第七の封印が開かれる 2018年2月11日(日曜 夕方の礼拝)
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第七の封印が開かれる
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- 村田寿和 牧師
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ヨハネの黙示録 8章1節~13節
聖書の言葉
8:1 小羊が第七の封印を開いたとき、天は半時間ほど沈黙に包まれた。
8:2 そして、わたしは七人の天使が神の御前に立っているのを見た。彼らには七つのラッパが与えられた。
8:3 また、別の天使が来て、手に金の香炉を持って祭壇のそばに立つと、この天使に多くの香が渡された。すべての聖なる者たちの祈りに添えて、玉座の前にある金の祭壇に献げるためである。
8:4 香の煙は、天使の手から、聖なる者たちの祈りと共に神の御前へ立ち上った。
8:5 それから、天使が香炉を取り、それに祭壇の火を満たして地上へ投げつけると、雷、さまざまな音、稲妻、地震が起こった。
8:6 さて、七つのラッパを持っている七人の天使たちが、ラッパを吹く用意をした。
8:7 第一の天使がラッパを吹いた。すると、血の混じった雹と火とが生じ、地上に投げ入れられた。地上の三分の一が焼け、木々の三分の一が焼け、すべての青草も焼けてしまった。
8:8 第二の天使がラッパを吹いた。すると、火で燃えている大きな山のようなものが、海に投げ入れられた。海の三分の一が血に変わり、
8:9 また、被造物で海に住む生き物の三分の一は死に、船という船の三分の一が壊された。
8:10 第三の天使がラッパを吹いた。すると、松明のように燃えている大きな星が、天から落ちて来て、川という川の三分の一と、その水源の上に落ちた。
8:11 この星の名は「苦よもぎ」といい、水の三分の一が苦よもぎのように苦くなって、そのために多くの人が死んだ。
8:12 第四の天使がラッパを吹いた。すると、太陽の三分の一、月の三分の一、星という星の三分の一が損なわれたので、それぞれ三分の一が暗くなって、昼はその光の三分の一を失い、夜も同じようになった。
8:13 また、見ていると、一羽の鷲が空高く飛びながら、大声でこう言うのが聞こえた。「不幸だ、不幸だ、不幸だ、地上に住む者たち。なお三人の天使が吹こうとしているラッパの響きのゆえに。」ヨハネの黙示録 8章1節~13節
メッセージ
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今夕の御言葉では、小羊であるイエス・キリストによって、第七の封印が開かれます。第七の封印は、巻物を封じていた最後の封印であります。その最後の封印が開かれることによって、世の終わりが来るはずでありましたが、実際はそうはなりませんでした。第七の封印が開かれることによって、七人の天使に七つのラッパが与えられるのです。
8章1節から5節までをお読みします。
小羊が第七の封印を開いたとき、天は半時間ほど沈黙に包まれた。そして、わたしは七人の天使が神の御前に立っているのを見た。彼には七つのラッパが与えられた。また、別の天使が来て、手に金の香炉を持って祭壇のそばに立つと、この天使に多くの香が渡された。すべての聖なる者たちの祈りに添えて、玉座の前にある金の祭壇に献げるためである。香の煙は、天使の手から、聖なる者たちの祈りと共に神の御前へ立ち上った。それから、天使が香炉を取り、それに祭壇の火を満たして地上へ投げつけると、雷、さまざまな音、稲妻、地震が起こった。
小羊であるイエス様が第七の封印を開いたとき、天は半時間ほど沈黙に包まれました。ヨハネは天にいるわけですが、天は短い時間、沈黙に包まれたのです。ゼファニヤ書1章7節に、「主なる神の御前に沈黙せよ。主の日は近づいている」とありますように、この沈黙は、主の裁きが近づいていることを示しているのです。ヨハネは、神様の御前に立っている七人の天使を見ました。そして、彼らには神様から七つのラッパが与えられたのです。「ラッパ」とは、旧約聖書で言えば、「つのぶえ」のことであります。ラッパ(つのぶえ)は、主の日の到来を告げる楽器でありました。ヨエル書の2章1節に、次のように記されています。「シオンで角笛を吹き/わが聖なる山で鬨の声をあげよ。この国に住む者は皆、おののけ。主の日が来る、主の日が近づく」。また、イエス・キリストの使徒パウロも、テサロニケの信徒への手紙一の4章16節で、次のように記しています。「合図の号令がかかり、大天使の声が聞こえて、神のラッパが鳴り響くと、主御自身が天から降って来られます」(マタイ24:31参照)。このようにラッパは主の日の到来を告げる楽器であるのです。では、天使がラッパを吹いて、すぐに主イエスが地上に来られるかと言えば、そうではありません。小見出しに「天使のラッパと災い」とありますように、ラッパが吹かれることによって、地上に災いがもたらされるのです。そして、その背景には、祭壇に献げられた聖なる者たちの祈りがあるのです。3節に、「別の天使が来て、天に金の香炉を持って祭壇のそばに立つと、この天使に多くの香が渡された」とあります。「香」は祈りの象徴であります。詩編141編に、「わたしの祈りを御前に立ち昇る香りとし」とありますように、香は祈りの象徴であるのです。しかし、ここでは、「聖なる者たちの祈りに添えて」「聖なる者たちの祈りと共に」とありますから、文字通りの香を指しているようです。あるいは、この香は、天上にいる白い衣を着た大群衆の祈りを象徴しているのかも知れません。そうしますと、ここでは、天上の聖なる者たちの祈りと地上の聖なる者たちの祈りが一つになって、神様にささげられていると読むことができます。「聖なる者たちの祈り」の内容を、私たちは、6章10節から知ることができます。そこでは、殉教者たちが、大声でこう叫んでおりました。「真実で聖なる主よ、いつまで裁きを行わず、地に住む者たちにわたしたちの血の復讐をなさらないのですか」。ある研究者は、「聖なる者たちの祈り」とは、主の祈りの「御国が来ますように。御心が天で行われるように、地上でも行われますように」という祈りであると言っております。この聖なる者たちの祈りに答えて、神様は、天使に香炉の中にある火のついた炭を地上に投げつけることを許されるのです。エゼキエル書の10章を読みますと、エルサレムの滅亡を象徴する行為として、炭火が都の上にまき散らされたことが記されています。それと同じように、この行為は、地上の滅びを象徴しているのです。「雷、さまざまな音、稲妻、地震が起こった」とありますが、これらはいずれも神様の臨在を表す現象であります(出エジプト19章参照)。地上の滅び、災いは、神様によってもたらされるのです。
6節から13節までをお読みします。
さて、七つのラッパを持っている七人の天使たちが、ラッパを吹く用意をした。第一の天使がラッパを吹いた。すると、血の混じった雹と火とが生じ、地上に投げ入れられた。地上の三分の一が焼け、木々の三分の一が焼け、すべての青草も焼けてしまった。第二の天使がラッパを吹いた。すると、火で燃えている大きな山のようなものが、海に投げ入れられた。海の三分の一が血に変わり、また、被造物で海に住む生き物の三分の一は死に、船という船の三分の一が壊された。第三の天使がラッパを吹いた、すると、松明のように燃えている大きな星が、天から落ちて来て、川という川の三分の一と、その水源の上に落ちた。この星の名は「苦よもぎ」といい、水の三分の一が苦よもぎのように苦くなって、そのために多くの人が死んだ。第四の天使がラッパを吹いた。すると、太陽の三分の一、月の三分の一、星という星の三分の一が損なわれたので、それぞれ三分の一が暗くなって、昼はその光の三分の一を失い、夜も同じようになった。また、見ていると、一羽の鷲が空高く飛びながら、大声でこう言うのが聞こえた。「不幸だ、不幸だ、不幸だ、地上に住む者たち。なお三人の天使が吹こうとしているラッパの響きのゆえに。」
13節に、「不幸だ、不幸だ、不幸だ、地上に住む者たち」とあります。「地上に住む者たち」とは、「イエス・キリストを信じない者たち」、もっと言えば、「教会を迫害する者たち」のことであります。ですから、天使がラッパを吹くことによってもたらされるのは、聖なる者たちを除いた、地に住む者たちに対する災いであるのです。第一の災いから第四の災いがひとまとめにされておりますが、これはいずれも、自然界に対する災いであります。陸地、海、川、天体に災いがもたらされ、それによって地に住む者たちが被害をうけるのです。また、ここでは、「三分の一」という数字が繰り返し記されています。すべて滅ぼされるのではなく、三分の一が滅ぼされる。このことは、この災いが、警告としての意味を持っていることを示しています。天使がラッパを吹くことによってもたらされる災いは、地に住む者たちに、まことの神様への悔い改めを迫るものであるのです(黙示9:20、21参照)。また、天使がラッパを吹くことによってもたらされる災いは、聖なる者たちにとって、解放の時が近いことを示しています。そのことは、ここでの災いが、出エジプト記に記されている、十の災いを暗示するものであることから明かであります。出エジプト記の7章から11章までを読みますと、神様がモーセを通して、エジプトに十の災いをもたらされたことが記されています。神様はモーセを通して、力ある業を行うことにより、御自分がイスラエルと共におられる神、主であることをお示しになりました。エジプトの王ファラオが、奴隷であったイスラエルの人々を、エジプトから去らせたのは、このままでは、自分たちが滅びてしまうと思ったからであるのです。イスラエルの民は、十の災いによって、エジプトから脱出することができたのです。それと同じことが、ラッパの災いにおいても言えるのです。第一の天使がラッパを吹いたとき、「血の混じった雹と火が生じ、地上に投げ入れ」られました。これは、出エジプト記の第七の災い「雹の災い」を思い起こさせます(出エジプト9:13~35参照)。また、第二の天使がラッパを吹いたとき、「火で燃えている大きな山のようなものが、海に投げ入れられ」、「海の三分の一が血に変わ」りました。これは、出エジプト記の第一の災い、ナイル川の水が血に変わったという災いを思い起こさせます(出エジプト7章14~24参照)。第三の天使がラッパを吹くと、松明のように燃えている大きな星が川に落ちて、水が苦よもぎのように苦くなったことが記されています。これは、出エジプト記ではなく、エレミヤ書を背景としています。エレミヤ書9章を見ますと、主は、バアルに従ったイスラエルに、「見よ、わたしはこの民に苦よもぎを食べさせ、毒の水を飲ませる」と言われたことが記されています(エレミヤ9:14)。第四の天使がラッパを吹くと、太陽と月と星の三分の一が損なわれ、光を失いました。これは、出エジプト記の第九の災い「暗闇の災い」を思い起こさせます(出エジプト10:21~29参照)。このように四つの災いのうち、三つが出エジプト記の災いを暗示しているのです。このことは、ラッパの災いがもたらされることによって、私たちの解放の時が近づいていることを教えています。「御国を来たらせたまえ」という私たちの祈りは、ラッパの災いを通して、実現へと至るのです(黙示11:15~19参照)。