ダビデとツァドク 2022年10月12日(水曜 聖書と祈りの会)
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ダビデとツァドク
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- 村田寿和 牧師
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サムエル記下 15章24節~29節
聖書の言葉
15:24 ツァドクをはじめレビ人全員が神の契約の箱を担いで来ており、兵士全員が都を去るまで神の箱を降ろしていた。アビアタルも来ていた。
15:25 王はツァドクに言った。「神の箱は都に戻しなさい。わたしが主の御心に適うのであれば、主はわたしを連れ戻し、神の箱とその住む所とを見せてくださるだろう。
15:26 主がわたしを愛さないと言われるときは、どうかその良いと思われることをわたしに対してなさるように。」
15:27 王は祭司ツァドクに向かって言葉を続けた。「分かったか。平和にエルサレムに戻ってもらいたい。息子のアヒマアツとアビアタルの子ヨナタン、この二人の若者を連れて帰りなさい。
15:28 分かったか。わたしはあなたたちからの知らせを受けるまで、荒れ野の渡し場で待っている。」
15:29 ツァドクとアビアタルは神の箱と共にエルサレムに戻り、そこにとどまった。サムエル記下 15章24節~29節
メッセージ
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今朝は、『サムエル記下』の第15章24節から29節より、「ダビデとツァドク」という題でお話しします。
第8章17節に、「アヒトブの子ツァドクとアビアタルの子アヒメレクは共に祭司」と記されています。二人目の「アビアタルの子アヒメレク」は親の名前と子供の名前が逆で、正しくは「アヒメレクの子アビアタル」です。ツァドクとアビアタルの二人が祭司として主に仕えていたのです。アビアタルは、ダビデがサウルの手を逃れていたときから、ダビデに従って来た祭司です(サムエル上22:20参照)。ツァドクについてはよく分かりませんが、今朝の御言葉を読むと、契約の箱の管理はツァドクに委ねられていたようです。ダビデに従ってエルサレムを出たのは、家臣や兵士たちだけではありませんでした。ツァドクをはじめレビ人全員が神の契約の箱を担いで来ていたのです。前回、ダビデ王の前を兵士たちが通っていたお話しを読みました。その兵士全員が都を去るまで神の箱を降ろして待っていたのです。また、アビアタルも来ておりました。彼らは神の箱を担いで、ダビデとその兵士たちの後に従って行こうとしていたようです。しかし、ダビデ王は、祭司ツァドクにこう言いました。「神の箱は都に戻しなさい。わたしが主の御心に適うのであれば、主はわたしを連れ戻し、神の箱とその住む所を見せてくださるだろう。主がわたしを愛さないと言われるときは、どうかその良いと思われることをわたしに対してなさるように」。神の契約の箱の蓋は贖いの座であり、そこに神様は臨在されます。神の箱は、神様の臨在を表すものであるのです。ツァドクは、神の箱を担いでダビデに従うことにより、神様がアブサロムではなく、ダビデの側におられることを示そうとしたのでしょう。ツァドクは、神の箱を、政治的な道具として利用しようとしたのです(サムエル上4章参照)。しかし、ダビデは、「神の箱を都に戻しなさい」と言うのです。そして、神の箱によって、神様をコントロールするのではなく、神様の自由な主権に、自らを委ねるのです。それは、ダビデが、今、起こっていることを、ナタンから聞いた神様の御言葉と結びつけて理解していたからです。かつてダビデは、預言者ナタンからこう言われていました。「なぜ主の言葉を侮り、わたしの意に背くことをしたのか。あなたはヘト人ウリヤを剣にかけ、その妻を奪って自分の妻とした。ウリヤをアンモン人の剣で殺したのはあなただ。それゆえ、剣はとこしえにあなたの家から去らないであろう。・・・見よ、わたしはあなたの家の者の中からあなたに対して悪を働く者を起こそう」(12:9~11)。ダビデは、預言者ナタンから、ウリヤを剣にかけて殺した罰として、自分の家から剣が去らないこと。自分の家の者の中から自分に対して悪を働く者が起こされることを聞いていたのです。それゆえ、ダビデは、アブサロムの反逆をナタンの預言の実現として理解していたのです。ダビデは、主の御前にへりくだって、「わたしが主の御心に適うのであれば、主はわたしを連れ戻し、神の箱とその住む所を見せてくださるだろう。主がわたしを愛さないと言われるときは、どうかその良いと思われることをわたしに対してなさるように」と言うことができたのです。
このように、王は祭司たちと神の箱を都に帰すのですが、そこには別の目的がありました。王は祭司ツァドクにこう言います。「分かったか。平和にエルサレムに戻ってもらいたい。息子のアヒマアツとアビアタルの子ヨナタン、この二人の若者を連れて帰りなさい。分かったか。わたしはあなたたちからの知らせを受けるまで、荒れ野の渡し場で待っている」。ダビデは祭司ツァドクを、アブサロムの動向を探るスパイとして、エルサレムにとどまらせるのです。ダビデは、主の自由な主権に、自らを委ねるのですが、何もしないわけではありません。ダビデは、祭司たちをスパイとしてエルサレムに戻し、アブサロムの動向を探り、対策を練るのです。こうして、ツァドクとアビアタルは神の箱と共にエルサレムに戻り、そこにとどまったのでした。
ここで、ダビデは、主に依り頼むのではなく、自分の知恵に依り頼んでいるように思えます。しかし、そうではありません。ダビデが拒否したのは、神の箱を偶像のように扱うことであって、主に信頼することではないのです。ダビデは、主に信頼しつつ、祭司たちをスパイとして、エルサレムに戻したのです。ダビデは、主が自分を連れ戻し、神の箱とその住むところを見せてくださることを願う者として、そのためにできる最善のことをしたのです。ダビデが、主に信頼しつつ、アブサロムから逃れたことは、『詩編』の第3編に記されています。今朝は、『詩編』第3編を読んで終わりたいと思います。旧約の836ページです。
賛歌。ダビデの詩。ダビデがその子アブサロムを逃れたとき。
主よ、わたしを苦しめる者は/どこまで増えるのでしょうか。多くの者がわたしに立ち向かい/多くの者がわたしに言います。「彼に神の救いなどあるものか」と。主よ、それでも/あなたはわたしの盾、わたしの栄え/わたしの頭を高くあげてくださる方。主に向かって声をあげれば/聖なる山から答えてくださいます。身を横たえて眠り/わたしはまた、目覚めます。主が支えていてくださいます。いかに多くの民に包囲されても/決して恐れません。主よ、立ち上がってください。わたしの神よ、お救いください。すべての敵の顎を打ち/神に逆らう者の歯を砕いてください。救いは主のもとにあります。あなたの祝福が/あなたの民の上にありますように。