ダビデの戦果 2022年5月25日(水曜 聖書と祈りの会)

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ダビデの戦果

日付
説教
村田寿和 牧師
聖書
サムエル記下 8章1節~14節

聖句のアイコン聖書の言葉

8:1 その後、ダビデはペリシテ人を討って屈服させ、ペリシテ人の手からメテグ・アンマを奪った。
8:2 また、モアブを討ち、彼らを地面に伏させて測り縄ではかり、縄二本分の者たちを殺し、一本分の者は生かしておいた。モアブ人はダビデに隷属し、貢を納めるものとなった。
8:3 ダビデは次に、ツォバの王、レホブの子ハダドエゼルがユーフラテスに勢力を回復しようと行動を起こしたとき、彼を討ち、
8:4 騎兵千七百、歩兵二万を捕虜とし、戦車の馬は、百頭を残して、そのほかはすべて腱を切ってしまった。
8:5 ダマスコのアラム人がツォバの王ハダドエゼルの援軍として参戦したが、ダビデはこのアラム軍二万二千をも討ち、
8:6 ダマスコのアラム人に対して守備隊を置いた。こうしてアラム人もダビデに隷属し、貢を納めるものとなった。主はダビデに、その行く先々で勝利を与えられた。
8:7 ダビデは、ハダドエゼルの家臣がそれぞれ携えていた金の盾を没収してエルサレムに運んだ。
8:8 また、ダビデ王はハダドエゼルの町ベタとベロタイから大量の青銅を奪い取った。
8:9 ハマトの王トイは、ダビデがハダドエゼルの軍勢を討ち滅ぼしたと聞き、
8:10 王子ヨラムをダビデ王のもとに遣わして安否を問わせた。トイ自身、ハダドエゼルと交戦中だったので、ハダドエゼルに対するダビデの戦勝を祝って、銀、金、青銅の品々を贈った。
8:11 ダビデ王はこれらの品々を、征服したすべての異邦の民から得た銀や金と共に主のために聖別した。
8:12 それは、アラム、モアブ、アンモン人、ペリシテ人、アマレクから得たもの、ツォバの王、レホブの子ハダドエゼルからの戦利品などであった。
8:13 ダビデはアラムを討って帰る途中、塩の谷でエドム人一万八千を討ち殺し、名声を得た。
8:14 彼はエドムに守備隊を置くことにした。守備隊はエドム全土に置かれ、全エドムはダビデに隷属した。主はダビデに、行く先々で勝利を与えられた。サムエル記下 8章1節~14節

原稿のアイコンメッセージ

 今朝は、『サムエル記上』第8章1節から14節より、「ダビデの戦果」という題でお話します。

 今朝の御言葉には、イスラエルの王ダビデが、周りの異邦の国々と戦い、勝利をおさめたことが記されています。第7章に記されているナタンの預言において、主はダビデにこうお告げになりました。9節から11節。「あなたがどこに行こうとも、わたしは共にいて、あなたの行く手から敵をことごとく断ち、地上の大いなる者に並ぶ名声を与えよう。わたしの民イスラエルには一つの所を定め、彼らをそこに植え付ける。民はそこに住み着いて、もはやおののくことはなく、昔のように不正を行なう者に圧迫されることもない。わたしの民イスラエルの上に士師を立てたころからの敵をわたしがすべて退けて、あなたに安らぎを与える」。主は、この御言葉を、ダビデの戦いを用いて実現してくださいます。第8章6節後半にこう記されています。「主はダビデに、その行く先々で勝利を与えられた」。また、14節後半にもこう記されています。「主はダビデに、行く先々で勝利を与えられた」。このように、戦うのはダビデですが、そのダビデに勝利を与えられるのは主であるのです。そのことを確認したうえで、ダビデの戦果について見ていきたいと思います。

 1節に、こう記されています。「その後、ダビデはペリシテ人を討って屈服させ、ペリシテ人の手からメテグ・アンマを奪った」。ペリシテ人は、イスラエルの西に位置する異邦の民です。ダビデは、イスラエルの宿敵であるペリシテ人を討って屈服させました。「メテグ・アンマ」が何なのかは研究者でも分かりません。直訳すると「アンマ(腕尺)の手綱」となりますので、「統治権」を意味しているのかも知れません。あるいは、地名であるのかも知れません。ちなみに、並行個所である『歴代誌上』の第18章には、「ガトとその周辺の村落を奪った」と記されています。

 2節に、こう記されています。「また、モアブを討ち、彼らを地面に伏させて測り縄ではかり、縄二本分の者たちを殺し、一本分の者は生かしておいた。モアブ人はダビデに隷属し、貢を納めるものとなった」。モアブは、イスラエルの南西に位置する異邦の民です(塩の海の東)。ダビデの先祖には、モアブ人のルツがおりました。また、『サムエル記上』の第22章には、サウルの手を逃れたダビデが、モアブの王に、自分の父と母を託したことが記されていました。しかし、ここでダビデは、モアブに対して、容赦なく振る舞っています。ダビデは、モアブ人を地面に伏させて測り縄で身長を測り、縄二本分の者たちを殺し、一本分の者たちだけを生かしておきました(聖書協会共同訳参照)。そのようにして、ダビデは、自分の支配を確かなものとするのです。モアブはダビデに隷属し、貢を納めるものとなったのです。

 3節から8節にこう記されています。「ダビデは次に、ツォバの王、レホブの子ハダドエゼルがユーフラテスに勢力を回復しようと行動を起こしたとき、彼を討ち、騎兵千七百、歩兵二万を捕虜とし、戦車の馬は、百頭を残して、そのほかはすべて腱を切ってしまった。ダマスコのアラム人がツォバの王ハダドエゼルの援軍として参戦したが、ダビデはこのアラム軍二万二千をも討ち、ダマスコのアラム人に対して守備隊を置いた。こうしてアラム人もダビデに隷属し、貢を納めるものとなった。主はダビデに、その行く先々で勝利を与えられた。ダビデは、ハダドエゼルの家臣がそれぞれ携えていた金の盾を没収してエルサレムに運んだ。また、ダビデ王はハダドエゼルの町ベタとベロタイから大量の青銅を奪い取った」。「ツォバ」は、アラム人の小国家で、イスラエルの北に位置していました。「ハダドエゼル」は、「ハダドは我が助け」という意味です。「ハダド」はアモリ人の嵐の神の名前です。古代オリエントの世界において、国と国との戦いは、それぞれの国が信じる神と神との戦いでありました。ですから、イスラエルの王であるダビデの勝利は、イスラエルの神が、神々の中の神であることを示しているのです。ダビデは、アラム軍をも討ち、ダマスコのアラム人に対して守備隊を置きました(サムエル上13:3参照)。こうして、アラム人もダビデに隷属し、貢を納めるものとなったのです。8節に、「ダビデ王はハダドエゼルの町ベタとベロタイから大量の青銅を奪い取った」とありますが、『歴代誌』には、「ソロモンはこれを用いて青銅の『海』、柱、青銅の祭具を造った」と記されています(歴代上18:8)。

 9節から12節にこう記されています。「ハマトの王トイは、ダビデがハダドエゼルの軍勢を討ち滅ぼしたと聞き、王子ヨラムをダビデ王のもとに遣わして安否を問わせた。トイ自身、ハダドエゼルと交戦中だったので、ハダドエゼルに対するダビデの戦勝を祝って、銀、金、青銅の品々を贈った。ダビデ王はこれらの品々を、征服したすべての異邦の民から得た銀や金と共に主のために聖別した。それは、アラム、モアブ、アンモン人、ペリシテ人、アマレクから得たもの、ツォバの王、レホブの子ハダドエゼルからの戦利品であった」。「ハマト」は、「ツォバ」よりも更に北に位置します。ハマトの王トイは、息子をダビデのもとに遣わし、銀、金、青銅の品々を贈って、ダビデと友好関係を結びました。敵の敵は味方ということで、ダビデと友好関係を結んだのです。ダビデは、それらの品々と周辺の異邦の民から得たものを主のために聖別しました。そのようにして、ダビデは、自分に勝利を与えてくださった主に栄光を帰したのです。

 13節と14節にこう記されています。「ダビデはアラムを討って帰る途中、塩の谷でエドム人一万八千を撃ち殺し、名声を得た。彼はエドムに守備隊を置くことにした。守備隊はエドム全土に置かれ、全エドムはダビデに隷属した。主はダビデに、行く先々で勝利を与えられた」。エドムは、イスラエルの南に位置します。エドム人は、ヤコブ(イスラエル)の兄エサウの子孫であります。『創世記』の第25章に、「エサウとヤコブの誕生」について記されています。そこで、主はリベカにこう言われていました。「二つの国民があなたの胎内に宿っており/二つの民があなたの腹の内で分かれ争っている。一つの民が他の民よりも強くなり/兄が弟に仕えるようになる」。この預言は、ヤコブの子孫であるダビデがエドム人を隷属させることによって実現することになるのです。

 今朝は最後に、お配りした地図を見ながら、ダビデの戦いを振り返りたいと思います。ダビデは、西はペリシテ、北はツォバとアラム、東はアンモンとモアブ、南はエドムと戦って勝利をおさめました。そのうち、アラムとモアブとエドムはダビデに隷属し、貢を納めるものとなりました。このようにして、主は、ダビデに名声を与え、イスラエルの民に安らぎをお与えになったのです。

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