ナバルに下された主の裁き 2021年11月17日(水曜 聖書と祈りの会)

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ナバルに下された主の裁き

日付
説教
村田寿和 牧師
聖書
サムエル記上 25章26節~44節

聖句のアイコン聖書の言葉

25:36 アビガイルがナバルのもとへ帰ってみると、ナバルは家で王の宴会にも似た宴会の最中であった。ナバルは上機嫌で、かなり酔っていたので、翌朝、日が昇るまで、彼女は事の大小を問わず何も話さなかった。
25:37 翌朝、ナバルの酔いがさめると、彼の妻は成り行きを話して聞かせた。ナバルは意識を無くして石のようになった。
25:38 十日ほどの後、主はナバルを打たれ、彼は死んだ。
25:39 ナバルが死んだと聞いたダビデは、「主はたたえられよ。主は、ナバルが加えた侮辱に裁きを下し、僕に悪を行わせず、かえって、ナバルの悪をナバルの頭に返された」と言った。ダビデはアビガイルに人を遣わし、彼女を妻にしたいと申し入れた。
25:40 ダビデの部下がカルメルにいたアビガイルのもとに来て、「ダビデは我々をあなたのもとに遣わし、あなたを妻として迎えたいと言っています」と告げた。
25:41 彼女は立ち上がり、地に伏して礼をし、「わたしは御主人様の僕たちの足を洗うはしためになります」と答え、
25:42 すぐに立ち、急いでろばに乗り、彼女に仕える侍女を五人連れて、ダビデの使者の後に従った。アビガイルはダビデの妻となった。
25:43 ダビデはイズレエル出身のアヒノアムをめとっていたので、この二人がダビデの妻となった。
25:44 サウルは、ダビデの妻であった自分の娘ミカルを、ガリム出身のライシュの子パルティに与えた。サムエル記上 25章26節~44節

原稿のアイコンメッセージ

 今朝は、『サムエル記上』の第25章36節から44節より、「ナバルに下された主の裁き」という題でお話しします。

 アビガイルがナバルのもとへ帰ってみると、ナバルは家で王の宴会にも似た宴会の最中でした。この日は、羊の毛を刈る祝の日でありましたので、食べたり、飲んだりして楽しんでいたのです。「王の宴会に似た宴会」とありますが、これは皮肉でありますね。ナバルは、主に油を注がれた王であるダビデには何も分け与えないで、自分が王であるかのように、楽しんでいたのです。ナバルは上機嫌で、かなり酔っていたので、翌朝、日が昇るまで、アビガイルはダビデのことについて何も話しませんでした。翌朝、ナバルの酔いがさめると、アビガイルは成り行きを話して聞かせました。ダビデとその兵が剣を帯びて進んできたこと。もし、アビガイルが食料を持って、ダビデのもとに行っていなければ、今頃は、ナバルもその男たちすべてが殺されていたことを話して聞かせたのです。すると、ナバルは意識を無くして石のようになりました。そして、十日ほどの後、主はナバルを打たれ、彼は死んだのです。

 ナバルが死んだと聞いたダビデは、こう言います。「主はたたえられよ。主は、ナバルが加えた侮辱に裁きを下し、僕に悪を行わせず、かえって、ナバルの悪をナバルの頭に返された」。これは、ナバルの死についてのダビデの解釈ですね。ナバルの死をダビデは、主の裁きであると解釈しました。そして、正しい裁きをしてくださった主をほめたたえるのです。ここで、ダビデが「僕に悪を行わせず」と言っていることに注意したいと思います。この悪は、ダビデとその兵士たちが剣によって、ナバルとその家の男たちを皆殺しにすることです。もし、アビガイルが来なければ、ダビデは、そのような悪をもって、ナバルの悪に報いるところであったのです。第24章に、「エン・ゲディにおけるダビデとサウル」のお話が記されていました。そこでダビデは、サウルの悪に対して、善をもって対しました。しかし、ナバルに対しては、悪をもって悪に報いようとしたのです。それも、ナバルだけではなくて、その家のすべての男を殺すという悪をもって報いようとしたのです。そのようなダビデに、主はアビガイルを遣わされ、流血の罪を犯すことがないように諭されたのです。そして、主は報復される御方として、ナバルの悪をナバルの頭に返されたのです。主の裁きによれば、ナバルがダビデにしたことは、死に値する悪であったのです。

 ダビデはアビガイルに人を遣わし、彼女を妻にしたいと申し入れました。アビガイルは、ダビデとの会見を終えるとき、最後にこう言っていました。「主があなたをお恵みになるときには、はしためを思い出してください」。その言葉のとおり、ダビデはアビガイルを思い出して、自分の妻にしようとするのです。ダビデの部下は、カルメルにいたアビガイルのもとに来てこう告げます。「ダビデは我々をあなたのもとに遣わし、あなたを妻として迎えたいと言っています」。アビガイルは立ち上がり、地にひれ伏して、「わたしは御主人様の僕たちの足を洗うはしためになります」と答えました。アビガイルは、「わたしは御主人様の足を洗うはしためになります」と言ったではなくて、「わたしは御主人様の僕たちの足を洗うはしためになります」と言うのです。アビガイルは、とても謙遜な女性であるのです。アビガイルは、すぐに立ち、急いでろばに乗り、侍女五人を連れて、ダビデの使者の後に従いました。こうして、アビガイルはダビデの妻となったのです。このようにして、ダビデは、聡明で美しい妻を得ることができたのです。また、ダビデは、ナバルの妻であったアビガイルを自分の妻とすることにより、ナバルの持っていた財産(土地や家畜など)を自分のものとするのです。3節に、ナバルが「カレブ人であった」と記されていましたが、カレブ人は、ヨシュアと一緒に、カナンの地に入ることを訴えたカレブの子孫であります(民数14章参照)。カレブ人は、ヘブロンの土地を嗣業として与えられておりました(ヨシュア14:3「ヨシュアはエフネの子カレブを祝福し、ヘブロンを嗣業の土地として彼に与えた」参照)。ダビデは、後に、このヘブロンに住み着き、ヘブロンで、ユダの王となるのです(サムエル下2:1〜4参照)。そのことは、ダビデが流血の罪を犯さなかったこと。また、ナバルが死んだ後で、アビガイルを自分の妻にしたことと関係しています。もし、ダビデがナバルとその家の男たちを皆殺しにしたならば、どうだったでしょうか。また、ナバルを殺して、アビガイルを自分の妻にしたならば、どうだったでしょうか。ヘブロンの人々から恨みを買い、ヘブロンに住むことも、ヘブロンでユダの王になることもできなかったと思います(現在は未来へとつながっている)。しかし、ダビデは流血の災いを起こさず、アビガイルを合法的に自分の妻にすることにより、ヘブロンの人々の好意を得ることができたのです。

 ダビデは、ユダの町であるイズレエル出身のアヒノアムを妻としていました(サウルの妻と同名だが別人、14:50参照)。そして、二人目の妻として、アビガイルを迎えるのです。このようにして、ダビデの家は確固なものとされていくのです。第18章に、ダビデがサウルの娘ミカルを妻としたことが記されていました。しかし、サウルは、ダビデの妻であった自分の娘ミカルを、他の男に与えておりました。サウルはダビデの同意を得ることなく、ミカルを他の男に与えていたのです。後に、ダビデは、ミカルを自分のもとに連れ戻すのですが、そのことは、またその時にお話ししたいと思います(サムエル下3:14参照)。

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