ヘブロンで生まれたダビデの息子たち 2022年3月02日(水曜 聖書と祈りの会)

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ヘブロンで生まれたダビデの息子たち

日付
説教
村田寿和 牧師
聖書
サムエル記下 3章2節~5節

聖句のアイコン聖書の言葉

3:2ヘブロンで生まれたダビデの息子は次のとおりである。長男はアムノン、母はイズレエル人アヒノアム。
3:3次男はキルアブ、母はカルメル人ナバルの妻アビガイル。三男はアブサロム、ゲシュルの王タルマイの娘マアカの子。
3:4四男はアドニヤ、ハギトの子。五男はシファトヤ、アビタルの子。
3:5六男はイトレアム、母はダビデの妻エグラ。以上がヘブロンで生まれたダビデの息子である。 サムエル記下 3章2節~5節

原稿のアイコンメッセージ

 今朝の御言葉には、「ヘブロンで生まれたダビデの息子たち」のことが記されています。 ダビデは、ユダの家の王として、ヘブロンに七年六ヶ月とどまりました。その七年六か月の間に、六人の息子をもうけたのです。この六人の息子たちは、いずれも母親が異なる異母兄弟でした。ダビデは六人の妻をめとっていたのです。このことは、ダビデが王としてハーレムを持つまでに勢力を増していたことを示しています。そのことを念頭に置いて、改めて2節から5節までをお読みします。

 ヘブロンで生まれたダビデの息子は次のとおりである。長男はアムノン、母はイズレエル人アヒノアム。次男はキルアブ、母はカルメル人ナバルの妻アビガイル。三男はアブサロム、ゲシュルの王タルマイの娘マアカの子。四男はアドニヤ、ハギトの子。五男はシファトヤ、アビタルの子。六男はイトレアム、母はダビデの妻エグラ。以上がヘブロンで生まれたダビデの息子である。

 長男はアムノンです。アムノンとは「忠実な者」という意味です。アムノンについては、第13章に記されています。アムノンは、三男のアブサロムの妹タマルを愛しており、力ずくで彼女と床を共にします。そのことがアブサロムの恨みを買い、後にアブサロムによって殺されてしまうのです。アムノンの母はイズレエル人アヒノアムです。アヒノアムは、サウルの娘ミカルを除いて、ダビデの最初の妻です(サムエル上25:43参照)。

 次男はキルアブです。キルアブは「父は勝つ」という意味です。キルアブについては、ここにしか出てきませんのでよく分かりません。キルアブの母は、『サムエル記上』の第25章に記されていたカルメル人ナバルの妻であったアビガイルです。

 三男はアブサロムです。アブサロムは「わが父は平和」という意味です。アブサロムは、妹タマルを辱められた恨みから、兄アムノンを殺してしまいます。また、父であるダビデに反逆して、王になろうとしたことが第15章から第19章に渡って記されています。アブサロムの母は「ゲシュル人の王タルマイの娘マアカ」でありました。「ゲシュル人」はヨルダン川上流東岸、ガリラヤ湖北東に住む民です。ダビデは、北王国イスラエルを牽制するために、ゲシュル人の王の娘を妻としたと考えられています。いわゆる政略結婚であったのです。アブサロムの母が「ゲシュル人の王タルマイの娘マアカ」であったことは、アブサロムの気位の高さにも影響しているのかも知れません。アブサロムは兄アムノンを殺害したとき、ゲシュルの地に逃れています(サムエル下13:37「アブサロムは、ゲシュルの王アミフドの子タルマイのもとに逃げた」参照)。

 四男はアドニヤです。アドニヤは「わが主はヤハウェ」という意味です。アドニヤについては、『列王記上』の第1章に記されています。ダビデの晩年、アドニヤは「わたしが王になる」と名乗りをあげます。その6節に、こう記されています。「彼は父から、『なぜこのようなことをしたのか』ととがめられたことが、一度もなかった」。この御言葉は、ダビデが子供の教育に無頓着であったことを教えています。ダビデは、王として忙しく、子供の教育にまで手が回らなかったようですね。アムノンは結局、エルサレムで生まれたダビデの末息子ソロモンによって、殺されてしまいます。アムノンの母は「ハギト」です。ハギトはここにしか出てきませんのでよく分かりません。

 五男はシェファトヤです。シェファトヤは「ヤハウェは裁かれた」という意味です。また、その母はアビタルです。シェファトヤもアビタルもここにしか出てきませんのでよく分かりません。

 六男はイトレアムです。イトレアムは「豊かな民」という意味です。その母は「ダビデの妻エグラ」です。他の母親たちもダビデの妻ですが、わざわざエグラだけ、「ダビデの妻エグラ」と記されています。ある研究者は、3節の「ナバルの妻アビガイル」のように、もともとは「ダビデ」ではなく、他の名前が記されていたのではないかと推測しています。エグラはダビデの妻になる前に、他の男の妻であったと推測するのです。しかし、他のある研究者は、エグラがダビデから特別に愛された妻であったので、「ダビデの妻エグラ」と記されていると推測しています。

 ここに記されている六人の息子たちは、六人の妻たちが産んだ最初の男の子であります。今朝の御言葉は、ダビデの王位を継承する資格のある息子たちについて記しているのです。実際は、六人の妻たちは、一人だけではなくて、他にも男の子や女の子を産んだと思います。しかし、それぞれの母の次男や三男、あるいは娘たちについて記していないのは、彼らに、ダビデの王位を継承する資格がないからです。

 ダビデは、六人の妻をめとり、たくさんの子供たちをもうけました。それは一人の男と一人の女が一体となるという通常の結婚(一夫一婦制)ではありません。ダビデが六人の妻をめとり、たくさんの子供たちをもうけたことは、古代社会の王として当然のことでした。しかし、このことは家庭内に大きな混乱をもたらすことになるのです。

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