2022年07月17日「偽証してはならない」

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偽証してはならない

日付
説教
木村恭子 牧師
聖書
出エジプト記 20章12節~17節

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「あなたの父母を敬え。そうすればあなたは、あなたの神、主が与えられる土地に長く生きることができる。
殺してはならない。
姦淫してはならない。
盗んではならない。
隣人に関して偽証してはならない。
隣人の家を欲してはならない。隣人の妻、男女の奴隷、牛、ろばなど隣人のものを一切欲してはならない。」
日本聖書協会『聖書 新共同訳』
出エジプト記 20章12節~17節

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<説教要約>「 偽証してはならない 」  
     
今、朝の礼拝では十戒の学びを続けています。
本日は第八戒「隣人に関して偽証してはならない」、出エジプト記では20章16節です。

「偽証」という用語は法的な用語で、実際には「偽証してはならない」は、裁判や何か証言するような場面が想定されています。
この戒めが与えられた時代、証言は事件の証拠として重要でした。人の証言に基づいて、罪が裁かれ、判決が申し渡されるのです。証言によって死刑が宣告されることもあります。ですが、そこに憶測や悪意による偽証があったらどうでしょうか? うその証言によって死刑宣告される、ということも起こるのです。

では、第九戒は、わたしたちの生活の中ではどのような意味を持つのでしょうか?
私たちが実際の裁判で証人として証言台に立つことは、多くありません。ですが、もし、そのような場に立たされたなら、悪意でも、同情心でもなく、真実の証言をすることが大切です。
さらに、私たちの日常の中で第九戒を考えるなら、「偽証」とは「嘘の証言」ということですから、基本的に「嘘」はだめだということです。
箴言12:22 うそをつく唇を主はいとわれる。忠実を尽くす人を主は喜び迎えられる。とあります。神は真実な方ですから、わたしたちも神と隣人の前に、真実をもって生きることが求められています。
神の前に、そして隣人に対しても真実をつくすこと、箴言12:22では「忠実を尽くす人を主は喜び迎えられる。」と教えています。

このことを念頭に置いて、いつものように小教理問答、ハイデルベルク、70周年宣言を順番に確認しましょう。

ウェストミンスター小教理問答
問76 第九戒は、どれですか。
答 第九戒はこれです。「あなたは隣人について、偽証してはならない」。
問77 第九戒では、何が求められていますか。
答 第九戒が求めている事は、人と人との間の真実と、また私たち自身と隣人の名声とを、保ち、高めること、特に証言する時にそうすることです。
問78 第九戒では、何が禁じられていますか。
答 第九戒が禁じている事は、何事であれ、真実を損なう事、あるいは私たち自身や隣人の名声を傷つける事です。

問77では、法廷での証言だけでなく、「人と人との間で」真実を語ること。また、自分と隣人の名声を保ち高めるように語ることが求められていると教えます。
問78では、うその禁止と、自分と隣人に対する誹謗中傷の禁止です。
わたしたちは、人のうわさ話が好きですよね。そして何か興味深い話を聞くと、それに尾ひれをつけて別の人に話してしまう、ということが起こりがちです。それがどんどん大きくなって、当事者の元に戻った時、とんでもない内容になっているということがあります。
そういうことで、隣人関係がぎくしゃくし、傷つく人が出るのです。
ですから、特に人の名声や名誉を傷つけるような内容の噂話をしないように、あるいは加担しないように注意しましょう。自分が言われたらいやだなあと思うことは口にしない、という自制が必要です。

ハイデルベルク信仰問答
ハイデルベルク信仰問答では、もっと具体的、かつ積極的な教えがされています。
問112第九戒では、何が求められていますか。
答 わたしが誰に対しても偽りの証言をせず、
   誰の言葉をも曲げず、陰口や中傷をする者にならず、
   誰かを調べもせずに軽率に断罪するようなことに手を貸さないこと。
  かえって、あらゆる嘘やごまかしを、
   悪魔の業そのものとして
   神の激しい御怒りのゆえに遠ざけ、
   裁判やその他のあらゆる取引においては真理を愛し、
   正直に語りまた告白すること。
  さらにまた、私の隣人の栄誉と威信とを
   わたしの力の限り守り促進する、ということです。

陰口、中傷、噂話、これは、本人のいないところで、その人の悪い面について話すことです。もちろんそれが真実な場合もあります。しかし、それも含めて軽率な言動を禁じています。
聖書を二か所確認しましょう。
ヤコブの手紙3:8-10
3:8 しかし、舌を制御できる人は一人もいません。舌は、疲れを知らない悪で、死をもたらす毒に満ちています。
3:9 わたしたちは舌で、父である主を賛美し、また、舌で、神にかたどって造られた人間を呪います。
3:10 同じ口から賛美と呪いが出て来るのです。わたしの兄弟たち、このようなことがあってはなりません。

Ⅰペトロ3:10-12
3:10 「命を愛し、/幸せな日々を過ごしたい人は、/舌を制して、悪を言わず、/唇を閉じて、偽りを語らず、
3:11 悪から遠ざかり、善を行い、/平和を願って、これを追い求めよ。
3:12 主の目は正しい者に注がれ、/主の耳は彼らの祈りに傾けられる。主の顔は悪事を働く者に対して向けられる。」

70周年宣言も確認しましょう。
「隣人に関して偽証してはならない」
「その人を造り上げるのに役立つ言葉を、必要に応じて語りなさい」
 恵みと真理に満ちた主の言葉は、決して罪を曖昧にしない神の正義と、どこまでも罪を赦す神の愛とに貫かれている。
 わたしたちもまた、愛に根ざして真理を語り、へりくだって互いの徳を高め合い、神と隣人に対して公明正大に生きていこう。
 それ故、わたしたちは、陰口や中傷によって人を傷つけ、隣人の名誉と真実を損なう舌の罪を戒める。

70周年宣言は、エフェソ4:29です。
エフェソ4:29-32
4:29 悪い言葉を一切口にしてはなりません。ただ、聞く人に恵みが与えられるように、その人を造り上げるのに役立つ言葉を、必要に応じて語りなさい。

このように、「偽証してはならない」は、ただ、うその証言をしなければいい、ということに留まりません。
人の悪口やうわさ話をしない、と言うだけでもありません。
70周年宣言では、さらに踏み込んで、愛と憐みの心をもって相手に接し、その人を高めるような、造り上げるのに役立つ言葉を語るように、と教えます。
相手を大切に思う心で、相手の益となるよう、言葉を選んで語ること、これをもう一度心がけ、またそれぞれが自分自身に訓練を課していきましょう。

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