獣と偽預言者の滅び 2019年4月14日(日曜 夕方の礼拝)

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獣と偽預言者の滅び

日付
説教
村田寿和 牧師
聖書
ヨハネの黙示録 19章17節~21節

聖句のアイコン聖書の言葉

19:17 わたしはまた、一人の天使が太陽の中に立っているのを見た。この天使は、大声で叫び、空高く飛んでいるすべての鳥にこう言った。「さあ、神の大宴会に集まれ。
19:18 王の肉、千人隊長の肉、権力者の肉を食べよ。また、馬とそれに乗る者の肉、あらゆる自由な身分の者、奴隷、小さな者や大きな者たちの肉を食べよ。」
19:19 わたしはまた、あの獣と、地上の王たちとその軍勢とが、馬に乗っている方とその軍勢に対して戦うために、集まっているのを見た。
19:20 しかし、獣は捕らえられ、また、獣の前でしるしを行った偽預言者も、一緒に捕らえられた。このしるしによって、獣の刻印を受けた者や、獣の像を拝んでいた者どもは、惑わされていたのであった。獣と偽預言者の両者は、生きたまま硫黄の燃えている火の池に投げ込まれた。
19:21 残りの者どもは、馬に乗っている方の口から出ている剣で殺され、すべての鳥は、彼らの肉を飽きるほど食べた。ヨハネの黙示録 19章17節~21節

原稿のアイコンメッセージ

 前回、私たちは、イエス・キリストの再臨の幻について学びました。イエス・キリストは白い馬に乗って現れ、正義をもって裁き、戦われるのです。イエス・キリストは「王たちの王、主たちの主」である神その方として、諸国の民を裁かれるのです。今夕の御言葉はその続きです。

1 神の大宴会

 ヨハネはまた、一人の天使が太陽の中に立っているのを見ました。この天使は、大声で叫び、空高く飛んでいるすべての鳥にこう言ったのです。「さあ、神の大宴会に集まれ。王の肉、千人隊長の肉、権力者の肉を食べよ。また、馬とそれに乗る者の肉、あらゆる自由な身分の者、奴隷、小さな者や大きな者たちの肉を食べよ」。このことが実行されたことが、21節に記されています。「残りの者どもは、馬に乗っている方の口から出ている剣で殺され、すべての鳥は、彼らの肉を飽きるほど食べた」。鳥たちは、白い馬に乗っているイエス様によって殺される者どもの肉を食べるために、前もって集められるのです。あの獣と、地上の王たちとその軍勢が集まる前に、天使は、彼らの肉を食べる鳥を集められるのです。このことは、イエス様があの獣と、地上の王たちとその軍勢に対して、必ず勝利をされることを教えているのです。

 天使がすべての鳥に、神の大宴会に集まるよう呼びかける記述は、旧約聖書のエゼキエル書を背景にして記されています。旧約の1360ページです。

 エゼキエル書38章、39章には、マゴグの地のゴグに対する預言が記されています。39章の1節から4節までをお読みします。

 人の子よ、あなたはゴグに向かい預言して言いなさい。主なる神はこう言われる。メシェクとトバルの総首長ゴグよ。わたしはお前に立ち向かう。わたしはお前を立ち帰らせ、お前を導いて北の果てから連れ上り、イスラエルの山々に来させる。そして、お前の左手から弓を叩き落とし、右手から矢を落とさせる。お前とそのすべての軍隊も、共にいる民も、イスラエルの山の上で倒れる。わたしはお前をあらゆる種類の猛禽と野の獣の餌食として与える。

 飛んで、17節から20節までをお読みします。

 人の子よ、主なる神はこう言われる。あらゆる種類の猛禽と、あらゆる種類の野の獣に語りなさい。お前たちは集まれ。来て、わたしがお前たちのために屠ったわたしの犠牲に向かい周囲から集まれ、それはイスラエルの山々の大いなる犠牲である。お前たちはその肉を食らい、その血を飲め。勇士たちの肉を食らい、国の支配者たちの血を飲め。それは雄羊、小羊、雄山羊、雄牛であり、みなバシャンの肥えた動物たちである。お前たちは、わたしがお前たちのために屠った犠牲から、飽きるまで脂肪を食べ、酔うまで血を飲むがよい。お前たちはわたしの食卓で、馬や騎兵、勇士やすべての兵士たちの肉を飽きるまで食べる、と主なる神は言われる。わたしは国々の間にわが栄光を現し、国々はすべてわたしの行う裁きと、彼らの上に置くわたしの手を見る。

 このようなエゼキエル書の預言を背景にして今夕の御言葉は記されているのです。エゼキエルの預言は、最終的には、イエス・キリストに戦いを挑む者たちの上に実現するのです。

 では、今夕の御言葉に戻ります。新約の476ページです。

 死体を葬ってもらえずに、野ざらしにされ、鳥に食べられる。このことは、神様の罰であり、呪いと考えられていました。申命記の28章は、「神の祝福」と「神の呪い」について記しています。その神の呪いの一つとして、こう記されています。「あなたの死体は、すべての空の鳥、地の獣の餌食となり、それを脅かして追い払う者もいない」(申命28:26)。イエス・キリストに戦いを挑む者たちは、そのような呪いの死を死ぬことになるわけです。

 神の大宴会においてふるまわれるのは、「王の肉、千人隊長の肉、権力者の肉、馬とそれに乗る者の肉、あらゆる自由の身分の者の肉、奴隷の肉、小さな者の肉、大きな者の肉」であります。このことは、イエス様によって殺される者たちが、あらゆる者たちからなっていることを教えています。どのような地位や身分にあっても、彼らは獣の刻印を受けて、獣を拝んでいたことにおいては同じであるのです。彼らは、神ではないものを神として拝む偶像崇拝の罪のゆえに、その死体を野ざらしにされ、鳥の餌食となるという呪いの死を死ぬことになるのです。

2 獣と偽預言者の滅び 

 ヨハネはまた、あの獣と、地上の王たちとその軍勢とが、馬に乗っている方とその軍勢に対して戦うために、集まっているのを見ました。このことは、16章の12節から16節に記されていたことです。新約の470ページです。

 第六の天使が、その鉢の中身を大きな川、ユーフラテスに注ぐと、川の水がかれて、日の出る方角から来る王たちの道ができた。わたしはまた、竜の口から、獣の口から、そして、偽預言者の口から、蛙のような汚れた三つの霊が出て来るのを見た。これはしるしを行う悪霊どもの霊であって、全世界の王たちのところへ出て行った。それは、全能者である神の大いなる日の戦いに備えて、彼らを集めるためである。-見よ、わたしは盗人のように来る。裸で歩くのを見られて恥をかかないように、目を覚まし、衣を身につけている人は幸いである-汚れた霊どもは、ヘブライ語で「ハルマゲドン」と呼ばれる所に、王たちを集めた。

 この続きが、今夕の御言葉に記されているのです。新約の476ページに戻りましょう。

 ハルマゲドンでの最終決戦ですから、どれほどの戦いが繰り広げられたのかと思うのですが、そのことは全く記されていません。ただ戦いの結果だけが、「獣は捕らえられ、また、獣の前でしるしを行った偽預言者も、一緒に捕らえられた」と記されているだけです。イエス様が勝利することは、17章12節から14節に記されていました。新約の472ページです。

 また、あなたが見た十本の角は、十人の王である。彼らはまだ国を治めていないが、ひとときの間、獣と共に王の権威を受けるであろう。この者どもは、心を一つにしており、自分たちの力と権威を獣にゆだねる。この者どもは小羊と戦うが、小羊は主の主、王の王だから、彼らに打ち勝つ。小羊と共にいる者、召された者、選ばれた者、忠実な者たちもまた、勝利を収める。

 このように「王たちの王、主たちの主」であるイエス様が勝利を収めることは、すでに告げられていたのです。

 では、今夕の御言葉に戻りましょう。新約の476ページです。

 今夕の御言葉に戦いの様子が全く記されておらず、その結果だけが記されていることについて、ある研究者(M・E・ボーリング)は次のように述べています。「戦いは描かれていない。ヨハネの神学においてあるはずがないのである。決定的な戦いは、遠い昔に勝利を得ている。終末は、その勝利が現実となり、明らかになることにすぎない」(現代聖書注解301ページ)。イエス・キリストは、十字架の死と復活によって、決定的な勝利を収めておられる。終末は、その勝利が現実となり、明らかになるにすぎない。よって、戦いそのものがないと言うのです。イエス様が勝つか、獣が勝つかは、やってみなければ分からないということではなくて、イエス様は必ず勝利されるのです。なぜなら、イエス様は、十字架の死と復活によって、決定的な勝利を収めておられるからです。イエス様は、ヨハネによる福音書16章33節で、「わたしは既に世に勝っている」と言われました。イエス様は十字架の死と復活によって、悪魔に勝利されたのです。悪魔に勝利されたイエス様は、悪魔の手下である獣と偽預言者にも勝利されるのです。

 イエス様が十字架の死と復活によって、悪魔に勝利されたことは、12章の記述からも分かります。12章には、天に居場所がなくなった竜が、地上に投げ落とされたことが記されていました。12章5節から9節までをお読みします。新約の465ページです。

 女は男の子を産んだ。この子は、鉄の杖ですべての国民を治めることになっていた。子は神のもとへ、その玉座へ引き上げられた。女は荒れ野へ逃げ込んだ。そこには、この女が1260日の間養われるように、神の用意された場所があった。

 さて、天で戦いが起こった。ミカエルとその使いたちが、竜に戦いを挑んだのである。竜とその使いたちも応戦したが、勝てなかった。そして、もはや天には彼らの居場所がなくなった。その巨大な竜、年を経た蛇、悪魔とかサタンとか呼ばれるもの、全人類を惑わす者は、投げ落とされた。地上に投げ落とされたのである。その使いたちも、もろともに投げ落とされた。

 7節に「ミカエル」とありますが、このミカエルは、神の玉座に引き上げられた男の子、イエス・キリストを指しています。イエス・キリストが十字架の死から復活され、天に昇られ、父なる神の右の座に着かれたことによって、悪魔は天に居場所を失い、地上に投げ落とされたのです。そして、イエス・キリストを信じる者たちと戦うために、二匹の獣を呼び出したのでありました(13章参照)。その二匹の獣とは、皇帝崇拝を強要したローマ帝国と、皇帝崇拝を広めた偽預言者であったのです。この偽預言者のしるしによって、多くの人は惑わされ、獣の刻印を受け、獣の像を拝んだのです。

 では、今夕の御言葉に戻ります。新約の476ページです。

イエス様は、捕らえた獣と偽預言者を、生きたまま、硫黄の燃えている火の池に投げ込まれます。このようにして、獣と偽預言者たちは永遠に苦しむことになるのです。また、獣と偽預言者たちに惑わされていた者たちも、イエス様の口から出ている剣によって殺され、鳥の餌食となるのです。

 今夕の説教題を「獣と偽預言者の滅び」としました。私たちは、イエス・キリストの再臨に続いて、「獣と偽預言者の滅び」が記されていることを心に留めたいと思います。再臨されたイエス様は、最初に何をされるのか。それは、御自分の民を迫害していた獣と偽預言者と獣の刻印を受けた者たちを滅ぼすことであるのです。

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