ユダの王となったダビデ 2022年2月09日(水曜 聖書と祈りの会)
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ユダの王となったダビデ
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- 説教
- 村田寿和 牧師
- 聖書
サムエル記下 2章1節~7節
聖書の言葉
2:1 その後ダビデは主に託宣を求めて言った。「どこかユダの町に上るべきでしょうか。」主は言われた。「上れ。」更にダビデは尋ねた。「どこへ上ればよいのでしょうか。」「ヘブロンへ」と主はお答えになった。
2:2 そこでダビデは二人の妻、イズレエルのアヒノアムとカルメルのナバルの妻であったアビガイルを連れて、ヘブロンへ上った。
2:3 ダビデは彼に従っていた兵をその家族と共に連れて上った。こうして彼らはヘブロンの町々に住んだ。
2:4 ユダの人々はそこに来て、ダビデに油を注ぎ、ユダの家の王とした。ギレアドのヤベシュの人々がサウルを葬ったと知らされたとき、
2:5 ダビデはギレアドのヤベシュの人々に使者を送ってこう言わせた。「あなたがたが主に祝福されますように。あなたがたは主君サウルに忠実を尽くし、彼を葬りました。
2:6 今、主があなたがたに慈しみとまことを尽くしてくださいますように。わたしも、そうしたあなたがたの働きに報いたいと思います。
2:7 力を奮い起こし、勇敢な者となってください。あなたがたの主君サウルは亡くなられましたが、ユダの家はこのわたしに油を注いで自分たちの王としました。」サムエル記下 2章1節~7節
メッセージ
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今朝は、『サムエル記下』の第2章1節から7節より、「ユダの王となったダビデ」という題でお話します。
サウルとヨナタンの死を嘆き悲しんだダビデは、その後、主に託宣を求めてこう言いました。「どこかユダの町に上るべきでしょうか」。これまでダビデは、サウルの手を逃れて、ペリシテ人の地に住んでいました。しかし、サウルが死にましたので、もはやペリシテ人の地に住んでいる必要はなくなったのです。主は、ダビデに、「上れ」と言われます。更にダビデは、「どこへ上ればよいのでしょうか」と尋ねると、主は「ヘブロンへ」とお答えになりました。ヘブロンは、アブラハムとサラのお墓がある町で、カナン人の王が住んでいた大きな町でした。このようにダビデは、自分の意思ではなく、主のご意思に従って、ユダの町ヘブロンへ上って行くのです。2節と3節に、「そこでダビデは二人の妻、イズレエルのアヒノアムとカルメルのナバルの妻であったアビガイルを連れて、ヘブロンへ上った。ダビデは彼に従っていた兵をその家族と共に連れて上った。こうして彼らはヘブロンの町々に住んだ」とあるように、ダビデとその兵士たちは家族もろとも、ツィクラグからヘブロンの町に移り住んだのです。そして、ユダの人々は、ヘブロンで、ダビデに油を注いで、ユダの家の王としたのです。この「ユダの人々」は、『サムエル記上』の第30章で、ダビデがアマレク人からの戦利品を贈ったユダの長老たちであったと思われます。ダビデは、将来の見通しを立てて、ユダの長老たちに、敵からぶんどった戦利品を贈ることによって、自分が王にふさわしいことを印象づけていたのです。ダビデの気前の良さは、そのようなしたたかな気前の良さであったのです。ダビデは、ツィクラグに住んでいたとき、ユダの敵であるアマレク人たちを討っておりました。そのように、王としての働きを既にしていたのです。そして、イスラエルの王であるサウルが死んだ今、ユダの長老たちは、ダビデに油を注ぎ、ユダの家の王としたのです。ダビデが、油を注がれたのは、これで二度目です。一度目は、サムエルによって、油を注がれました(サムエル上16章参照)。このことは、家族だけの前で、ひそかに行われました。しかし、二度目は、人々の前で、公に、油を注がれて、ユダの家の王となったのです。この二度の油注ぎは、ダビデの子孫であるイエス様にも見られることです。イエス様は、一度目は、洗礼者ヨハネから洗礼を受けた後に、油が指し示すところの聖霊を注がれました。『ルカによる福音書』第3章21節と22節にはこう記されています。新約の106ページです。
民衆が皆洗礼を受け、イエスも洗礼を受けて祈っておられると、天が開け、聖霊が鳩のように目に見える姿でイエスの上に降って来た。すると、「あなたはわたしの愛する子、わたしの心に適う者」という声が天から聞こえた。
このようにイエス様は、ひそかに、聖霊を注がれて、イスラエルのメシア、王とされるのです。また、イエス様の二度目の油注ぎについては、使徒ペトロがペンテコステの説教で語っています。新約の216ページです。『使徒言行録』の第2章32節から36節までをお読みします。
「神はこのイエスを復活させられたのです。わたしたちは皆、そのことの証人です。それで、イエスは神の右に挙げられ、約束された聖霊を御父から受けて注いでくださいました。あなたがたは、今このことを見聞きしているのです。ダビデは天に昇りませんでしたが、彼自身こう言っています。『主は、わたしの主にお告げになった。「わたしの右の座に着け。わたしがあなたの敵を/あなたの足台とするときまで。」』だから、イスラエルの全家は、はっきり知らなくてはなりません。あなたがたが十字架につけて殺したイエスを、神は主とし、またメシアとなさったのです。」
復活されたイエス様は、天の父なる神の右の座に着かれました。そのようにして、聖霊を豊かに注がれて、イエス様は、全世界の王となったのです。『マタイによる福音書』によれば、イエス様は、天と地の一切の権能を授けられたのです。神様は、イエス様に聖霊を豊かに注がれました。そして、その聖霊がイエス様の弟子たちにも注がれたのです。ダビデは天に昇りませんでしたが、イエス様は、天の父なる神の右に座するメシアとなられたのです。
では、今朝の御言葉に戻ります。旧約の482ページです。
ギレアドのヤベシュの人々がサウルを葬ったことを知ったダビデは、使者を送ってこう言いました。「あなたがたが主に祝福されますように。あなたがたは主君サウルに忠実を尽くし、彼を葬りました。今、主があなたがたに慈しみとまことを尽くしてくださいますように。わたしも、そうしたあなたがたの働きに報いたいと思います。力を奮い起こし、勇敢な者となってください。あなたがたの主君サウルは亡くなられましたが、ユダの家はこのわたしに油を注いで自分たちの王としました」。ダビデは、ヤベシュの人々の振る舞いに感謝し、彼らを祝福します。ダビデは、主に油を注がれたサウルの遺体がさらしものになることに耐えられなかったと思います。ですから、ダビデは、本心から、ヤベシュの人々に感謝していると思います。しかし、ここでも、ダビデはしたたかですね。ダビデは、ヤベシュの人々が主君サウルに忠実であったように、ユダの人々によって油を注がれて王となった自分に対しても忠実であることを求めるのです。ダビデは、サウル王に忠実であったヤベシュの人々に、自分に対しても忠実であることを求めます。私たちは、このことから、ダビデがユダの家の王にとどまることなく、イスラエル全部族の王になろうとしていたことを知ることができるのです。