということでもあります。
また、このことは、教会の会議だけでなく、私たちの日常においても同じです。
自分の行いが、日々の生活が、神の言葉に支配されるということが、神に従って生きるということでもあります。
今日の説教のまとめは、コロサイの信徒への手紙3:16。「キリストの言葉があなたがたの内に豊かに宿るようにしなさい。」です。

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