ケイラを救ったダビデ 2021年10月06日(水曜 聖書と祈りの会)
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ケイラを救ったダビデ
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- 村田寿和 牧師
- 聖書
サムエル記上 23章1節~13節
聖書の言葉
23:1 ペリシテ人がケイラを襲い、麦打ち場を略奪している、という知らせがあったので、
23:2 ダビデは主に託宣を求めた。「行って、このペリシテ人を討つべきでしょうか。」主はダビデに言われた。「行け、ペリシテ人を討って、ケイラを救え。」
23:3 だが、ダビデの兵は言った。「我々はここユダにいてさえ恐れているのに、ケイラまで行ってペリシテ人の戦列と相対したらどうなるでしょうか。」
23:4 ダビデは再び主に託宣を求めた。主は答えられた。「立て、ケイラに下って行け。ペリシテ人をあなたの手に渡す。」
23:5 ダビデとその兵はケイラに行ってペリシテ軍と戦い、その家畜を奪い、彼らに大打撃を与え、ケイラの住民を救った。
23:6 アヒメレクの子アビアタルが、ケイラのダビデのもとに逃げて来たとき、彼はエフォドを携えていた。
23:7 ダビデがケイラに来たと知らされたサウルは、「神がダビデをわたしの手に渡されたのだ。彼は、扉とかんぬきのある町に入って、自分を閉じ込めてしまったのだ」と言った。
23:8 彼は兵士全員を戦いに向けて召集し、ケイラに下ってダビデとその兵を包囲しようとした。
23:9 ダビデはサウルが自分に危害を加えようと計画しているのを知って、祭司アビアタルに、エフォドを持って来るように頼んだ。
23:10 ダビデは主に尋ねた。「イスラエルの神、主よ、サウルがケイラに進んで来て、わたしゆえにこの町を滅ぼそうとしていることを僕は確かに知りました。
23:11 ケイラの有力者らは、サウルの手にわたしを引き渡すでしょうか。僕が聞いているように、サウルはケイラに下って来るでしょうか。イスラエルの神、主よ、どうか僕にお示しください。」主は「彼は下って来る」と言われた。
23:12 ダビデが、「ケイラの有力者らは、わたしと兵をサウルの手に引き渡すでしょうか」と尋ねると、主は「引き渡す」と言われた。
23:13 ダビデとその兵およそ六百人は立ち上がって、ケイラを去り、あちこちをさまよった。サウルはダビデがケイラから避難したと知らされて、出陣するのをやめた。サムエル記上 23章1節~13節
メッセージ
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今朝は、『サムエル記上』の第23章1節から13節より、「ケイラを救ったダビデ」という題でお話しします。
サウル王から逃れて逃亡生活を送っているダビデのもとに、ペリシテ人がケイラを襲い、麦打ち場が略奪されているという知らせが届きました。ケイラは、アドラムから五キロメートルほど南に位置するユダ族の町でありました(ヨシュア15:44参照)。ダビデもユダ族の出身ですから、ケイラとは近い関係にあります。ペリシテ人は、イスラエルの宿敵であり、まことの神を知らない無割礼の者たちでありました。第8章に、イスラエルの民がサムエルに、王を求めたことが記されていました。イスラエルの民が王を求めたのは、ペリシテ人のような外敵と戦うためであったのです。麦打ち場は、収穫した麦を脱穀するための場所であります。麦打ち場には、収穫した麦が積んでありました。その収穫した麦を略奪しようとペリシテ人がケイラを襲ったのです。この知らせを聞いて、ダビデは主に託宣を求めます。「行って、このペリシテ人を撃つべきでしょうか」。主はダビデにこう言われます。「行け、ペリシテ人を討って、ケイラを救え」。しかし、ダビデの兵はこう言います。「我々はユダにいてさえ恐れているのに、ケイラまで行ってペリシテ人の戦列と相対したらどうなるでしょうか」。「ダビデの兵」とありますが、この者たちは、ダビデの親族や困窮している者、負債のある者、不満を持つ者たちの集まりであります(22:1、2参照)。ですから、彼らは、自分たちがペリシテ人と戦うということは考えていなかったと思います。サウル王を恐れて逃亡生活をしている自分たちが、ケイラまで行って、ペリシテ人と戦って勝つことができるだろうかと、彼らは不安であったのです。そこで、ダビデは再び主に託宣を求めました。主はこう答えられます。「立って、ケイラに下って行け。ペリシテ人をあなたの手に渡す」。この主の御言葉から分かることは、ペリシテ人との戦いが主の戦いであるということです。かつてダビデは、ペリシテ人の代表戦士であるゴリアトにこう言いました。「この戦いは主のものだ。主はお前たちを我々の手に渡される」(17:47)。同じように、ケイラを救うためのペリシテ人との戦いも主の戦いであるのです。そして、主は、ペリシテ人をダビデの手に渡してくださるのです。ダビデとその兵はケイラに行ってペリシテ軍と戦い、その家畜を奪い、彼らに大打撃を与え、ケイラの住民を救いました。ダビデのもとに集まっていた者たちは、ペリシテ軍と戦い、勝利することができる、まさしく兵士たちとなっていたのです。このことは、ダビデが自分のもとに集まってきた者たちを、兵士として訓練していたことを教えています。ダビデはサウル王の手を逃れながら、集まってきた者たちを、兵士として訓練していたのです。ダビデは、ペリシテ軍と戦い、勝利することができる兵士たちを率いる者となっていたのです。ダビデは逃亡中ではありますが、ペリシテ人の手からイスラエルを救う王として振る舞うのです。
6節に、「アヒメレクの子アビアタルが、ケイラのダビデのもとに逃げて来たとき、彼はエフォドを携えていた」と記されています。アビアタルがダビデのもとに逃れたことは、第22章20節に記されていましたが、そのことは、ダビデがペリシテ人の手からケイラを救ったときであったと言うのです。アビアタルは、ダビデがケイラを救ったことを聞いて、ダビデの居場所を知り、ダビデのもとに逃れたのでしょう。そして、サウルも、ダビデがケイラに来たことを知るのです。サウルはこう言っています。「神がダビデをわたしの手に渡されたのだ。彼は、扉とかんぬきのある町に入って、自分を閉じ込めてしまったのだ」。ここで、サウルは自分に都合よく神の名を語ります。サウルは、ダビデを捕らえて殺すことが、まるで神のご意思であるかのように語るのです。そして、サウルは兵士全員を戦いに向けて召集し、ケイラに下ってダビデとその兵を包囲しようとするのです。ダビデは、サウルが自分に危害を加えようとしていることを知り、祭司アビアタルにエフォドを持ってくるように頼みました。エフォドとは、神様のご意思を知るためのくじのような道具であります。このエフォドを用いて、ダビデは主にこう尋ねます。「イスラエルの神、主よ、サウルがケイラに進んで来て、わたしゆえにこの町を滅ぼそうとしていることを僕は確かに知りました。ケイラの有力者らは、サウルの手にわたしを引き渡すでしょうか。僕が聞いているように、サウルはケイラに下って来るでしょうか。イスラエルの神、主よ、どうか僕にお示しください」。このダビデの言葉には、神様がこれから起こることを何でも知っておられるという信仰があります。そして事実、全知全能の神様は、これから起こるすべてのことを知っておられるのです。主は「彼は下って来る」と言われました。また、ダビデが「ケイラの有力者らは、わたしと兵をサウルの手に引き渡すでしょうか」と尋ねると、主は「引き渡す」と言われました。ダビデによって救われたケイラの有力者たちが、ダビデをサウルに引き渡すのは、裏切りのように思えるかも知れません。しかし、これは止むを得ないことだと思います。と言いますのも、サウルは、ダビデのことで、すでに祭司の町ノブを滅ぼしていたからです。ケイラの有力者たちも、サウルがダビデのことでノブの町を滅ぼしたことを知っていたのでしょう。その彼らがダビデを引き渡すのは止むを得ないことであります。ダビデもそのように考えたのでしょう。ダビデと兵士たちは立ち上がり、ケイラを去り、あちこちをさまよったのです。
13節を見ますと、このとき、ダビデの兵はおよそ600人であったと記されています。第22章2節では、400人でありましたから、200人も増えています。このように、ダビデのもとに集まる者たちは増えていたのです。
ケイラにおいて、ダビデは、祭司アビアタルのエフォドによって、主に尋ねました。それでは、ケイラに行く前は、どのようにして、主からの託宣を受けたのでしょうか?記されていないのではっきりとは言えませんが、おそらく預言者ガドによってであったと思います(22:5参照)。主に油を注がれた者であるダビデのもとには、預言者ガドがおり、祭司アビアタルがおり、600人の兵士たちがおりました。このようにして、ダビデの王国は形づくられていくのです。