ダビデの重臣たち 2022年6月01日(水曜 聖書と祈りの会)

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ダビデの重臣たち

日付
説教
村田寿和 牧師
聖書
サムエル記下 8章15節~18節 

聖句のアイコン聖書の言葉

8:15 ダビデは王として全イスラエルを支配し、その民すべてのために裁きと恵みの業を行った。
8:16 ツェルヤの子ヨアブは軍の司令官。アヒルドの子ヨシャファトは補佐官。
8:17 アヒトブの子ツァドクとアビアタルの子アヒメレクは共に祭司。セラヤは書記官。
8:18 ヨヤダの子ベナヤはクレタ人とペレティ人の監督官。ダビデの息子たちは祭司となった。サムエル記下 8章15節~18節 

原稿のアイコンメッセージ

 今朝は、『サムエル記下』の第8章15節から18節より、「ダビデの重臣たち」という題でお話しします。

 前回、私たちは、ダビデが周辺の異邦の国々と戦い勝利をおさめたこと。そして、その勝利は、主がダビデにお与えになったものであることを学びました。主は、そのようにして、イスラエルの民に安らぎをお与えになったのです。続く今朝の御言葉には、ダビデ王がどのように全イスラエルを支配したかが記されています。

 15節にこう記されています。「ダビデは王として全イスラエルを支配し、その民すべてのために裁きと恵みの業を行った」。ダビデ王は、「その民すべてのために裁きと恵みの業を行った」とありますが、「裁きと恵みの業」(ミシュパートとツェダカー)は、「正義と公平」とも訳せます(口語訳参照)。ダビデは、正義と公平をもって、イスラエルを支配しました。そして、このことが、後のメシアにも期待されるようになるのです。例えば、『イザヤ書』の第9章6節にはこう記されています。「ダビデの王座とその王国に権威は増し/平和は絶えることがない。王国は正義と恵みの業によって/今もそしてとこしえに、立てられ支えられる。万軍の主の熱意がこれを成し遂げる」。このイザヤの預言は、ダビデの子孫であるイエス・キリストにおいて実現しました。父なる神の右に座しておられるイエス・キリストは、この世界を、特にご自分の教会を、正義と公平をもって治めておられます。国家と教会の頭である主イエス・キリストは、正義と公平をもって、国家と教会を統治しておられる。それゆえ、国の政治を行う人たちは、神様に御心に適った正しく、公平な政治を行うことが求められているのです。また、教会の政治を行う牧師や長老たちは、主イエス・キリストの御心に適った正しく、公平な教会政治を行うことが求められているのです。

 16節から18節には、「ダビデの重臣たち」について記されています。「ツェルヤの子ヨアブは軍の司令官。アヒルドの子ヨシャファトは補佐官。アヒトブの子ツァドクとアビアタルの子アヒメレクは共に祭司。セラヤは書記官。ヨヤダの子ベナヤはクレタ人とペレティ人の監督官。ダビデの息子たちは祭司となった」。

「ツェルヤの子ヨアブ」については、これまでにも記されてきました。「ツェルヤ」とはダビデの姉妹であり、そのツェルヤの子であるヨアブは、ダビデの甥(おい)に当たります。ヨアブはこれまでもユダの軍隊を率いてきました(2章参照)。アブネルを暗殺したのはヨアブでありました(3章参照)。そのヨアブが軍の司令官であったのです。

 アヒルドの子ヨシャファトについてはよく分かりませんが、補佐官とは「記憶させる者」という意味で、その任務は、王に情報を伝えること、助言を与えること、王の命令を伝えることでした。宮廷において最も重要な役割を果たしたと言われています。

 17節に「アヒトブの子ツァドクとアビアタルの子アヒメレクは共に祭司」とあります。二人目の「アビアタルの子アヒメレク」は親と子供の名前が逆で、正しくは「アヒメレクの子アビアタル」となります。アビアタルは、サウルが祭司の町ノブを滅ぼしたときの生き残りで、長い間、ダビデに仕えてきました(サムエル上22章参照)。「ツァドク」はここで初めて出てきます。ツァドクは「正しい」という意味です。ツァドクは「アヒトブの子」とありますが、その先祖はアロンにまで遡ります(歴代上6:35~38「アロンの子孫は次のとおりである。息子がエルアザル、孫がピネハス、更にアビシュア、ブキ、ウジ、ゼラフヤ、メラヨト、アマルヤ、アヒトブ、ツァドク、アヒマアツと続く」参照)。

 「セラヤは書記官」とあります。「書記官」の働きは、王の傍らにいて通訳をしたり、日誌を付けたりする秘書のような働きです。王の事績は文書によって記録され、保管されていたのです。

 「ヨヤダの子ベナヤはクレタ人とペレティ人の監督官」とありますが、「クレタ人とペレティ人」とは、ペリシテ人の傭兵部隊であると考えられています。ダビデは、ペリシテ人を隷属させることはできませんでしたが、その軍事力を、自分の権力機構の中に取り込んだのです。

 最後に、「ダビデの息子たちは祭司となった」とあります。ダビデは、ユダ族の出身であるので、その息子たちが祭司になるのはおかしな事です。『歴代誌上』の並行箇所を見ますと、「ダビデの息子たちは王の側近として仕えた」と記されています(歴代上18:17)。

 ダビデは王として全イスラエルを支配し、その民すべてのために裁きと恵みの業を行いました。それは、重臣たちを用いてであったのです。国の政治を行う人たちが、内閣を組織し、官僚たちの支えによって、政治を行うように、ダビデも重臣たちからなる組織を通して、イスラエルを統治したのです。そして、そのことは、教会においても当てはまります。教会の霊的な統治は、教師と長老たちの会議である小会に委ねられています。その働きは、イエス・キリストの重臣たちである教会員の祈りによって支えられているのです。

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