ダビデとツィバ 2022年10月26日(水曜 聖書と祈りの会)
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ダビデとツィバ
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- 村田寿和 牧師
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サムエル記下 16章1節~4節
聖書の言葉
16:1 ダビデが山頂を少し下ったときに、メフィボシェトの従者ツィバが、ダビデを迎えた。彼は二頭の鞍を置いたろばに、二百個のパン、百房の干しぶどう、百個の夏の果物、ぶどう酒一袋を積んでいた。
16:2 王が、「お前はこれらのものをどうするのか」と尋ねると、ツィバは、「ろばは王様の御家族の乗用に、パンと夏の果物は従者の食用に、ぶどう酒は荒れ野で疲れた者の飲料に持参いたしました」と答えた。
16:3 王がツィバに、「お前の主人の息子はどこにいるのか」と尋ねると、ツィバは王に、「エルサレムにとどまっています。『イスラエルの家は今日、父の王座をわたしに返す』と申していました」と答えた。
16:4 王はツィバに、「それなら、メフィボシェトに属する物はすべてお前のものにしてよろしい」と言った。ツィバは、「お礼申し上げます。主君である王様の御厚意にあずかることができますように」と言った。サムエル記下 16章1節~4節
メッセージ
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今朝は、『サムエル記下』の第16章1節から4節より、「ダビデとツィバ」という題でお話します。
前回、私たちはオリーブ山の頂上にある神を礼拝する場所で、アルキ人フシャイがダビデを迎えたことを学びました。主は、ダビデの祈り、「主よ、アヒトフェルの助言を愚かなものにしてください」という祈りに応えて、フシャイを備えてくださったのです。そして、ダビデは、アヒトフェルの助言を覆すために、フシャイをスパイ(秘密裏に敵の情報を得る人)として都に戻したのです。今朝の御言葉は、その続きであります。
ダビデが山頂を少し下ったときに、メフィボシェトの従者(主人の供をする者)ツィバが、ダビデを迎えました。メフィボシェトは、サウルの息子ヨナタンの息子です。サウルの孫にあたります。また、ツィバはサウル家に仕える者でありました。メフィボシェトとツィバについては、第9章に記されていました。少し長いですが、お読みします。旧約の493ページです。
ダビデが言った。「サウル家の者がまだ生き残っているならば、ヨナタンのために、その者に忠実を尽くしたい。」サウル家に仕えていたツィバという名の者がダビデのもとに呼び出された。
「お前がツィバか」と王が尋ねると、「僕でございます」と彼は答えた。王は言った。「サウル家には、もうだれも残っていないのか。いるならば、その者に神に誓った忠実を尽くしたいのだが。」「ヨナタンさまの御子息が一人おられます。両足の萎えた方でございます」とツィバは王に答えた。王は「どこにいるのか」と問い、ツィバは王に、「ロ・デバルにあるアミエルの子マキルの家におられます」と答えた。ダビデ王は人を遣わし、ロ・デバルにあるアミエルの子マキルの家から彼を連れて来させた。サウルの子ヨナタンの子メフィボシェトは、ダビデの前に来るとひれ伏して礼をした。「メフィボシェトよ」とダビデが言うと、「僕です」と彼は答えた。「恐れることはない。あなたの父ヨナタンのために、わたしはあなたに忠実を尽くそう。父祖サウルの地所はすべて返す。あなたはいつもわたしの食卓で食事をするように」とダビデが言うと。メフィボシェトは礼をして言った。「僕など何者でありましょうか。死んだ犬も同然のわたしを顧みてくださるとは。」
王は、サウルの従者であったツィバを呼んで言った。「サウルとその家の所有であったものはすべてお前の主人の子息に与えることにした。お前は息子たち、召使いたちと共に、その土地を耕して収穫を上げ、お前の主人の子息のために生計を立てよ。お前の主人の子息メフィボシェトは、いつもわたしの食卓で食事をすることになる。」ツィバには十五人の息子と二十人の召し使いがいた。ツィバは王に答えた。「私の主君、王が僕にお命じになりましたことはすべて、僕が間違いなく実行いたします。」メフィボシェトは王子の一人のように、ダビデの食卓で食事をした。メフィボシェトにはミカという幼い息子がいた。ツィバの家に住む者は皆、メフィボシェトの召し使いとなった。メフィボシェトは王の食卓に連なるのが常のことであり、両足とも不自由なので、エルサレムに住んだ。
少し長く読みましたが、私たちは、今朝の御言葉を、第9章の御言葉を念頭において読み進めていきたいと思います。
では、今朝の御言葉に戻ります。旧約の505ページです。
メフィボシェトの従者ツィバは、二頭の鞍を置いたろばに、200個のパン、100房の干しぶどう、100個の夏の果物、ぶどう酒一袋を積んでいました(サムエル上25:18参照)。ダビデ王が、「お前はこれらのものをどうするのか」と尋ねると、ツィバは、「ろばは王様の御家族の乗用に、パンと夏の果物は従者の食用に、ぶどう酒は荒れ野で疲れた者の飲料に持参しました」と答えました。ツィバは、ダビデに、ろばと食べ物と飲み物を提供することにより、自分がアブサロムではなく、ダビデを支持する者であることを表したのです。王はツィバに、「お前の主人の息子はどこにいるのか」と尋ねました。ここでの「お前の主人」はサウルのことです。ダビデは、ツィバがサウルに仕える者であったことを忘れてはいないのです。また、ここでの「息子」は子孫という意味で、孫も含まれます。ダビデは、「お前の主人サウルの孫であるメフィボシェトはどこにいるのか」と尋ねたのです。すると、ツィバは、こう答えました。「エルサレムにとどまっています。『イスラエルの家は今日、父の王座をわたしに返す』と申していました」。ツィバは、メフィボシェトがダビデではなく、アブサロムを支持することを表明して、エルサレムにとどまっていると言ったのです。これは嘘であったと思います。両足が萎えていたメフィボシェトが王位を狙っていたとは考えにくいからです。事実、第19章で、メフィボシェト自身が、僕に欺かれたと証言しています。旧約の513ページ。第19章25節から28節の前半までをお読みします。
サウルの孫メフィボシェトも王を迎えに下って来た。彼は、王が去った日から無事にエルサレムに帰還する日まで、足も洗わず、ひげもそらず、衣服も洗わなかった。彼が王を迎えに出ると、王は、「メフィボシェトよ、なぜお前はわたしに従って来なかったのか」と尋ねた。彼は言った。「主君、王よ、僕に欺かれたのです。わたしは足が不自由ですから、ろばに鞍を置き、それに乗って王様に従って行こうと考えておりました。ところがあの僕が主君、王にわたしのことを中傷したのです。」
このように、ツィバの言葉は、メフィボシェトに対する中傷(根拠のない悪口で他人の名誉を傷つけること)であったのです。
では、今朝の御言葉に戻ります。旧約の506ページです。
ツィバの言葉は、メフィボシェトに対する中傷でした。しかし、王はツィバに、こう答えます。「それなら、メフィボシェトに属する者はすべてお前のものにしてよろしい」。このようにダビデが答えたのは、アブサロムの反逆がサウル家にとって、再興(もう一度盛んにすること)の良い機会であったからです。かつてダビデは、王として、サウルの地所をメフィボシェトに与えました。そのメフィボシェトが反旗をひるがえしたと聞いて、自分に食べ物と飲み物を提供してくれたツィバに、メフィボシェトに属する物を与えるのです。すると、ツィバはこう言いました。「お礼申し上げます。主君である王様の御厚意にあずかることができますように」。ダビデは、ツィバを「サウルの僕」と呼びましたが、ツィバは、ダビデを「わたしの主人(わたしのアドナイ)である王」と呼ぶのです。このようにして、ツィバは、土地を管理する者から土地を所有する者となったのです。メフィボシェトのために収穫をあげ、生計を立てていたツィバが、その収穫をすべて自分のものにすることができるようになったのです。ダビデたちに提供したろばや食べ物や飲み物は、そのための投資であったと言えるのです。
今朝の御言葉で、ツィバはダビデたちに、ろばと食べ物と飲み物を提供しました。これらのものは、ダビデたちにとって助けになったと思います。しかし、ツィバはダビデのことを心から思っているわけではありません。ツィバは、アブサロムの反逆とダビデ王のエルサレムからの逃亡という混乱の中で、自分がどうすれば最大の利益を得ることができるかを考えて行動したのです。けれども、神様は、そのようなツィバを用いて、ダビデにろばと食べ物と飲み物とを与えてくださったのです。