イスラエルとユダの王となったダビデ 2022年3月30日(水曜 聖書と祈りの会)
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イスラエルとユダの王となったダビデ
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- 村田寿和 牧師
- 聖書
サムエル記下 5章1節~5節
聖書の言葉
5:1 イスラエルの全部族はヘブロンのダビデのもとに来てこう言った。「御覧ください。わたしたちはあなたの骨肉です。
5:2 これまで、サウルがわたしたちの王であったときにも、イスラエルの進退の指揮をとっておられたのはあなたでした。主はあなたに仰せになりました。『わが民イスラエルを牧するのはあなただ。あなたがイスラエルの指導者となる』と。」
5:3 イスラエルの長老たちは全員、ヘブロンの王のもとに来た。ダビデ王はヘブロンで主の御前に彼らと契約を結んだ。長老たちはダビデに油を注ぎ、イスラエルの王とした。
5:4 ダビデは三十歳で王となり、四十年間王位にあった。
5:5 七年六か月の間ヘブロンでユダを、三十三年の間エルサレムでイスラエルとユダの全土を統治した。サムエル記下 5章1節~5節
メッセージ
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今朝は、『サムエル記下』の第5章1節から5節より、「イスラエルとユダの王となったダビデ」という題でお話しします。
今朝の御言葉には、イスラエルの全部族の代表者たちが、ダビデのもとに来て、イスラエルの王になることを願ったことが記されています。イスラエルは、ヤコブの12人の息子の子孫たちであり、12の部族から成り立っていました。第2章には、ユダの人々がダビデに油を注いで、自分たちの王としたことが記されていました。ダビデは、ユダ族の王であったのです。そのダビデに、イスラエルの残りの11部族の代表者たちは、自分たちの王になってもらいたいと願ったのです。このことは、第3章で、アブネルが画策していたことでした。第3章17節と18節にはこう記されていました。
アブネルの言葉がイスラエルの長老たちに届いた。「あなたがたは、これまでもダビデを王にいただきたいと願っていた。それを実現させるべき時だ。主はダビデに、『わたしは僕ダビデの手によって、わたしの民イスラエルをペリシテ人の手から、またすべての敵の手から救う』と仰せになったのだ。」
また、アブネルは、ヘブロンにいるダビデのもとを訪れ、こう言っていました。21節です。
アブネルは、ダビデに言った。「わたしは立って行き、全イスラエルを主君である王のもとに集めましょう。彼らがあなたと契約を結べば、あなたはお望みのままに治めることができます。」
このように、アブネルは、全イスラエルをダビデのもとに集めようとしていたのです。しかし、アブネルは、ヨアブによって殺されてしまいました。また、アブネルによって、王とされたイシュ・ボシェトも、同じベニヤミン族の二人の男によって殺されてしまいました。イスラエルには王がおらず、王になれるような人物もおりませんでした。それで、イスラエルの代表者たちは、アブネルが画策していたように、ダビデに自分たちの王になってもらおうとするのです。
イスラエルの全部族はヘブロンのダビデのもとに来てこう言いました。「御覧ください。わたしたちはあなたの骨肉です。これまで、サウルがわたしたちの王であったときにも、イスラエルの進退の指揮をとっておられたのはあなたでした。主はあなたに仰せになりました。『わが民イスラエルを牧するのはあなただ。あなたがイスラエルの指導者となる』と」。ここには、ダビデが王にふさわしい三つの理由が述べられています。一つは、イスラエルとダビデは骨肉と言われる兄弟同士であることです。ダビデは、イスラエルの一部族であるユダ族の出身でした。二つ目は、サウルが王であったときも、イスラエル軍の指揮をとっていたのはダビデであったことです。サウルが王であったときも、ダビデは王の役割を果たしていたのです。ダビデは、兵士たちの先頭に立って出陣し、どの戦いにおいても勝利を収めました(サムエル上18:13、14参照)。三つ目は、主がダビデを王として選ばれたことです。「わが民イスラエルを牧するのはあなただ。あなたがイスラエルの指導者となる」という主の御言葉に、イスラエルの全部族は、「アーメン、そのとおり」と同意していたのです。
イスラエルの長老たちは全員、ヘブロンの王のもとに来ました。ダビデ王はヘブロンで主の御前に彼らと契約を結びました。そして、長老たちはダビデに油を注いで、イスラエルの王としたのです。ダビデがイスラエルの王となったのは、契約に基づくことでした。どのような契約を結んだのかは分かりませんが、おそらく、ユダ族と同じように他の部族を扱うことを約束したのだと思います。『列王記上』の第12章に、ソロモンの息子レハブアムが、イスラエルの長老たちと契約を結ぶことに失敗して、王国が二つに分裂したことが記されています。イスラエルの人々は、王であるレハブアムに、重い軛を軽くしてほしいと願いました。しかし、レハブアムは、自分と同じ若者たちの勧めに従って、さらに重い軛を負わせると答えたのでした。そのような文脈を踏まえて、『列王記上』の第12章16節と17節をお読みします。旧約の552ページです。
イスラエルのすべての人々は、王が耳を貸さないのを見て、王に言葉を返した。「ダビデの家に我々の受け継ぐ分が少しでもあろうか。エッサイの子と共にする嗣業はない。イスラエルよ、自分の天幕に帰れ。ダビデよ、今後自分の家のことは自分で見るがよい。」こうして、イスラエルの人々は自分の天幕に帰って行った。レハブアムは、ただユダの町々に住むイスラエル人に対してのみ王であり続けた。
このように、契約の交渉が決裂することによって、イスラエルは、王レハブアムから離れて去ったのです。そして、ヤロブアムを自分たちの王として立てたのでした。レハブアムは、ユダ族だけの王であり続けたのです。
今朝の御言葉に戻ります。旧約の487ページです。
イスラエルの長老たちは、ダビデに油を注いで、イスラエルの王としました。かつてユダの人々がダビデに油を注いでユダの王としたように、イスラエルの長老たちも、ダビデに油を注いで、自分たちの王としたのです。このことは、イスラエルが、ユダの傘下に入ったのではないことを示しています。イスラエルとユダは、主が選ばれたダビデを王とすることによって結ばれた連合国家であるのです。同じ君主によって結び合わされた連合国家であるのです(パーソナル・ユニオン)。先程、私は、ソロモンの息子レハブアムのときに、王国が二つに分裂したと申しましたが、初めからイスラエルとユダは、ダビデ王によって結ばれた連合国家であったのです。
4節と5節には、ダビデが三十歳で王になり、四十年間王位にあったこと。七年六か月の間ヘブロンでユダを、三十三年の間、エルサレムでイスラエルとユダの全土を統治したことが記されています。このことは、今朝の御言葉が、大きな節目であることを示しています。『サムエル記上』の第16章に、サムエルが、エッサイの末息子であるダビデに油を注いだことが記されていました。ダビデは、父の羊を飼う少年であったのです。そのダビデが、紆余曲折の人生を経て、イスラエルとユダの王となったのです。主は、羊飼いであったダビデを、主の民イスラエルを牧する王とされたのです。