アブサロムの復讐 2022年8月10日(水曜 聖書と祈りの会)
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アブサロムの復讐
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- 村田寿和 牧師
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サムエル記下 13章23節~39節
聖書の言葉
13:23 それから二年たった。エフライムに接するバアル・ハツォルにアブサロムの羊の毛を刈る者が集まった。アブサロムは王子全員を招待し、
13:24 王のもとに行って願った。「僕は羊の毛を刈る者を集めました。どうぞ王御自身、家臣を率いて、僕と共にお出かけください。」
13:25 王はアブサロムに言った。「いや、わが子よ、全員で行くこともあるまい。お前の重荷になってはいけない。」アブサロムは懇願したが、ダビデは出かけることを望まず、ただ祝福を与えた。
13:26 アブサロムは言った。「それなら、兄アムノンをわたしたちと共に行かせてください。」王は彼に、「なぜアムノンを同行させるのか」と言ったが、
13:27 アブサロムが重ねて懇願したので、アムノンと王子全員をアブサロムに同行させた。
13:28 アブサロムは自分の従者たちに命じて言った。「いいか。アムノンが酒に酔って上機嫌になったとき、わたしがアムノンを討てと命じたら、アムノンを殺せ。恐れるな。これはわたしが命令するのだ。勇気を持て。勇敢な者となれ。」
13:29 従者たちは、アブサロムの命令どおりアムノンに襲いかかった。王子は全員立ってそれぞれのらばに乗り、逃げ出した。
13:30 王子がだれも帰り着かないうちに、アブサロムが王子を一人残らず打ち殺したという知らせがダビデに届いた。
13:31 王は立ち上がると、衣を裂き、地面に身を投げ出した。家臣たちも皆、衣を裂いて傍らに立った。
13:32 ダビデの兄弟シムアの息子ヨナダブが断言した。「主君よ、若い王子たちが皆殺しになったとお考えになりませんように。殺されたのはアムノン一人です。アブサロムは、妹タマルが辱めを受けたあの日以来、これを決めていたのです。
13:33 主君、王よ、王子全員が殺害されたなどという言葉を心に留めることはありません。亡くなったのはアムノン一人です。」
13:34 アブサロムは逃亡した。見張りの若者が目を上げて眺めると、大勢の人が山腹のホロナイムの道をやって来るのが見えた。
13:35 ヨナダブは王に言った。「御覧ください。僕が申し上げたとおり、王子たちが帰って来られました。」
13:36 ヨナダブがこう言い終えたとき、王子たちが到着した。彼らは声をあげて泣き、王も家臣も皆、激しく泣いた。
13:37 アブサロムは、ゲシュルの王アミフドの子タルマイのもとに逃げた。ダビデはアムノンを悼み続けた。
13:38 アブサロムはゲシュルに逃げ、三年間そこにいた。
13:39 アムノンの死をあきらめた王の心は、アブサロムを求めていた。サムエル記下 13章23節~39節
メッセージ
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今朝は、『サムエル記下』の第13章23節から39節より、「アブサロムの復讐」という題でお話しします。
ダビデの長男であるアムノンが、三男のアブサロムの妹タマルを力ずくで辱めてから、二年が経ちました。エフライムに接するバアル・ハツォルに、アブサロムの羊の毛を刈る者が集まりました。羊の毛を刈ることは、農作物を収穫するのに等しい喜びであり、祝宴が行われました。その祝宴に、アブサロムは王子全員を招待し、ダビデ王のもとに行ってこう願いました。「僕は羊の毛を刈る者を集めました。どうぞ王御自身、家臣を率いて、僕と共にお出かけください」。王はアブサロムにこう言いました。「いや、わが子よ、全員で行くこともあるまい。お前の重荷になってはいけない」。ダビデは、王を接待する費用のことを考えて、このように言ったのです。アブサロムは懇願しましたが、ダビデは出かけることを望まず、ただ祝福を与えました。祝福を与えて、話を打ち切ったのです。すると、アブサロムはこう言いました。「それなら、兄アムノンをわたしたちと共に行かせてください」。アブサロムは、ダビデ王の代わりとして、長男であるアムノンを行かせてくださいと願うのです。王はアブサロムに、「なぜアムノンを同行させるのか」と言いました。しかし、アブサロムが重ねて懇願したので、アムノンと王子全員をアブサロムに同行させたのです。もし、アブサロムが、直接、アムノンに「来てください」と言ったら、アムノンはいかなかったかも知れません。しかし、アムノンは、ダビデ王から、アブサロムと同行するように言われたので、そのとおりにしたのです。これは、タマルがアムノンの家に行ったときと同じですね。宮殿にいたタマルが、アムノンの家に行ったのは、父であり王であるダビデから言われたからでした。アブサロムも、アムノンを祝宴に招くにあたって、父であり王であるダビデを用いるのです。
アブサロムは、自分の従者たちに命じてこう言いました。「いいか。アムノンが酒に酔って上機嫌になったとき、わたしがアムノンを討てと命じたら、アムノンを殺せ。恐れるな。これはわたしが命令するのだ。勇気を持て。勇敢な者となれ」。ここで、アブサロムは、アムノンを殺す理由を語っていません。従者たちは、二年前に、アムノンがアブサロムの妹タマルを辱めたことを知っていたのでしょう。従者たちは、アブサロムの命令どおりアムノンに襲いかかりました。他の王子たちは、パニックになり、全員、それぞれのらば(馬の雌とろばの雄の子)に乗り、逃げ出しました。王子がだれも帰り着かないうちに、アブサロムが王子を一人残らず打ち殺したという知らせがダビデに届きました。王は立ち上がると、衣を裂き、地面に身を投げ出しました。そのようにして悲しみ嘆いたのです。また、家臣たちも皆、衣を裂いて傍らに立ちました。すると、ダビデの兄弟シムアの息子ヨナダブがこう断言します。このヨナダブは、かつてアムノンに、タマルと密会する術を教えた人物です。そのヨナダブが、こう言うのです。「主君よ、若い王子たちが皆殺しになったとお考えになりませんように。殺されたのはアムノン一人です。アブサロムは、妹タマルが辱めを受けたあの日以来、これを決めていたのです。主君、王よ、王子全員が殺害されたなどという言葉を心に留めることはありません。亡くなったのはアムノン一人です」。このヨナダブの言葉からすると、ヨナダブは、アムノンがタマルを辱めるとまでは考えていなかったようですね。ヨナダブは、アムノンにタマルと密会する術を教えただけで、アムノンがタマルを辱めるなどとは考えていなかったようです。また、それ以来、ヨナダブは、アムノンから距離を取っていたようです。賢いヨナダブは、アブサロムがいつかアムノンに復讐することを知っていました。それで、ヨナダブは、ダビデ王に、「殺されたのはアムノン一人です」と断言したのです。
見張りの若者が目を上げて眺めると、大勢の人が山腹のホロナイムの道をやって来るのが見えました。ヨナダブは王にこう言いました。「御覧ください。僕が申し上げたとおり、王子たちが帰って来られました」。ヨナダブがこう言い終えたとき、王子たちが到着しました。彼らは声をあげて泣き、王も家臣も皆、激しく泣きました。アムノンの死を悲しんで、激しく泣いたのです。
アブサロムは、祖父であるゲシュルの王アミフドの子タルマイのもとに逃げました(サムエル下3:3参照)。アブサロムは国外に逃亡したのです。ダビデはアムノンの死を悼み続けていました。しかし、時が経つにつれ、アムノンの死をあきらめた王の心は、アブサロムを求めるようになるのです。
今朝の奨励題を、「アブサロムの復讐」と付けました。妹タマルを辱められ、アブサロムはアムノンを憎悪しました。しかし、すぐに復讐することはせず、それから二年たった時に復讐しました。なぜ、アブサロムは二年も待っていたのでしょうか。考えられる一つのことは、アブサロムが、父であり王であるダビデの裁きを待っていたからです。ダビデは、アムノンがタマルにした事の一部始終を聞いて、激しく怒りました(13:21)。そうであれば、アムノンを叱責し、罰を与えてしかるべきであります。律法によれば、アムノンは処女であるタマルを辱めたのですから、結納金を払って妻にすべきでありました(出エジプト22:15参照)。しかし、ダビデは、激しく怒っただけで、アムノンに対して何もしないのです。ダビデは、長男であるアムノンを王位継承者として、かわいがっていたのです。それゆえ、アブサロムは、自分の手で復讐するのです。