イスラエルを救い出したサウル 2021年4月14日(水曜 聖書と祈りの会)
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イスラエルを救い出したサウル
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- 村田寿和 牧師
- 聖書
サムエル記上 14章47節~52節
聖書の言葉
14:47 サウルはイスラエルに対する王権を握ると、周りのすべての敵、モアブ、アンモン人、エドム、ツォバの王たち、更にはペリシテ人と戦わねばならなかったが、向かうところどこでも勝利を収めた。
14:48 彼は力を振るい、アマレク人を討ち、略奪者の手からイスラエルを救い出した。
14:49 サウルの息子はヨナタン、イシュビ、マルキ・シュア、サウルの娘の名は姉がメラブ、妹がミカルである。
14:50 サウルの妻の名はアヒノアムといい、アヒマアツの娘である。サウルの軍の司令官の名はアブネルで、これはサウルのおじネルの息子である。
14:51 サウルの父キシュとアブネルの父ネルは、共にアビエルの息子である。
14:52 サウルの一生を通して、ペリシテ人との激戦が続いた。サウルは勇敢な男、戦士を見れば、皆召し抱えた。
サムエル記上 14章47節~52節
メッセージ
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今朝は、『サムエル記上』の第14章47節から52節より、「イスラエルを救い出したサウル」という題でお話しします。
47節と48節をお読みします。
サウルはイスラエルに対する王権を握ると、周りのすべての敵、モアブ、アンモン人、エドム、ツォバの王たち、更にはペリシテ人と戦わねばならなかったが、向かうところどこでも勝利を収めた。彼は力を振るい、アマレク人を討ち、略奪者の手からイスラエルを救い出した。
イスラエルの王となったサウルは、周りのすべての敵と戦わなければなりませんでした。巻末の聖書地図で、場所を確認しておきたいと思います。「4 統一王国時代」をお開きください。塩の海の東側に「モアブ」とあります。ヨルダン川の東側に「アンモン」とあります。塩の海の南東に「エドム」とあります。「ツォバ」は、この地図では確認できませんが、キネレト湖の北にあるレバノン山の北の辺りです。塩の海の西側、地中海沿岸に「ペリシテ」とあります。このように、サウルはイスラエルの王として、周りのすべて敵と戦わねばならなかったのです。今朝の御言葉に戻ります。旧約の450ページです。
地図で場所を確認しましたので、次は、周りにいる敵がどのような者たちであったのかをお話しします。モアブ人とアンモン人は、アブラハムの甥ロトの子孫であります。『創世記』の第19章を読むと、ロトの二人の娘が父の子を身ごもったこと。姉娘は男の子を産み、モアブ(父親より)と名付けたこと。妹娘もまた男の子を産み、ベン・アミ(わたしの肉親の子)と名付けたことが記されています。サウルがモアブ人と戦った様子は聖書に記されておりません。しかし、サウルがアンモン人と戦ったことは、第11章に記されていました。エドムは、ヤコブの兄であるエサウの子孫です(創世36章参照)。サウルがエドムと戦った様子は聖書に記されていませんが、サウルの家臣にはドエグというエドム人のつわものがおりました(サムエル上21:8参照)。ツォバは、アラム人の小国家の一つであります。ペリシテ人は、紀元前12世紀に、地中海から入って来て、定住した海の民で、鉄の武器を持っていました。ペリシテ人との戦いについては、第13章と第14章に記されていました。サウルは、向かうところどこでも勝利を収めました。ならず者たちは、サウルのことを、「こんな男に我々が救えるか」と罵りましたが、サウルは略奪者たちの手からイスラエルを救い出したのです。48節に、「アマレク人」とありますが、アマレク人もヤコブの兄エサウの子孫であります(創世36:12「エサウの息子エリファズの側女ティムナは、エリファズとの間にアマレクを産んだ」参照)。アマレク人との戦いについては、次回学ぶことになる第15章に記されています。
49節から51節までは、サウルの家族について記されています。49節に、「サウルの息子はヨナタン、イシュビ、マルキ・シュア」と記されています。『歴代誌上』の第9章39節以下に、サウルの系図が記されています。そこには、「サウルにはヨナタン、マルキ・シュア、アビナダブ、エシュバアルが生まれた」と記されています。『歴代誌』では、サウルの息子は四人ですが、『サムエル記』では三人しか記されていません。また、『サムエル記』で「イシュビ」と記されている人物が、『歴代誌』では「エシュバアル」と記されています。第31章に、ギルボア山でのペリシテ軍との戦いで、サウルとその息子たち、ヨナタン、アビナダブ、マルキ・シュアが戦死したことが記されています。戦死を免れたサウルの息子のイシュビが、『サムエル記下』の第2章に出て来る「イシュ・ボシェト」であるのです。
また、サウルには、二人の娘がおりました。「娘の名は、姉がメラブ、妹がミカル」でありました。この二人の娘は、第18章に出て来ます。サウルは姉娘メラブをダビデに嫁がせようとしますが、結果として、妹娘のミカルをダビデに嫁がせることになります。サウルの軍の司令官のアブネルは、サウルのおじのネルの息子で、サウルのいとこにあたります。アブネルは優秀な司令官(軍師)で、後に、ダビデの側につくことになります(サムエル下3章参照)。ちなみにサウルのおじのネルは、第10章14節以下で、サウルに、「サムエルはお前たちに何と言ったか、話しなさい」と尋ねたおじであると考えられています。サウルの父キシュとアブネルの父ネルは、共にアビエルの息子でありました。第9章に、サウルの系図が四代に遡って記されていましたが、サウルはキシュの子であり、キシュはアビエルの子であるのです。
『週報』に参考として、サウル一族の名前の意味を記しておきました。サウルは「(神に)願って授かった者」という意味です。ヨナタンは「ヤハウェが与えた」という意味です。イシュビは「イシュヤ(ヤハウェの人)」の崩れた形です。マルキ・シュアは「わたしの王は救い」という意味です。メラブは「(幸い)を増す」、ミカルは「ミカエル(ヤハウェのような神がほかに誰かいるか)」の短縮形、アヒノアムは「わたしの兄弟は温和」、アヒマアツは「わたしは兄弟の怒り」、アブネルは「父はわたしのともし火」、キシュは「贈り物」、ネルは「ともし火」を意味します。
52節に、「サウルの一生を通して、ペリシテ人との激戦が続いた。サウルは勇敢な男、戦士を見れば、皆召し抱えた」とあります。このようにサウルによって、イスラエルに精鋭部隊が作られるのです。そして、サウルは、後に、勇敢な男であるダビデを召し抱えることになるのです(サムエル上17:57、58参照)。