天よ、喜べ 2018年12月09日(日曜 夕方の礼拝)
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天よ、喜べ
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- 村田寿和 牧師
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ヨハネの黙示録 18章9節~20節
聖書の言葉
18:9 彼女とみだらなことをし、ぜいたくに暮らした地上の王たちは、彼女が焼かれる煙を見て、そのために泣き悲しみ、
18:10 彼女の苦しみを見て恐れ、遠くに立ってこう言う。「不幸だ、不幸だ、大いなる都、/強大な都バビロン、/お前は、ひとときの間に裁かれた。」
18:11 地上の商人たちは、彼女のために泣き悲しむ。もはやだれも彼らの商品を買う者がないからである。
18:12 その商品とは、金、銀、宝石、真珠、麻の布、紫の布、絹地、赤い布、あらゆる香ばしい木と象牙細工、そして、高価な木材や、青銅、鉄、大理石などでできたあらゆる器、
18:13 肉桂、香料、香、香油、乳香、ぶどう酒、オリーブ油、麦粉、小麦、家畜、羊、馬、馬車、奴隷、人間である。
18:14 お前の望んでやまない果物は、/お前から遠のいて行き、/華美な物、きらびやかな物はみな、/お前のところから消えうせて、/もはや決して見られない。
18:15 このような商品を扱って、彼女から富を得ていた商人たちは、彼女の苦しみを見て恐れ、遠くに立って、泣き悲しんで、
18:16 こう言う。「不幸だ、不幸だ、大いなる都、/麻の布、また、紫の布や赤い布をまとい、/金と宝石と真珠の飾りを着けた都。
18:17 あれほどの富が、ひとときの間に、/みな荒れ果ててしまうとは。」また、すべての船長、沿岸を航海するすべての者、船乗りたち、海で働いているすべての者たちは、遠くに立ち、
18:18 彼女が焼かれる煙を見て、「これほど大きい都がほかにあっただろうか」と叫んだ。
18:19 彼らは頭に塵をかぶり、泣き悲しんで、こう叫んだ。「不幸だ、不幸だ、大いなる都、/海に船を持つ者が皆、/この都で、高価な物を取り引きし、/豊かになったのに、/ひとときの間に荒れ果ててしまうとは。」
18:20 天よ、この都のゆえに喜べ。聖なる者たち、使徒たち、預言者たちよ、喜べ。神は、あなたがたのために/この都を裁かれたからである。ヨハネの黙示録 18章9節~20節
メッセージ
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序
前回、私たちは、天から降ってきた天使の力強い声によって、大バビロンが倒れたこと。また、天からの主イエスの御声によって、大バビロンが一日のうちに、さまざまな災いに襲われ、火で焼かれることを聞きました。力ある主は、そのように、大バビロンであるローマを裁かれるのです。今夕の御言葉はその続きであります。
今夕の御言葉には、地上の王たちと地上の商人たちと海で働く者たちの嘆きが記されています。地上の王たちと地上の商人たちについては、18章3節にこう記されていました。「すべての国の民は、怒りを招く彼女のみだらな行いのぶどう酒を飲み、地上の王たちは、彼女とみだらなことをし、地上の商人たちは、彼女の豪勢なぜいたくによって、富を築いたからである」。地上の王たちも、地上の商人たちも、大バビロンであるローマと関係の深い者たちでありました。ヨハネは、その地上の王たちや地上の商人たちの嘆きを記すことによって、ローマの滅亡を預言するのです。このような手法は、旧約の預言者エゼキエルに見られるものであります。エゼキエル書の27章に、「ティルスへの預言」として、水夫たちの嘆きの言葉が記されています。エゼキエルが水夫たちの嘆きの言葉によって、ティルスの滅亡を預言したように、ヨハネは、地上の王たちと地上の商人たちと海で働く者たちの嘆きの言葉によって、ローマの滅亡を預言するのです。
1 王たちの嘆き
9節、10節には王たちの嘆きが記されています。9節の「彼女とみだらなことをし、ぜいたくに暮らした地上の王たち」とは、ローマ皇帝を神として拝むことによって、富を得ていた属州の王たちのことです。この地上の王たちは、ローマが焼かれる煙を見て、泣き悲しみ、彼女の苦しみを見て恐れ、遠くに立ってこう言いました。「不幸だ、不幸だ、大いなる都、強大な都バビロン、お前は、ひとときの間に裁かれた」。王たちがローマの苦しみを見て、遠くに立っていたのは、自分もローマと同じ罪を犯していたからです。そうであれば、大いなる都の不幸は、自分たちの不幸でもあるのです。強大な都バビロンをひとときの間に裁かれた力ある主は、彼女とみだらなことをし、ぜいたくに暮らした地上の王たちをもひとときの間に裁かれるのです。
2 商人たちの嘆き
11節から17節前半までには、地上の商人たちの嘆きが記されています。地上の商人たちは、ローマのために泣き悲しみました。それは、もはやだれも彼らの商品を買う者がいないからです。地上の商人たちは、ローマの豪勢なぜいたくによって、もはや富を築くことができないので、泣き悲しんだのです。12節、13節には、彼らの商品が具体的に挙げられています。「その商品とは、金、銀、宝石、真珠、麻の布、紫の布、絹地、赤い布、あらゆる香ばしい木と象牙細工、そして、高価な木材や、青銅、鉄、大理石などでできたあらゆる器、肉桂、香料、香、香油、乳香、ぶどう酒、オリーブ油、麦粉、小麦、家畜、羊、馬、馬車、奴隷、人間」でありました。ここには、中国(絹地)やインド(香料、香)やアラビア(乳香)やアフリカ(香ばしい木、象牙細工)からの輸入品が含まれています。商人たちは、ローマに華美な物やきらびやかな物を売ることによって、莫大な富を築いていたのです。商品のリストの最後の方に、「奴隷、人間」と記されています。ローマ帝国は奴隷制度のうえに成り立っておりました。奴隷、人間も商品として売買されていたのです。神のかたちに似せて造られた魂を持つ人間が物のようにやり取りされていたのです。
このような商品を扱って、ローマから富を得ていた商人たちは、彼女の苦しみを見て恐れ、遠くに立って、泣き悲しんでこう言いました。「不幸だ、不幸だ、大いなる都、麻の布、また、紫の布や赤い布をまとい、金の宝石と真珠のかざりを着けた都。あれほどの富が、ひとときの間に、みな荒れ果ててしまうとは」。神様の裁きの前に、富は何の役にも立ちません。むしろ、富は彼女をおごり高ぶらせ、厳しい裁きをもたらすのです。商人たちが、彼女の苦しみを見て恐れ、遠くに立っていたのも、自分たちの扱った商品によって、ローマがおごり高ぶり、厳しい裁きを受けたからです。
3 海で働く者たちの嘆き
17節後半から19節までには、海で働く者たちの嘆きが記されています。このところは、先程も申しましたように、エゼキエル書27章の水夫たちの嘆きを背景にして記されています。そのことを確認したいと思います。旧約の1340ページ。エゼキエル書27章28節から34節までをお読みします。
水夫たちの叫び声で、町を取り巻く地は震える。櫂を漕ぐ者は皆、その船から降り/船乗りと水夫たちは皆、陸に立ち/お前のために声をあげて、いたく泣き叫ぶ。彼らは頭に塵をかぶり、灰の中で転げ回る。彼らはお前のために頭をそり/粗布を身にまとい/お前のために心を痛めて泣き/痛ましい悲しみの声をあげる。また嘆きの声をあげて、哀歌をうたい/お前のために挽歌をうたう。誰が海の真ん中で/ティルスと同じようになっただろうか。お前は海を越えて商品を輸出し/多くの国々の民を飽き足らせ/豊かな富と産物で、地上の王たちを富ませた。今、お前は海で難破し、水中深く沈んだ。お前の積み荷とすべての乗組員は沈んだ。
このような水夫の嘆きの言葉を背景にして、ヨハネは、海で働く者たちの嘆きの言葉を記しているのです。
では、今夕の御言葉に戻りましょう。新約の474ページです。
海で働く者たちは、頭に塵をかぶり、泣き悲しんで、こう叫びました。「不幸だ、不幸だ、大いなる都、海に船を持つ者が皆、この都で、高価な物を取り引きし、豊かになったのに、ひとときの間に荒れ果ててしまうとは」。海で働く者たちは頭に塵をかぶり、泣き悲しみました。これは悔い改めのジェスチャー(身振り)です。それは、地上の商人たちと一緒になって、ローマのぜいたくによって富を得ていたからです。ローマが荒れ果ててしまうことは、自分たちも荒れ果ててしまうことであるのです。
ヨハネは、地上の王たち、地上の商人たち、海で働く者たちが、遠くに立って、「不幸だ、不幸だ、大いなる都」と叫んだことを記しておりますが、この不幸は、彼ら自身の不幸でもあるのです。なぜなら、彼らはローマとみだらなことをし、彼女の豪勢なぜいたくによって富を築いた者たちであるからです。彼らはローマのことを嘆いているようで、実は、自分たちのことを嘆いているのです。
4 天よ、喜べ
地上の王たち、地上の商人たち、海で働く者たちが、ローマのゆえに嘆くのに対して、20節にはこう記されています。「天よ、この都のゆえに喜べ。聖なる者たち、使徒たち、預言者たちよ、喜べ。神は、あなたがたのために/この都を裁かれたからである」。ローマが滅ぼされたことは、地上の王たちや商人たちにとっては嘆かわしいことでありました。しかし、ヨハネは、「天よ、この都のゆえに喜べ」と記すのです。「天」とは「聖なる者たち、使徒たち、預言者たち」のことです。ローマ帝国によって、迫害され、命を奪われたキリスト者たちのことです。そのような者たちにとって、ローマが滅びることは、喜ぶべきことであるのです。神様は、ローマを裁き、荒れ果てさせることによって、御自分の民のために正しい裁きをしてくださったのです。この天の喜びが19章1節以下に、天の大群衆の大声によって歌われます。それは嘆きの歌ではありません、神様をほめたたえる喜びの歌です。その喜びの歌を、私たちは、今この地上で歌うことができるのです。