祝福されたヨブ 2025年2月26日(水曜 聖書と祈りの会)
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祝福されたヨブ
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- 村田寿和 牧師
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ヨブ記 42章10節~17節
聖書の言葉
42:10 ヨブが友人たちのために祈ったとき、主はヨブの繁栄を回復した。そして、主はヨブの財産すべてを二倍に増やした。
42:11 彼の兄弟、姉妹、かつての知人たちはこぞって彼のもとを訪れ、彼の家で食事を共にした。彼らは、主が彼にもたらした災いについていたわり慰め、彼にそれぞれ銀一ケシタと金の輪一つを贈った。
42:12 主はその後のヨブを以前に増して祝福した。彼には羊一万四千匹、らくだ六千頭、牛千軛、雌ろば千頭が与えられた。
42:13 また彼には七人の息子と三人の娘が与えられた。
42:14 彼は長女をエミマ、次女をケツィア、三女をケレン・プクと名付けた。
42:15 ヨブの娘たちのような美しい女は地のどこにも見いだせなかった。父は、彼女たちにも兄弟たちの間に相続地を与えた。
42:16 この後、ヨブは百四十年生き、子、孫、四代の先まで見届けた。
42:17 ヨブは老いた後、生涯を全うして死んだ。
ヨブ記 42章10節~17節
メッセージ
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2023年7月から『ヨブ記』を学んで来ましたが、今朝はその最後の学びとなります。私たちはおよそ1年8か月に渡って『ヨブ記』を学んできたのです。今朝は、第42章10節から17節より、御言葉の恵みにあずかりたいと願います。
10節と11節をお読みします。
ヨブが友人たちのために祈ったとき、主はヨブの繁栄を回復した。そして、主はヨブの財産すべてを二倍に増やした。彼の兄弟、姉妹、かつての知人たちはこぞって彼のもとを訪れ、彼の家で食事を共にした。彼らは、主が彼にもたらした災いについていたわり慰め、彼にそれぞれ銀一ケシタと金の輪一つを贈った。
主がヨブの繁栄を回復したのは、ヨブが友人たちのために祈ったときでした。ヨブは友人たちと和解して、彼らが主から恥辱を受けることがないように、執り成しの祈りをささげたのです。そのときに、主はヨブの繁栄を回復した。具体的に言えば、主はヨブの悪性の腫れ物を癒してくださり、ヨブの財産をすべて二倍に増やしたのです。10節には、主がヨブの悪性の腫れ物を癒されたとは記されていませんが、11節に、ヨブが自分の家で家族や知人たちと食事を共にしていることから、そのことが分かります。ヨブが友人たちのために祈ったとき、主がヨブの繁栄を回復したことは、ヨブの繁栄の回復がヨブの悔い改めの結果ではないことを示しています。ヨブの苦難がヨブの罪の結果ではなかったように、ヨブの回復はヨブの悔い改めの結果でもないのです。つまり、ヨブの苦難と回復は、応報思想とは関係ないものとして記されているのです。友人たちは、ヨブが罪を認めて、悔い改めるならば、神はヨブを祝福してくださるであろうと語りました(ヨブ22:21〜23参照)。しかし、ヨブの繁栄が回復されたのは、ヨブが悔い改めたときではなく、ヨブが友人たちのために祈ったときであったのです。主はヨブの悔い改めとは関係なく、一方的な恵みとして、ヨブの繁栄を回復したのです。主は憐れみに満ち、慈しみ深い御方であるのです(ヤコブ5:11参照)。
主がヨブの繁栄を回復してくださったことを知って、彼の兄弟、姉妹、知人たちがこぞってヨブのもとを訪れ、食事を共にしました。彼らは主がヨブにもたらした災いについていたわり慰め、銀一ケシタと金の輪一つを送りました(ケシタの重さは不明)。ヨブが苦難の中にあったとき、兄弟、姉妹、知人たちはヨブから離れて行きました(ヨブ19:13、14参照)。しかし、主がヨブの繁栄を回復されたことを知って、彼らは再びヨブのもとを訪れたのです。このようにして、ヨブは人々との交わりに生きる者としても回復されたのです。
12節から17節までをお読みします。
主はその後のヨブを以前にも増して祝福した。彼には羊一万四千匹、らくだ六千頭、牛千軛、雌ろば千頭が与えられた。また彼には七人の息子と三人の娘が与えられた。彼は長女をエミマ、次女をケツィア、三女をケレン・プクと名付けた。ヨブの娘たちのような美しい女は地のどこにも見いだせなかった。父は彼女たちにも兄弟たちの間に相続地を与えた。
この後、ヨブは百四十年生き、子、孫、四代の先まで見届けた。ヨブは老いた後、生涯を全うして死んだ。
10節に、「主はヨブの財産すべてを二倍に増やした」とありましたが、ここではかつてヨブが所有していた家畜の数がいずれも二倍になっています(ヨブ1:3「また、彼は羊七千匹、らくだ三千頭、牛五百軛、雌ろば五百頭の家畜を持ち」参照)。しかし、子供の数は同じですね。主はヨブに七人の息子と三人の娘を与えられました。このことは、子供が単なる財産ではなく、その一人一人がかけがえのない存在であることを示しています。ヨブには、七人の息子と三人の娘が与えられました。しかし、ヨブは、倒れた家の下敷きになって死んだ子供たちを忘れることはなかったと思います。そのような意味で、ヨブの悲しみは完全に癒されることはなかったのです。
ここには、三人の娘の名前が記されています。長女のエミマは「鳩」という意味です。次女のケツィアは「シナモンの花」という意味です。三女のケレン・プクは「化粧の小箱」という意味です。ヨブの娘たちは大変美しかったと書いてあります。また、ヨブは娘たちにも兄弟たちの間に相続地を与えました。イスラエルにおいて、娘たちが相続地を受け継ぐのは、息子がいない場合だけでした(民数27:1〜11参照)。しかし、ヨブは娘たちにも相続地を受け継がせたのです。それほどまでに、主はヨブを祝福されたのです。
この後、ヨブは140年生き、子や孫や、四代先まで見届けました。このことは、当時の価値観によれば最高の祝福です(詩90:10「私たちのよわいは七十年」、詩128:6「子や孫を見ることができるように」参照)。ヨブは老いた後、人生に満足して死んだのです。
『ヨブ記』の終わりは、いわゆるハッピーエンドであります。そして、そのことは、イエス・キリストを信じる私たちにおいても言えるのです。私たちは、ヨブのように、この地上で繁栄することはないかも知れません。しかし、私たちは、新しい天と新しいにおいて、父なる神と主イエス・キリストにお会いして、完全な祝福にあずかることができるのです。そのような意味で、ヨブの繁栄の回復と祝福は、私たちが新しい天と新しい地であずかる祝福の先取りであると言えるのです。