2022年10月09日「いつわりの宗教」

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いつわりの宗教

日付
説教
木村恭子 牧師
聖書
使徒言行録 13章4節~12節

聖句のアイコン聖書の言葉

聖霊によって送り出されたバルナバとサウロは、セレウキアに下り、そこからキプロス島に向け船出し、サラミスに着くと、ユダヤ人の諸会堂で神の言葉を告げ知らせた。二人は、ヨハネを助手として連れていた。
島全体を巡ってパフォスまで行くと、ユダヤ人の魔術師で、バルイエスという一人の偽預言者に出会った。この男は、地方総督セルギウス・パウルスという賢明な人物と交際していた。総督はバルナバとサウロを招いて、神の言葉を聞こうとした。
魔術師エリマ――彼の名前は魔術師という意味である――は二人に対抗して、地方総督をこの信仰から遠ざけようとした。
パウロとも呼ばれていたサウロは、聖霊に満たされ、魔術師をにらみつけて、言った。「ああ、あらゆる偽りと欺きに満ちた者、悪魔の子、すべての正義の敵、お前は主のまっすぐな道をどうしてもゆがめようとするのか。今こそ、主の御手はお前の上に下る。お前は目が見えなくなって、時が来るまで日の光を見ないだろう。」するとたちまち、魔術師は目がかすんできて、すっかり見えなくなり、歩き回りながら、だれか手を引いてくれる人を探した。
総督はこの出来事を見て、主の教えに非常に驚き、信仰に入った。日本聖書協会『聖書 新共同訳』
使徒言行録 13章4節~12節

原稿のアイコンメッセージ

<説教要約> 使徒言行録13:4-12「いつわりの宗教」        

アンティオキア教会から海外伝道へと送り出されたバルナバとサウロは、アンティオキアから海沿いの町、セレウキアに行きました。そしてセレウキアの港から、地中海に浮かぶキプロス島に船で渡りました。セレウキアからキプロス島までは約96キロの道のりだそうです。
キプロス島は、バルナバの出身地でもありました。
キプロス島には銅の鉱脈があり、古くから栄えていて、当時はローマ帝国の属州となっていました。多くのギリシャ人が住んでおり、ユダヤ人も多く住んでいましたので、ユダヤ教の会堂が複数あったようです。
それで、バルナバとサウロは、まずユダヤ教の会堂に行って、福音を語りました。
5節の最後には、短い言葉で「二人は、ヨハネを助手として連れていた。」とありまして、この伝道旅行にはバルナバとサウロのほかに、助手としてヨハネを伴っていたことがわかります。このヨハネは、ヨハネ・マルコ。マルコ福音書を書いたマルコ。そして彼はバルナバのいとこでもありました。

そのあと、一行は島の東側にあるパフォスという町に向かいました。
当時パフォスにはローマの行政府が置かれていて、ローマから派遣された地方総督が駐在していました。セルギウス・パウルスという人物です。
7節を見ると、この地方総督、セルギウス・パウルスという人物は、「賢明な人物で」、「バルナバとサウロを招いて、神の言葉を聞こうとした。」とあります。
バルナバとサウロがサラミスのユダヤ教会堂で福音を語っている、というニュースを聞いたのでしょう。そして、ローマの地方総督、セルギウス・パウルスの心に、聖霊の働きが及んで、彼は進んで、キリストの福音を聞こうとした、ということだと思います。

ですが、それを邪魔しようとした人物がいました。ユダヤ人の魔術師でバルイエスという人物です。彼はまたの名を魔術師エリマといいました。
この男は、地方総督のセルギウス・パウルスと親しくしていたのです。
どの程度親しかったのかはわかりません。しかし地方総督に取り入って甘い汁を吸っていたか、彼を利用して利益を得ていたのかもしれません。
ですからこの魔術師は、地方総督がバルナバとサウロの話を聞いて、正しい道を知り、自分から離れるのを恐れたのです。
8節「 魔術師エリマ――彼の名前は魔術師という意味である――は二人に対抗して、地方総督をこの信仰から遠ざけようとした。」
しかし、ここで神の特別な力が働きました。
9節から11節に、サウロと魔術師の対決が記されています。
「パウロとも呼ばれていたサウロは、聖霊に満たされ、魔術師をにらみつけて、言った。『ああ、あらゆる偽りと欺きに満ちた者、悪魔の子、すべての正義の敵、お前は主のまっすぐな道をどうしてもゆがめようとするのか。今こそ、主の御手はお前の上に下る。お前は目が見えなくなって、時が来るまで日の光を見ないだろう。』するとたちまち、魔術師は目がかすんできて、すっかり見えなくなり、歩き回りながら、だれか手を引いてくれる人を探した。」
突然目が見えなくなって、誰かに手を引いてもらうなんて、かつてのパウロのようですね。

実際のところ、ここで彼はどんな魔術を使ったのか、どのように人々を欺いたのかはわかりません。
昔の話ですから、現代人なら通用しないような、決して騙されないようなトリックを魔術として行い、それが通用したのかもしれません。
現代の私たちには「魔術なんか通用しない」と思うかもしれません。

しかし、現代でも洗脳され、だまされて、抜けられなくなるような偽りの宗教がありますよね。
今大問題になっている統一協会は、もともとは聖書の教えを書き換えた偽りの宗教団体でした。それがいつの間にか「世界平和統一家庭連合」などと名前を変えて、「家庭運動の推進を通して、自由・平和・統一・幸福を実現する団体」として活動しており、この団体に騙されて、財産を奪われ、結婚と家庭形成の自由まで奪われた人がたくさんいることが、明らかになってきています。
さらに、この関連団体は、私たちが知らないうちに日本の政治に深く入り込んでいることに、驚いています。
この人々には「ああ、あらゆる偽りと欺きに満ちた者、悪魔の子、すべての正義の敵、お前は主のまっすぐな道をどうしてもゆがめようとするのか。」というパウロの言葉がそのまま当てはまります。
ここでパウロは「主のまっすぐな道」といいます。
そして、この魔術師は「主のまっすぐな道をゆがめようとしている」と。

パウロはこの時、総督に「主のまっすぐな道」があること、キリストの福音を語ったのです。
「主のまっすぐな道」が語られ、聖霊が働き、総督の心に誠の神を信じる信仰が生まれた。
13:12 総督はこの出来事を見て、主の教えに非常に驚き、信仰に入った。
というのが、キプロス島パフォスでの結末です。

また、今日の箇所でも、聖霊の働きがはっきりと記されています。
4節「聖霊によって送り出されたバルナバとサウロは、・・・・」
9節「パウロとも呼ばれていたサウロは、聖霊に満たされ、魔術師をにらみつけて、・・・」
バルナバとサウロはアンティオキア教会から送り出されたのですが、それは「聖霊」によって送り出されたのです。
魔術師との戦いの場面でも、聖霊に満たパウロに特別な力が与えられ、魔術師の目が見えなくなった、とルカは記しています。

わたしたちが、神の業、働きに出会うとき、あるいは用いられるとき、そこには必ず聖霊の働きが伴う、聖霊の助けがある、ということです。私たちはこのことを覚えたいと思います。

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