2022年07月03日「なぜ不倫はいけないのか」

問い合わせ

日本キリスト改革派 川越教会のホームページへ戻る

なぜ不倫はいけないのか

日付
説教
木村恭子 牧師
聖書
出エジプト記 20章12節~17節

音声ファイルのアイコン音声ファイル

礼拝説教を録音した音声ファイルを公開しています。

聖句のアイコン聖書の言葉

「あなたの父母を敬え。そうすればあなたは、あなたの神、主が与えられる土地に長く生きることができる。
殺してはならない。
姦淫してはならない。
盗んではならない。
隣人に関して偽証してはならない。
隣人の家を欲してはならない。隣人の妻、男女の奴隷、牛、ろばなど隣人のものを一切欲してはならない。」
日本聖書協会『聖書 新共同訳』
出エジプト記 20章12節~17節

原稿のアイコンメッセージ

<説教要約> 出エジプト記20:12-17節 「 なぜ不倫はいけないのか 」  
     
今、礼拝説教では十戒の学びを続けています。
本日は第七戒、出エジプト記では20章14節、「姦淫してはならない」です。
「姦淫」という言葉、広辞苑で調べると、「不正な男女の交わり。不倫な情事」とあります。
ですから「不倫」と言い換えた方がわかりやすいと思い、説教題は「なぜ不倫はいけないのか」としました。
しかし、第七戒は、キリスト者にとって単なる不倫の禁止ではありません。
もっともっと積極的な教えです。
今朝は、まず、創造の祝福について、 次に人間の罪が招く混乱と不幸、 最後に第七戒の積極的な教え という順番でお話をいたします。

1.創造の祝福について
創世記1章、2章から確認しましょう。
神による天地創造で重要なのは、「神の言葉」です。
神の言葉は、私たち人間が発する言葉とは違います。 神の言葉は神の力そのものです。
神の御意志、ご計画が言葉となって発せられると、それが現実となります。
神が世界を順序だてて創造していく中で、特徴的な三つの言葉があります。
「神は言われた」「そのようになった」「神はこれを見て良しとされた」です。
確認しましょう。
創世記1:3~12
1:3 神は言われた。「光あれ。」こうして、光があった。
1:4 神は光を見て、良しとされた。神は光と闇を分け、
1:5 光を昼と呼び、闇を夜と呼ばれた。夕べがあり、朝があった。第一の日である。
1:6 神は言われた。「水の中に大空あれ。水と水を分けよ。」
1:7 神は大空を造り、大空の下と大空の上に水を分けさせられた。そのようになった。
1:8 神は大空を天と呼ばれた。夕べがあり、朝があった。第二の日である。
1:9 神は言われた。「天の下の水は一つ所に集まれ。乾いた所が現れよ。」そのようになった。
1:10 神は乾いた所を地と呼び、水の集まった所を海と呼ばれた。神はこれを見て、良しとされた。
1:11 神は言われた。「地は草を芽生えさせよ。種を持つ草と、それぞれの種を持つ実をつける果樹を、地に芽生えさせよ。」そのようになった。
1:12 地は草を芽生えさせ、それぞれの種を持つ草と、それぞれの種を持つ実をつける木を芽生えさせた。神はこれを見て、良しとされた。
この後も同じように、創造記事は進んでいきます。
そして、全てが整えられた後、神は人をお造りになりました。 ここも確認しましょう。

創世記1:26-28
1:26 神は言われた。「我々にかたどり、我々に似せて、人を造ろう。そして海の魚、空の鳥、家畜、地の獣、地を這うものすべてを支配させよう。」
1:27 神は御自分にかたどって人を創造された。 神にかたどって創造された。 男と女に創造された。
1:28 神は彼らを祝福して言われた。「産めよ、増えよ、地に満ちて地を従わせよ。海の魚、空の鳥、地の上を這う生き物をすべて支配せよ。」

ところが、このあと2章18節を見ると、神は今まで言わなかった言葉を発しています。
創世記2:18
2:18 主なる神は言われた。「人が独りでいるのは良くない。彼に合う助ける者を造ろう。」
神はここで初めて「良くない」と言われました。創造の御業の中で、神が「良くない」と言ったのは、こ子だけです。人が孤独でいることは、それほど良くないこと、なのです。
ここでは暗に婚姻関係が前提されていますが、しかしそれだけではありません。
人は、神のかたちとして、神に似たものとして、言葉をもって理解し合う者として造られたのです。
ということは、当然、言葉を伝える相手が必要なのです。
それは婚姻関係だけでなく、もっと広い意味で、人間にはわかり合える人間が必要だ、ということです。

そして、この後神は何をなさったかと言うと、 アダムのあばら骨を抜き取って、女をお造りになった、と記されています。創世記2章21-25節です。
創世記2:21-25
2:21 主なる神はそこで、人を深い眠りに落とされた。人が眠り込むと、あばら骨の一部を抜き取り、その跡を肉でふさがれた。
2:22 そして、人から抜き取ったあばら骨で女を造り上げられた。主なる神が彼女を人のところへ連れて来られると、
2:23 人は言った。「ついに、これこそ/わたしの骨の骨/わたしの肉の肉。これをこそ、女(イシャー)と呼ぼう/まさに、男(イシュ)から取られたものだから。」
2:24 こういうわけで、男は父母を離れて女と結ばれ、二人は一体となる。
2:25 人と妻は二人とも裸であったが、恥ずかしがりはしなかった。

というように、神は女を造られたのです。
また、男は「彼に合う助ける者」として造られた女を見て、「これこそ/わたしの骨の骨/わたしの肉の肉」と叫びました。
ここでは、男と女の関係が、「助ける者」としての関係だということがわかります。
ですが、ヘブル語で「助ける者」という言葉は上下関係を含まないそうです。 ですから、「彼に合う助ける者」とは、男が上で女が下、男尊女卑ということではない、ということを覚えたいと思います。 
神の創造の秩序の中で男と女は、向き合って、助け合う関係です。 ここ、重要ですよね!!
ですから、夫婦関係も、向き合って助け合い、補い合う関係です。
そして、夫婦間においては、
2:24 こういうわけで、男は父母を離れて女と結ばれ、二人は一体となる。
2:25 人と妻は二人とも裸であったが、恥ずかしがりはしなかった。
とありますから、ここは夫婦関係としての肉体関係が語られており、夫婦間の性的な営みは、神の創造の御業、祝福だということがわかります。
こうして、夫婦のきずなが神の言葉によって定められたのです。

2.人間の罪が招く混乱と不幸
ところが、この後、人間の堕落と共に、この基本的な祝福の関係に綻びが生じます。
人類の堕落の後、創世記4章19節で突然
創4:19 レメクは二人の妻をめとった。一人はアダ、もう一人はツィラといった。 と記されています。 
祝福の関係であった夫と妻の関係。
それがいつの間にか、一夫多妻になります。しかしそのことで家族は、家庭は混乱します。
創世記を読み進んでいきますと、ヤコブ物語などでそれが明らかに読み取れます。ヤコブには、二人の妻と二人のそばめがあり、その間に男子だけでも12人の子どもが生まれました。 子どもが与えられることは神の祝福ですが、しかし複雑な家族関係の中では、明らかに混乱が生じています。
旧約聖書には娼婦の存在や、複数の妻やそばめの存在も記されています。ですが、神はこれらを肯定しておられるわけではありません。
創造の秩序、祝福である夫婦関係を逸脱した性的な関係。あるいは一夫多妻などは、決して祝福とはならないことを、聖書は教えます。
ですから、神は第七戒で「姦淫してはならない」と命じ、神が創造された結婚の秩序を教え、夫婦関係以外の性的な関係を禁じているのです。
以下、ウェストミンスター小教理問答を確認しましょう。

<ウェストミンスター小教理問答>
問70 第七戒は、どれですか。
答 第七戒はこれです。「あなたは姦淫してはならない」。
問71 第七戒では、何が求められていますか。
答 第七戒が求めている事は、心、会話、振舞いにおいて、私たち自身と隣人の貞潔を守ることです。
問72 第七戒では、何が禁じられていますか。
答 第七戒が禁じている事は、すべてのみだらな思い、言葉、行動です。

3.第七戒の積極的な教え
ですが、第七戒は、不倫を禁止しているだけではありません。
そもそも不倫は結婚していることが前提ですが、独身の人もいるし、伴侶に先立たれた方もいます。
ですが、この第七戒は、「不倫の禁止」以上に積極的な意味があります。
それが、ハイデルベルク信仰問答や70周年宣言で教えられています。
まず、ハイデルベルク信仰問答を確認しましょう。

<ハイデルベルク信仰問答>
問108第七戒は、何を求めていますか。
答 すべてみだらなことは神に呪われるということ、
  それゆえ、わたしたちはそれを心から憎み、
   神聖な結婚生活においてもそれ以外の場合においても、
   純潔で慎み深く生きるべきである、ということです。
問109神はこの戒めで、姦淫とそのような汚らわしいこと以外は
禁じておられないのですか。
答 わたしたちの体と魂とは共に聖霊の宮です。
  ですから、この方はわたしたちがそれら二つを、
   清く聖なるものとして保つことを望んでおられます。
  それゆえ、あらゆるみだらな行い、態度、言葉、思い、欲望、
  またおよそ人をそれらに誘うおそれのある事柄を禁じておられるのです。

ハイデルベルク信仰問答では、「わたしたちの体と魂とは共に聖霊の宮です。」と教えています。
聖書の根拠は
⑤一コリント6:19-20
6:19 知らないのですか。あなたがたの体は、神からいただいた聖霊が宿ってくださる神殿であり、あなたがたはもはや自分自身のものではないのです。
6:20 あなたがたは、代価を払って買い取られたのです。だから、自分の体で神の栄光を現しなさい。
私たちクリスチャンには、神の聖霊が注がれています。あるいは、キリストに結ばれている、という表現もあります。 ですから、その体を、みだらな行いではなく、神の宮として清く保ちましょう、ということになります。
さらにパウロは、「自分の体で神の栄光を現しなさい。」と教えています。

最後に70周年宣言を確認しましょう。
<70周年宣言>
「姦淫してはならない」
「あなたがたの体は、神からいただいた聖霊が宿ってくださる神殿・・・なのです」
 神から与えられた性は、地上を生きるわたしたちの喜びであり祝福である。各々の性が尊ばれ、互いに助け合うことによって神の栄光は現わされる。
 この破れた世界において、姦淫や不品行の罪、結婚関係や家庭の崩壊がもたらす傷は深く重い。それにもかかわらず、キリストによって赦されない罪はなく、癒されない傷もない。
 それ故、わたしたちは自分や他人の魂をおとしめる思いや行いから遠ざかり、信仰と悔い改めの中で、神の愛の高みへと成長できるように祈り求めよう。

関連する説教を探す関連する説教を探す