ペリシテ人を破ったダビデ 2022年4月13日(水曜 聖書と祈りの会)
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ペリシテ人を破ったダビデ
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- 説教
- 村田寿和 牧師
- 聖書
サムエル記下 5章17節~25節
聖書の言葉
5:17 ペリシテ人は、ダビデが油を注がれてイスラエルの王になったことを聞いた。すべてのペリシテ人が、ダビデの命をねらって攻め上って来た。ダビデはこれを聞いて要害に下った。
5:18 やって来たペリシテ人はレファイムの谷に陣を広げた。
5:19 ダビデは主に託宣を求めた。「ペリシテ人に向かって攻め上るべきでしょうか。彼らをこの手にお渡しくださるでしょうか。」主はダビデに答えられた。「攻め上れ。必ずペリシテ人をあなたの手に渡す。」
5:20 ダビデはバアル・ペラツィムに攻め入り、彼らを討ち滅ぼして、こう言った。「主は敵をわたしの前で、水が堤防を破るように打ち破ってくださった。」その場所をバアル・ペラツィム(破れ目の主)と呼ぶのは、このためである。
5:21 ペリシテ人が自分たちの偶像をそこに捨てて行ったので、ダビデとその兵はそれを運び去った。
5:22 ペリシテ人は再び攻め上り、レファイムの谷に陣を広げた。
5:23 ダビデが主に託宣を求めると、次のように答えられた。「攻め上らず、背後に回れ。バルサムの茂みの反対側から敵に向かえ。
5:24 茂み越しに行軍の音を聞いたら、攻めかかれ。主がペリシテの陣営を討つために、お前に先んじて出陣されるのだ。」
5:25 ダビデは主の命じられたとおりに行動し、ゲバからゲゼルに至るまで、ペリシテ人を討ち滅ぼした。サムエル記下 5章17節~25節
メッセージ
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今朝は、『サムエル記下』の第5章17節から25節より、「ペリシテ人を破ったダビデ」という題でお話しします。
ペリシテ人は、ダビデが油を注がれてイスラエルの王になったことを聞きました。かつてダビデは、ペリシテ人の土地に寄留していました。ガトの王アキシュのもとに身を寄せていたのです。そのダビデがユダの王となり、イスラエルと戦っていたことは、ペリシテ人にとって都合のよいことでありました。ペリシテ人は、ダビデが自分たちの臣下(家来)として、イスラエルと戦っていると考えたかも知れません。しかし、ダビデが油を注がれてイスラエルの王になると話は違います。ダビデは、ペリシテ人を脅かす、取り除くべき敵となったのです。それで、すべてのペリシテ人が、ダビデの命をねらって攻め上って来たのです。ダビデは、これを聞いて要害に下りました。この要害とは、ユダの荒野にあるアドラムの要害であると考えられています。やって来たペリシテ人は、レファイムの谷に陣を広げました。ダビデは主に託宣を求めます。「ペリシテ人に向かって攻め上るべきでしょうか。彼らをこの手にお渡しくださるでしょうか」。主はダビデにこう答えられます。「攻め上れ。必ずペリシテ人をあなたの手に渡す」。『サムエル記上』の第31章に、イスラエル軍とペリシテ軍がギルボア山で戦い、サウルとその息子たちと兵士たちが死んだことが記されていました。そして、その前日の出来事が第28章に記されていました。ペリシテの陣営を見て恐れたサウルは、主に託宣を求めました。しかし、主は夢によっても、ウリムによっても、預言者によってもお答えにならなかったのです。それで、サウルは、かつて自分が追い出した、口寄せの女のもとを訪ねるわけです。しかし、ダビデは違います。主はダビデと共におられるのです。ダビデが主に託宣を求めれば、主は答えてくださるのです。主は、ダビデに、「攻め上れ。必ずペリシテ人をあなたの手に渡す」と言われたのです。
ダビデはバアル・ペラツィムに攻め入り、ペリシテ人を打ち滅ぼして、こう言いました。「主は敵をわたしの前で、水が堤防を破るように打ち破ってくださった」。そして、その場所を、バアル・ペラツィム(破れ目の主(あるじ))と呼んだのです。ここで、ダビデは、「イスラエルの神である主が、ペリシテ軍を打ち破ってくださった」と告白しています。この信仰は、かつてダビデがペリシテ人の代表戦士ゴリアトと戦ったときに言い表した信仰ですね(サムエル上17章参照)。ゴリアトは自分の神々によってダビデを呪い、「さあ、来い。お前の肉を空の鳥や野の獣にくれてやろう」と言いました。それに対して、ダビデはこう言ったのです。「お前は剣や槍や投げ槍でわたしに向かって来るが、わたしはお前が挑戦したイスラエルの戦列の神、万軍の主の名によってお前に立ち向かう。・・・この戦いは主のものだ。主はお前たちを我々の手に渡される」。そのような信仰をもって、ダビデは戦い、主にあって、勝利を収めたのです。
この戦いがペリシテ人の神々とイスラエルの主、ヤハウェの戦いであることは、ペリシテ人たちが、自分たちの偶像を戦場に運び込み、その場に捨てて行ったことからも分かります。ダビデとその兵士たちは、ペリシテ人の偶像を戦利品として運び去ったのです(並行記事である『歴代誌上』の第14章には、「それを火で焼かせた」と記されている。申命7:5も参照)。
22節以下には、ペリシテ人が再び攻め上り、レファイムに陣を広げたことが記されています。ダビデが主に託宣を求めると次のような答えがありました。「攻め上らず、背後に回れ。バルサムの茂みの反対側から敵に向かえ。茂み越しに行軍の音を聞いたら、攻めかかれ。主がペリシテの陣営を討つためにお前に先んじて出陣されるのだ」。ここで主は、ダビデに戦略を授けております。敵の背後に回って、バルサムの茂みに身を隠すようにとお命じになるのです。24節に、「行軍の音」とあります。行軍とは「軍隊が隊列を組み、徒歩で長距離を移動すること」を意味します。ですから、「行軍の音」とは、ペリシテ軍が隊列を組んで歩いてくる音のことであると言えます。けれども、ある研究者は、この行軍の音は、「風によってバルサムの木が揺れる音であって、主がダビデに先んじて出陣されることを示している」と述べています。どちらにしても、ここで戦われるのは主であります。主が御自分に従うダビデと兵士たちを用いて、ペリシテ人を討たれるのです。ダビデは、主の命じられたとおりに行動し、ゲバからゲゼルに至るまで、ペリシテ人を討ち滅ぼしました。「ゲバ」とありますが、並行箇所である『歴代誌上』の第14章には、「ギブオン」と記されています。ギブオンからゲゼルに至るまで、ペリシテ人を討ち滅ぼしたとは、イスラエル領からペリシテ人を追い出したということです。ダビデは、ペリシテ軍に勝利し、ペリシテ人をイスラエル領から追い出すことによって、主のメシアであることを証明したのです。そして、それは、万軍の神である主が、ダビデと共にいてくださり、ダビデに先んじて出陣し、戦ってくださったからであるのです。主は、御自分に従うダビデと兵士たちを用いて、イスラエルに勝利を与えてくださったのです。