エルサレムへの帰還 2023年2月01日(水曜 聖書と祈りの会)
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エルサレムへの帰還
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- 村田寿和 牧師
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サムエル記下 19章9節~15節
聖書の言葉
19:9 イスラエル軍はそれぞれ自分の天幕に逃げ帰った。
19:10 イスラエル諸部族の間に議論が起こった。「ダビデ王は敵の手から我々を救い出し、ペリシテの手からも助け出してくださった。だが今は、アブサロムのために国外に逃げておられる。
19:11 我々が油を注いで王としたアブサロムは戦いで死んでしまった。それなのに、なぜあなたたちは黙っているばかりで、王を連れ戻そうとしないのか。」
19:12 イスラエルのすべての人々の声はダビデ王の家にまで届いた。王は、祭司ツァドクとアビアタルのもとに人を遣わしてこう言った。「ユダの長老たちにこう言ってくれ。あなたたちは王を王宮に連れ戻すのに遅れをとるのか。
19:13 あなたたちはわたしの兄弟、わたしの骨肉ではないか。王を連れ戻すのに遅れをとるのか。
19:14 アマサに対してはこう言ってくれ。お前はわたしの骨肉ではないか。ヨアブに代えてこれから先ずっと、お前をわが軍の司令官に任じないなら、神が幾重にもわたしを罰してくださるように。」
19:15 ダビデはユダのすべての人々の心を動かして一人の人の心のようにした。ユダの人々は王に使者を遣わし、「家臣全員と共に帰還してください」と言った。サムエル記下 19章9節~15節
メッセージ
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今朝は、『サムエル記下』の第19章9節後半から15節より、「エルサレムへの帰還」という題でお話しします。
ダビデの家臣たちに大敗北を喫したイスラエル軍はそれぞれ自分の天幕に逃げ帰りました。そのイスラエル諸部族の間に議論が起こります。自分たちが油を注いで王としたアブサロムが死んでしまった今、ダビデを王として連れ戻そうとする者たちがいたのです。彼らは次のように主張しました。「ダビデ王は敵の手から我々を救い出し、ペリシテ人の手からも助け出してくださった。だが今は、アブサロムのために国外に逃げておられる。我々が油を注いで王としたアブサロムは戦いで死んでしまった。それなのに、なぜあなたたちは黙っているばかりで、王を連れ戻そうとしないのか」。このようなイスラエルの人々の声は、マハナイムにいるダビデのもとに届きました。ダビデは、アブサロムを支持していた人々が、自分を王として迎えたいと願っていることを知って喜んだと思います。それで、ダビデは、エルサレムにいる祭司ツァドクとアビアタルのもとに人を遣わしてこう言ったのです。「ユダの長老たちにこう言ってくれ。あなたたちは王を王宮に連れ戻すのに遅れをとるのか。あなたたちはわたしの兄弟、わたしの骨肉ではないか。王を連れ戻すのに遅れをとるのか。アマサに対してはこう言ってくれ。お前はわたしの骨肉ではないか。ヨアブに代えてこれから先ずっと、お前をわが軍の司令官に任じないなら、神が幾重にもわたしを罰してくださるように」。私たちは、ここで、最初にダビデがユダの王となったこと。その後で、ユダとイスラエルの王となったことを思い起こしたいと思います。ダビデがユダの王となったことについては、第2章1節から4節前半に記されていました。旧約の481ページです。
その後ダビデは主に託宣を求めて言った。「どこかユダの町に上るべきでしょうか。」主は言われた。「上れ。」更にダビデは尋ねた。「どこへ上ればよいのでしょうか。」「ヘブロンへ」と主はお答えになった。
そこでダビデは二人の妻、イズレエルのアヒノアムとカルメルのナバルの妻であったアビガイルを連れて、ヘブロンへ上った。ダビデは彼に従っていた兵をその家族と共に連れて上った。こうして彼らはヘブロンの町々に住んだ。ユダの人々はそこに来て、ダビデに油を注ぎ、ユダの家の王とした。
また、ダビデがユダだけではなく、イスラエルの王となったことについては、第5章1節から5節に記されていました。旧約の487ページです。
イスラエルの全部族はヘブロンのダビデのもとに来てこう言った。「御覧ください。わたしたちはあなたの骨肉です。これまで、サウルがわたしたちの王であったときにも、イスラエルの進退の指揮をとっておられたのはあなたでした。主はあなたに仰せになりました。『わが民イスラエルを牧するのはあなただ。あなたがイスラエルの指導者となる』と。」
イスラエルの長老たちは全員、ヘブロンの王のもとに来た。ダビデ王はヘブロンで主の御前に彼らと契約を結んだ。長老たちはダビデに油を注ぎ、イスラエルの王とした。
ダビデは三十歳で王となり、四十年間王位にあった。七年六か月の間ヘブロンでユダを、三十三年の間エルサレムでイスラエルとユダの全土を統治した。
このようにダビデは、最初にユダの王となり、その七年六か月後にイスラエルの王となったのです。ユダとイスラエルは、ダビデを王とすることによって結ばれた連合国家であったのです(パーソナルユニオン)。
今朝の御言葉に戻ります。旧約の512ページです。
ダビデは、同じ部族であり、付き合いの長いユダの長老たちに、「王を王宮に連れ戻すのに遅れを取ってはならない」と繰り返して語ります。ユダ族の中にも、ダビデよりもアブサロムを支持していた者たちがいたのです。彼らは、ダビデから報復されるのではないかと恐れていたのでしょう。そのことを察して、ダビデは、アブサロムが軍の司令官にしたアマサを、ヨアブに代えてこれから先ずっと、軍の司令官に任じることを神様に誓うのです。そのようにして、ダビデは、アブサロムを支持したユダ族の者を罰するつもりはないという意志を表したのです。また、このことは、ヨアブを軍の司令官から外すことをも意味しています。おそらくダビデは、ヨアブが息子アブサロムを殺害したことを知っていたのでしょう。アブサロムを最初に発見した無名の兵士が言っていたように、「王には何一つ隠せない」のです(18:13参照)。それは、目撃した者が王に必ず伝えるということです。また、ダビデは、息子のアブサロムの死を悲しんでいたときに、ヨアブから厳しい言葉をかけられたことを根に持っていたのかも知れません。ともかく、ダビデは、ヨアブに代えてアマサを軍の司令官に任じることによって、アブサロムを支持した者たちを罰しないことを示しました。ユダの人々はそのことを理解したからこそ、一人の人の心のようになって(全会一致で)ダビデ王をエルサレムの王宮に連れ戻すことにしたのです。ユダの人々は、王に使者を遣わし、「家臣全員と共に帰還してください」と言いました。ダビデは、ユダの人々から「家臣全員と共に帰還してください」との願いを受けて、王としてエルサレムに帰還することができたのです。私たちには、ダビデの子孫であるイエス・キリストが永遠の王として与えられています。天におられるイエス・キリストが再び地上に来てくださるのは、私たちが「主イエスよ、来てください」と切に祈り求めるからであるのです(黙示22:20)。