2022年09月18日「栄え広がる神の言葉」

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栄え広がる神の言葉

日付
説教
木村恭子 牧師
聖書
使徒言行録 12章20節~25節

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ヘロデ王は、ティルスとシドンの住民にひどく腹を立てていた。そこで、住民たちはそろって王を訪ね、その侍従ブラストに取り入って和解を願い出た。彼らの地方が、王の国から食糧を得ていたからである。
定められた日に、ヘロデが王の服を着けて座に着き、演説をすると、集まった人々は、「神の声だ。人間の声ではない」と叫び続けた。
するとたちまち、主の天使がヘロデを撃ち倒した。神に栄光を帰さなかったからである。ヘロデは、蛆に食い荒らされて息絶えた。
神の言葉はますます栄え、広がって行った。
バルナバとサウロはエルサレムのための任務を果たし、マルコと呼ばれるヨハネを連れて帰って行った。
日本聖書協会『聖書 新共同訳』
使徒言行録 12章20節~25節

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<説教要約>2022年9月18日 使徒言行録12:20-25 「栄え広がる神の言葉」 
使徒言行録12章1節から19節は、ヘロデ王によってキリスト教会が迫害される様子が記されていました。
しかし、今日の箇所では、そのヘロデ王が急死するという出来事が描かれています。

19節の最後を見ると、「ヘロデはペトロを捜しても見つからないので、番兵たちを取り調べたうえで死刑にするように命じ、ユダヤからカイサリアに下って、そこに滞在していた」とあります。
翌朝、番兵たちは自分たちの命がかかっているので、必死になってペトロを探したはずです。しかし結果的には、ペトロを見つけることができませんでした。
ヘロデは、「探しても見つからないので」、ペトロを逃がした責任を番兵たちに負わせ、彼らを処刑したのです。
また、ヘロデ自身は「ユダヤからカイサリアに下って、そこに滞在していた」とあります。

で、今日の話はその続き、つまりカイサリアでの話です。
20節 ヘロデ王は、ティルスとシドンの住民にひどく腹を立てていた。そこで、住民たちはそろって王を訪ね、その侍従ブラストに取り入って和解を願い出た。彼らの地方が、王の国から食糧を得ていたからである。
「ティルスとシドン」という町は、フェニキアの海沿いの町です。理由はわかりませんが、ヘロデ王はこの町の住民に腹を立てていて、ユダヤからの食糧供給を止めていたのです。それに困ったティルスとシドンの人々は、ブラストという侍従を通じてヘロデとの面会を取り付けたのです。

実は、当時の様々な記録を残している、歴史家ヨセフォスという人が「ユダヤ古代史」にこんな話を記しています。
「場所はカイサリアの、ヘロデ大王が建設した劇場でした。
ヘロデ・アグリッパ王はローマ皇帝を祝した祭典を催し、その時彼はローマ風に飾り立てた衣装を身にまとって出席していました。朝の光がその衣装にあたると、キラキラと輝き、そのため人々はヘロデを神と呼んで、恵みと祝福を求めました。見上げると一羽のフクロウが飛んでいたのです。それは悪い徴であると認めた直後に、ヘロデ王に激しい腹痛が起き、彼はその5日後に死んだ。」と。
ヨセフォスの記録とルカの記述を読み合せると、ヘロデに称賛を浴びせた人々は、ティルスとシドンの住民。
そしてヘロデ王、人々に褒めたたえられ、神とあがめられた後、突然死んだという内容は一致しています。
ヨセフォスは、歴史家としてこの出来事の事実関係だけを記していますが、ルカはこの話を、神の介入によるヘロデへの裁きとして記しています。
12:23 するとたちまち、主の天使がヘロデを撃ち倒した。神に栄光を帰さなかったからである。ヘロデは、蛆に食い荒らされて息絶えた。
ヘロデは、「神の声だ、人間の声ではない」と叫ぶ声を、自分への称賛と受け止めたのでしょう。
しかし、人は人であって、決して神でない、神にはなれないのです。

そして、12章の一連の出来事の締めくくりは24節。
12:24 神の言葉はますます栄え、広がって行った。です。
教会が迫害され、教会の中心メンバーが殺害され、あるいは捕らえられたあと行方不明になり、エルサレム教会はある意味ガタガタになりました。しかし、それでも「神の言葉はますます栄え、広がって行った」のです。
実際、エルサレム教会はこの時、苦境に立たされていました。教会の指導者が、突然、一度に二人も失われたのですから。わたしたちで言うなら、牧師と長老が一度にいなくなった、という感じでしょう。
しかし、どんなに状況が悪くても、神の言葉は生きて働き、栄え、広がっていく。
迫害や妨害にあったとしても、また宣べ伝える人が起こされ、教会に仕える新たなメンバーが育ち、そして、栄え、広がっていくのです。
今日の箇所では、神ご自身が「栄光」を現し、逆らう者を裁き、ご自身のご計画を進めていかれたのです。そしてその推進力は、生きて働く神の言葉です。
12:25 バルナバとサウロはエルサレムのための任務を果たし、マルコと呼ばれるヨハネを連れて帰って行った。
25節は、神の言葉がさらに栄え広がるための前段です。ここに登場するバルナバ、サウロ、ヨハネの三人が、この後伝道旅行へ派遣されるのです。

今日の箇所では、特に二つのことを覚えたいともいます。
一つは人は人であって、決して神でない、神にはなれない、ということです。
人は神によって創造された被造物であって、決して神ではないし、神にはなれません。
日本では、かつて天皇を神と崇めた大変不幸な時代がありました。このことが、戦争への推進力となったのです。
あるいは、「死んだら人は仏になる」と素朴に信じる人がいます。しかし聖書は「人は人であって、決して神でない、神にはなれない」と教えているのです。

今日覚えたいもう一つのことは、「神の言葉はますます栄え、広がって行く」ということです。
それは、神の言葉には力があるから。別の言い方をするなら、神の言葉は、聖霊の働きによって、私たちの心に生きて働くからです。
神を信じない者の心に働いて、信じる者へと変えてる力があります。
私たちが苦難の中にいるとき、先が見えなくて苦しいときに、神の言葉を通して希望が与えられたり、励まされたりします。神の言葉をとおして、罪が指摘されることもあります。これらも、生きて働く神の言葉の力です。
ですから、私たちは、神の言葉の近くにいること。そういう環境に自分を置く工夫が必要です。
以前、聖書の通読をお勧めしましたが、続いていますか? その週に礼拝で取り上げられた聖書箇所を読んで、一緒に説教要約を読む。 インターネットや、電話で『あさのことば』を聞く。 リジョイスの今日の所を読む。
工夫すればいろいろやり方はありますが、継続と積み重ねが大切です。

最後に、神の言葉の力を記している、イザヤ書55章8節から11節をお読みした後、祈ります。
イザヤ55:8-11
55:8 わたしの思いは、あなたたちの思いと異なり/わたしの道はあなたたちの道と異なると/主は言われる。
55:9 天が地を高く超えているように/わたしの道は、あなたたちの道を/わたしの思いは/あなたたちの思いを、高く超えている。
55:10 雨も雪も、ひとたび天から降れば/むなしく天に戻ることはない。それは大地を潤し、芽を出させ、生い茂らせ/種蒔く人には種を与え/食べる人には糧を与える。
55:11 そのように、わたしの口から出るわたしの言葉も/むなしくは、わたしのもとに戻らない。それはわたしの望むことを成し遂げ/わたしが与えた使命を必ず果たす。

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